亜弓さんとハミルさん

 『ガラスの仮面』、今月号の連載も、速水さんとマヤちゃんのエピソード出てこないみたいですね。じゃあ、買うのやめよう(^^;

 今月は亜弓さんとハミルさんのお話だそうですが、私はどちらにもあまり興味がないので・・・。

 ところで、女優の寺島しのぶさんて、亜弓さんぽいなあと思ったりする今日この頃です。

 両親が有名で、業界で一目置かれる存在で。その両親の存在から、独立しようと必死な感じが、亜弓さんぽい、と思ってました。今はもう、結婚されてそういうコンプレックスとか、なくなってしまった感じですが。

 結婚相手も、フランス人で芸術系のお仕事されてる、年上の方でしたよね。ハミルさんに似てるなあ、と思います。結婚で、すごく満たされた部分があったのかなあと。結婚前の、なにか思いつめたような迫力ある雰囲気が、ふんわりと柔らかなものに変わって。幸せなんだなあ、というのが伝わってきます(^^)

 亜弓さんもそうですけど、親の名前ってそんなに重いものかなあ、と考えさせられました。
 寺島さんも、お母さんの富司純子さんが名女優と謳われた方ですから、もちろん同じ職業を選んだ時に「意識しない」方が不自然なのはその通りなんですけど。

 他人が思う以上に、自分で見えない影と戦い続けていたようなイメージがあります。
 わたしが○○の娘だから、この人はこういう対応をするの? と、常に疑心暗鬼でいたような。

 寺島さんは多くの作品で過激なシーンを演じてましたよね。二世のお嬢様なら、そうしたことで知名度を上げなくても、作品に出演することはできただろうに。あえてそうした大変な道を選んだところに、亜弓さんと共通するものを感じます。
 親の名前で勝負しているだなんて、絶対に思われたくない、という強烈な矜持です。

 勝手な想像ですけど、たとえばなんの後ろ盾もない女の子が、もし女優になりたくて、チャンスをつかめそうなら「なんでもやります」と言いきっちゃうのも、わからなくはないんです。

 でも有名なご両親がいて、なぜあえてそこまで過激なシーンを?みたいなところには、なにか寺島さんの悩みというか、葛藤があったのかなあ、なんて思いました。
 親の名前を利用しない証拠に、ここまでやる根性をお見せします、みたいな。

 それは、私にとっては「すごい」とは、あんまり思えなかったです。むしろ、痛々しく思えてしまった。「わたし、傷付いてなんかいないから」と言いながら、体中に茨をまとっているような。

 女優という仕事に、真剣なのはすごく伝わってくるのに。向かう方角がひどく自分自身を傷つけているような気がして、はらはらしました。

 話をガラスの仮面に戻しますが、亜弓さんに感じる違和感も、そうなんです・・・。がんばる方向が、違う気がする。

 目が見えないから、見えるようにみえる演技をする、のではなく。
 すぐに治療して、また次のチャンスを待てばいいじゃないか、と私は単純にそう思ってしまう。

 紅天女という作品は、別に消滅するわけではないのですから。たとえ自分が試演に欠席して、上演権がマヤのものになっても。体調が万全になってから挑戦したっていいわけで。
 うまくいくとはかぎりませんが。可能性はゼロじゃないです。

 そんなことより、役者にとって体の管理は最優先。
 健康な体あっての、演技ではないかと。
 不調を隠そうとすれば、そこに力がとられて、演技どころではないと思います。

 失明のリスクを冒してまで、病状を隠し試演に臨もうとする亜弓さんの姿は、ただのわがままにしか思えなくて・・・。それを偉いとか、役者魂だ、とか、賞賛する気持ちにはなれません。

 マヤちゃんの試練には、ホロリとさせられるんですが(^^; 
 亜弓さんのはいつも、「お嬢様がなに言ってんだろ・・・」と冷めた気持ちになってしまうというか。

 亜弓さんは、ハミルさんくらい異文化の人じゃないと、なによりも亜弓さん自身が、心を許せないだろうなあと思いました。
 自分で牢獄をつくってしまっている感じがします。
 「わたしが姫川監督の娘だから、姫川歌子の娘だから、あなたはそうなんでしょう?」と。出会う人すべてを、突き放しているような。

 有名人の娘目当てに群がっている輩が多いのも事実でしょうが、そうでない人たちも、亜弓さんのそうした心の声を察したとき、なにも告げずに遠ざかってしまうだろうなあと思いました。
 そうなればますます亜弓さんは、「やっぱり、みんなわたしのバックが目当てだったんだわ」と、心を閉ざしてしまいそうです。

 素の自分に価値を見いだせないから。親という価値をなくしても、輝くものが自分に欲しいから。その手段が演劇、なのかなあ。亜弓さん。演劇で、マヤという強力なライバルに勝って、そのとき初めて自分に自信がもてる。自分を好きだと言ってくれる相手を、信じられる、みたいな。そういうことかなと思いました。

 ハミルさんは。遠い西洋の、まったく文化の違う国の人で。すでに自分の道でキャリアを積んでおり、亜弓さんの両親の力など、まったく不要な状況にある。そのことが亜弓さんを安心させ、心を開かせているのかと。
 少なくとも、彼は亜弓さんという人間そのものに興味をもって、近付いているのであって。そのことがわかるから、亜弓さんも、心を開きかけているのかな。

 私は、最終的にはハミルさんと亜弓さんは結婚すると思ってます。そのとき、亜弓さんの演劇に対する考え方も変わるのではないでしょうか。もう、戦う必要がなくなって。戦うんじゃなく、楽しむ方向で、舞台に向かうのではないかと思いました。

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