ドラマ『ラヴソング』 終わってみての感想

 ドラマ『ラヴソング』全話見終っての感想です。ネタバレを含んでおりますので、未見の方はご注意ください。
 結局、このドラマは第3話が、最高潮でした(;´▽`A“
 3話のワクワク感に引きずられるようにして、全話見たのですが、3話以上に盛り上がった回は一度もなく。
 なんか、最後の方なんて、神代先生(福山雅治さん)の顔色が悪いのが気になっちゃって。真美(夏帆さん)に、なんでさくらをきちんとフってやらなかったんだみたいに責められるシーンなんて特に。
 そこはもう、違うだろうと。
 恋愛に慣れてなくて、どちらかと言えば鈍いさくらにだって、フラれた、脈がないということは、はっきりわかってた。神代先生は音楽以外のことで自分に興味をもってない、なんてこと、誰に言われなくても理解してたんですよ。
 きちんとフってやんないから、さくらが失踪したのか?
 いやそれ、違うよねっていう。
 御門違いな叱責と。それを真面目に受け止めちゃう神代と。なにを書きたかったんだろう、このドラマ。
 最初はもっとこう、年齢差や過去がハードルになる、微妙な恋愛みたいなものを描くはずだったんじゃないのかなあ。3話までは、そういうのが、確かにあった。
 人を癒すのも傷付けるのも、結局は人なのだと。出会いと別れを繰り返しながら、影響を与え、また与えられながら。思いやること。思いやるからこそ、近付けないこと。
 4話以降は、切なさがなかったのです。どこにも。
 二人を結びつけるはずの歌も、インパクト弱かったなあ。
 全部がうまくいくというのも、嘘っぽくていかにも作り物みたいで。
 嫌な上司は嫌な上司のままの方が、リアル。同僚たちもなぜか最後は、いい人たちに変わってしまった。
 主人公は家庭に恵まれないという設定だったけど、その分、あり得ないほど強い絆で結ばれた、親とも兄弟ともいえるような、存在の友人がいて。そうすると、歌に救いの光を見出していく、という経過がぼやけてしまう。
 そこまで、追いつめられているわけでなく。孤独感の中でギリギリ、生きているやりきれなさもなく。普通に、それなりに幸せで平穏な毎日なのでは?という。
 吃音が、ぎりぎりまで主人公の生活を追いつめているようにも見えなかった。上司もただ叱責するのではなく、神代の元に連れていってあげてるし。
 もっと、神代の過去や音楽プロダクションでのあれこれや、そういうものにさくら達が翻弄されるのだと思っていましたが、結局一番の山は、さくらの喉の大病ということで。それはドラマとして、あまりにも安易な展開ではないかと。最後に病気が出てくる必然性を、まったく感じませんでした。
 あと由紀さおりさんが、謎でした。もっとキーパーソンになるのかと思ったのですが。誰も予想できないようなすごい伏線を張ったのかと楽しみにしてたのに、放置されたまま唐突に終わって、ぽかーんです(^-^;
 ドラマの中で、一番いい味を出してるなあと思ったのは、空一役の菅田将暉さんでした。脚本と演出がうまくいったら、もっと輝いたのではないかと。
 言動が乱暴なんですけど、そういう乱暴な態度でしか、愛情を表現できない悲しさが透けてみえて。
 こういう人だと、表面的なもので誤解も大きいだろうなあ。
 さくらより、よほど空一(そらいち)の方が、生きづらいのではないでしょうか。高みを目指して、もがけばもがくほど、深い沼の底に沈んでいくような。
 さくらを大事にしようとすればするほど、唐突な行動で嫌われたり。
 調理師の勉強に励もうとすればするほど、生活費のための仕事が重くのしかかったり。
 空一の生きづらさと、さくらの孤独がクロスして、そこに神代が関わって。
 空一が神代を尊敬しながらも、たやすくさくらの心を奪う神代に嫉妬して、嫉妬しながらもやっぱりどこかでは認めてて、みたいな。
 矛盾するいくつもの感情に、悩まされる空一を、見たかったような気がします。
 あと、このドラマで本当に残念だったのは、さくらにも神代にも、お互いを好きという感情をあまり感じなかったこと。(4話以降の話です。3話はそれを上手に描いてたと思う)
 神代にとってのさくらは。
 音楽が好みというだけで、それ以外の感情をもてない相手にしか見えませんでした。最終話では、神代はさくらを好きだった、と自覚したことになってますが。
 画面を見ていてそういう感情は感じられませんでした。好きな相手を想う表情じゃなかったなあ。
 そしてさくらも。
 どうしようもなく惹かれ、片思いに絶望する、神代はそんな相手には見えませんでした。
 3話が素晴らしかっただけに、4話以降はまるで、別のドラマのようでした。
 じゃああの後、どう展開していたらよかったか、といいますと。
 まず、神代にはしばらく、さくらとの一定距離を絶妙に保っていてほしかったですね。職業として、産業医としての事務的な優しさしか見せない。それを徹底的に押し通すっていう。
 中途半端に受け入れることの残酷さ、期待させることの悲しさを知っている人だと思うから。たやすくさくらの人生に関わるほど、神代の傷も浅くはないはずですし。
 ポーカーフェイスを保てないほど、3話の神代はいっぱいいっぱいだったと思うので。
 自分でそれがわかった以上、神代はさくらから離れようとするんじゃないかなあ。
 そして、さくらはそれ故に苦しむ、っていうね。
 理由がわからない。自分の何かが、神代の中の、触ってはいけない部分に触れたっていうのはわかるわけです。優しかった人の豹変。
 そして諦めようとするんだけど、どうしようもなく惹かれて。神代の態度の一つ一つに、目を凝らして、敏感に反応して、一喜一憂して。
 そういう展開だったら、ぐいぐい引き込まれただろうあなって思います。
 そんな中で、プロダクションとの契約があり、大人の事情があり、っていうドラマだったなら。喉の大病なんて、出てくる余地などないくらい、盛り上がったんじゃないかと。
 それにしても、3話の終わり方は本当に印象的でした。今もときどき、ふっと思い出しては、余韻に浸るほどです。どうして4話以降が、ああなってしまったのか。そこが、とても残念なドラマでした。
 
 

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