近場の温泉でのんびり

去年も一昨年も夏は北海道へ旅行に行ったのだが、今年は遠方へ出かけることがためらわれる。そこで、近くの温泉宿に泊まってのんびりすることにした。北海道に出かける予算で、数回宿泊できる計算である。

温泉街は、閑散としていた。ちょっとした子供向けのアトラクション施設などもあるのだが、そこも閉鎖されていたし、なによりもその温泉地で一番人気のファミリー向けホテルが、休業中だったのが大きな原因だと思う。

その温泉地に以前も宿泊したことはあったけど、メインストリートを始め、ここまで人のいない地を歩くのは初めてだった。とにかく、観光客がいない感じ。平日だからというのもあると思うけど、ほとんど人がいない。だからなのか、カフェも休業しているところばかりで、お茶を飲もうにも自動販売機しかなかった。

けれど、人のいない温泉街というのも、これはこれで風情があっていいなあと。ちょうど小雨が降っていることもあって、霧にけむる街並みも山も湖も、モノクロで幻想的だった。

湖のほとりに腰を下ろして、自動販売機で買ったコーヒーを飲む。湖面をはねる魚にみとれる。その魚を狙っているのか、少し離れた桟橋に大きな鳥がいた。鳥は私を見ると、テリトリーを主張するかのように威嚇し、羽をばたつかせる。面白がってわざとじっと鳥をみつめると、鳥はますます、負けまいと意地をはるかのように一層、大きく羽を広げた。

今回は以前宿泊して気に入った宿の、客室に露天風呂がついたタイプを選択。ちょっと贅沢だけど、一度泊まってみたかった。大浴場にいく手間も省けるし、夜中でも朝でも、時間を気にせず入れるのがいい。朝食を食べ終わった後でも、ささっとまたひと風呂浴びることができるし。

宿は、思ったよりも混んでいてびっくり。たぶん、一番人気のファミリー向けホテルが休業中で、そこの常連さんがこちらに流れてきたのかと。

しかし部屋に入ってのんびりしていると、思いがけない事態が。斜め上の階あたりから、小さな子供が走りまわる結構な振動音が響いてくるのだ(^^;

これは参ったなーと。この宿の良さは、ほとんどが大人、それも高齢者がほとんどという客層だったんだよね。静けさが一番の魅力なのだ。これまで何度も泊まったけど、こんな子供の足音の振動が響いてくることは一度もなかった。

宿自体、古いとはいえ頑丈なつくりで、こういう騒音は想定もしていなかったので参った。そうかー。あのファミリー向けホテルが休業中だから、子供連れのお客さんも今は多いのかなあ。

まあ、ずっとここに住むわけではないのであっさり諦める。これが、自分の住んでるところだったら悩むけど、一時的な滞在だから我慢しよう。寝転がっていると振動が気になるので、さっそくお部屋の露天風呂へ。

これが、予想より大きいかけ流しの露天岩風呂で、山と湖が一望できる絶景。調子に乗ってあまり端の方に寄ると、道路や船など、向こうからこちらを見ることができてしまうので、あまり先の方へは行かず、湯船の真ん中へんをキープして景色を楽しんだ。のんびりお湯につかっていい気分で脱衣所で浴衣を着ていると、部屋のドアをノックする音が。びっくりしていると、鍵があいて女性従業員さんが顔をのぞかせた。

「あの・・・・」

「すみません、今お風呂に入ってたところなので、何か?」着替え途中なので、半分あいた脱衣場の扉から顔だけ出して対応する私(^^;

「いえ、なにか御用があったらおっしゃってください」

そして従業員さんは行ってしまった。あれは何だったのだろう。後から考えると、あの子供の足音で他の部屋から苦情が出たのかなあ。うちの部屋の様子も確認しにしたのかな。それとも、どこからの騒音かわからず、周辺の部屋を全部まわっていたんだろうか。

結局、従業員さんが何の目的で来たのかは不明のまま。だけど、マスターキーでドアをあけてまで入ってきたところを見ると、やはり騒音がらみだったのだと思う。お客さんが滞在中の部屋に入ってくるのって、緊急時以外あり得ないもんね。布団敷きの時間でもないし。

なにより、それ以降ぱたっと、子供の足音は聞こえなかった。たぶん、宿の人が部屋を代わるよう、騒音主のお客さんにお願いしたんだろう。そうでなければ、あれだけ大騒ぎだった子供が、一度も騒がないことなどありえない。私がお風呂から出て以降チェックアウトするまで、結局その後、足音の振動は一度もなかった。よかった、よかった。

ただし、食事の時間は別だった(^^; 食事処の個室でそれぞれのお客さんが食べる方式だったのだが、私の隣室は小さなお子さん連れで騒ぐ騒ぐ。時折上がる奇声がかなり不愉快だった・・・。

はしゃぐ気持ちはわからなくもないが、静かにするよう言って聞かせても無理な子供や、年齢的に言い聞かせができない子どもを連れての旅行は、周りのことをもう少し考えてほしいなと思う。子供がもう少し大人になってからの旅行でもいいかも。小学生くらいになれば、落ち着いて食事ができるだろう。

宿の人も、相手がお客さんだと注意もしづらくて大変だろうね。かといって、せっかく旅行にきて、あまりに周りがうるさいのも嫌だしねえ(^^;

まあ、子供といってもさまざまで、いくら小さくても、お行儀よく静かに食事できる子供もいるわけで、これはもう親の問題だなあと。

ホテルの種類で、ある程度住み分けができれば、お互い幸せだろうなと思う。小さなお子さん連れのお客さんが多いホテルなら、多少騒いでもお互い様だろうから。大人ばかりの、普段は年齢層高めのホテルだと、大騒ぎする子供はちょっとつらい。

ところで食事は、これがまた思いのほか豪勢で驚いた。今考えると、宴会などが軒並み中止で、魚介類が余って安値になっていたのかもしれない。伊勢エビや大きなアワビまるごと一個など、値段を考えたら、この食事内容でこの宿泊料金は破格だった。

総じて、大満足の宿泊になりました。今、近場の宿泊が穴場なのかもしれません。食事もおいしかったし、なにより温泉三昧が嬉しかった。何回入っただろう。朝だけでも、早朝寝起きに入り、朝食前に入り、朝食後にまた入り。本当は温泉はあんまり入りすぎても湯あたりするからよくないんですけどね。つい嬉しくて、何度も入ってしまいました。その代わり、長湯はしないように気をつけましたが。

温泉が大好きです(^^)

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