建築業者の良し悪しを判断する要素

先日、近所で上棟式があった。お祝い事というのはいいものである。散歩中通りかかると、大工さんやお施主さん夫婦が集まっていて拍手の音が聞こえた。他人事ながら、なんだか幸せな気分になる。

ところが、である。その上棟式から3日ほど、工事が進む気配がない。なぜなのだろうか(^^; このところ雨が多くて、一刻も早く屋根や壁を作るべきだろうに。これまた他人事ながら、気になってしまい、その家には特に注目していた。

4日目から無事に、工事が始まった。屋根と壁(といっても木の板)が取り付けられる。屋根は、瓦はまだ乗らず、防水シートが施工された状態。とりあえず防水シートがあればいいのかもしれないのだが、施主の立場になってみれば心配だろうと思う。せめて、屋根と壁が一段落するまでは、雨が降ってほしくない。屋根と壁が、完全ではなくてもせめて雨を防ぐ状態にまでならないと、お天気を眺めては心配する毎日が続いてしまう。

今日、その家の横を通りかかったら、驚愕の事実に遭遇。

工事現場はひどく乱雑で、あちこちに材料が放り投げてあり。風で飛んだと思われる廃材が散らばって、隣接する畑や隣家の土地に転がっていた。なんということだ! しかも、3メートルくらいの長い木材が10本くらい、二階の足場に立てかけてあって、それがどこにも固定されていないという信じられない状況。これでは、風が強く吹けばすぐに、たてかけた木材は倒れてしまうだろう。

立てかけるなら固定するべきだし、固定できないなら、横にして置くべきであろう。そんなこと、素人でもわかる。

壁はというと、窓が予定されている部分の板は、くりぬかれていた。南に大きな開口部。完成したら、きっと光があふれる素敵なリビングになると思われる場所。しかしその開口部にはなんの仕切りもなく。よって雨は容赦なく降りこみ、床板を濡らしていた。床板も、これで完成というわけではなく、将来的にはその上に、ちゃんとフローリング材を施工するとは思うが、それにしても。この雨に濡れた床材。仮設だよなあ、ちゃんと、最後には剥がすんだよなあ、と、そんなことが気になってしまう。
だって、もしもこの濡れた板の上に、乾燥が不十分なままフローリング材を施工したら?

まさかとは思うが、それでも新築の現場に木材のゴミをまき散らしているこの状態では、そのまさかが本当になってしまうのではという恐怖にかられる。

ちなみにこの現場。ゴミを収納するボックスがどこにも設置されていませんでした。普通はありますよね。でっかいゴミ箱。少なくとも新築現場では2個以上は置いてあると思うのですが。

鉄製の大きなゴミ箱。これも足場同様、おそらくレンタル品なのだと思われますが、このゴミ箱代をケチるというのは、信じられない業者です。ちなみに建設業者は新興の小さなハウスメーカー。ゴミ箱も設置しないくらいですから、きっと下請けの業者とも、安い賃金で契約しているのでしょう。乱雑な現場が、大工さんの荒れた心模様を表しています。ゴミ箱を用意してくれないのでは、片付けに対してふてくされる気持ちもわからなくはないですが。

でも、それにしても。この現場には、プロの矜持が全くありませんでした。きちんとした棟梁がいれば、ありえない状況です。こんな汚い現場。やりっぱなしの放りっぱなしで帰ってしまったら、普通の親方なら大激怒です。本当に、全部やりかけでいなくなってしまった、という感じなのです。無残に散らばったゴミが、もの悲しく語りかけてくるようでした。

ゴミ箱を設置しない新築の現場を見るのは、これで2度目です。経費節減しやすい項目なのか? でも、総合的に見たら家の仕上がりにはものすごく悪影響だと思います。

お施主さんも、見にこないのかな~。私が施主だったら、さすがに黙ってみないふりはしないと思います。ただ、この先のことを考えると気持ちが暗くなってしまいますよね。そもそも、どんな理由があったにせよ(たとえば契約で不満があったとしても)自分が建てる家を、こんなに汚い状態で放っておく時点で、私は大工さん失格だと思うのです。これはもう、上から注意してもらったからといって、直るものではない。そんなこと、施主に指摘されなくてもできて当たり前だからです。

この先も、いちいち言わなければ、きちんと仕事してもらえないレベルの人だと思います。その場合、本当に、この先が思いやられますし、そういうトンデモナイ人の場合、注意を逆恨みすることもあるわけで。あまり言いすぎれば、逆に見えないところで変な工事されてしまうかもしれない。

この場合、どうすることがいいのでしょう。1~10まですべて見張っているというのも無理で、それにあまり細かく言いすぎても相手を怒らせる可能性があり。妥協策としては、こまめに目を入れながら、どうしても見過ごせない点に関して、穏やかに粘り強くお願いする、という感じなのでしょうか。大金を投じた夢のマイホームがこれでは、あまりに気の毒な話です…。

そもそも、こういういい加減な業者を選ばないというのが大事なのだと思いました。もう、選んでしまった後では、どうしようもないような気がします。だからこそ、最初にどこで建ててもらうかを決めるのは、とても大切なこと。たぶん良心的なところと契約までこぎつけたら、あとは自然に、うまく事が運んでいくのだと思います。家を建てるプロなら、素人では気づかない点にもアドバイスをくれるでしょうし、施工管理も、言われなくてもしっかりやってくれるでしょうから。

その業者が建てている現場を実際に見ることが、対策になると思いました。契約したいと思ったら、その前に、同じ業者が建築中の他の現場を教えてもらって、複数回通えばいいのです。たとえば下請けの業者に頼んでいたとしても、その業者の仕事ぶりをしっかり確認することができます。もう対策としては、これが唯一と言っていいのかもしれない。

私がゴミ箱を設置しない建築業者を見たのはこれが2度目なのですが、1度目の業者は、以前新聞の広告が入ったことがあり、チラシの宣伝文句はそれはもう美辞麗句が踊りまくっておりました。そのチラシを見た限りでは、あんな悪質な現場を作り出す業者だとは、とても思えないほどです。つまり、業者の良し悪しをチラシで判断することは、無理だと言えるでしょう。現場です。現場を見るのが一番早いです。その業者が工事している実際の現場を、見せてもらうことです。

今日のゴミ散乱現場を見たら、どんなにチラシや口頭でうまいことを言っても、私はそこと契約する気持ちにはなれません。どんな上手い言葉よりも、目の前の現実がその業者の本音であり、正体なのだと思います。

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