元気な紫のバラ

 今年も春のバラを見に行ってきました。

 植物園のバラコーナーは、辺り一面に甘い香りが漂っています。
 今年も紫のバラ、「青龍」は弱々しく、今にも倒れてそのまま枯れてしまうのではないかという勢いで。ここの土が合わないのかな。

 その一方。元気いっぱいに咲き誇るのは、2006年に京成バラ園芸が作出した、「しのぶれど」

 紫のバラは、弱いもの、か細いものというイメージを、見事に打ち壊してくれました。こんな紫のバラもあったのね~。

 もうこれは、あれだね。ガラスの仮面の速水さんも、このバラをお庭で作るべきだね、と思いましたヽ(´▽`)/

 庭中にこの花を咲かせて、マヤを想えばいいよ。速水さんにぴったりのバラだと思いました。

 名前も「しのぶれど」なんてねえ。

 赤やピンク、オレンジの色鮮やかなバラの中で、紫はやはり、寂しい色でした。その寂しい色が、いくつもいくつも、数え切れないほどに花を咲かせていました。
 抑えても抑えても、湧き上がる情熱のように、です。
 決して表に出せない情熱は、目に見えないだけで、途切れることがないのです。

 紫織さんにぴったりの花もみつけました。
 「コティヨン」です。Dr. Keith W. Zary1999年の作出。こちらのバラは、同じ紫でももっとピンクがかっていて明るい。

 

 この明るさが、紫織さんにはぴったりではないかと思いました。

>真澄さま(*´Д`*)

 とかなんとか、速水さんの名前を呟きながら、頬を染めて自宅のバラ園で一日中妄想にふける紫織さんを想像してしまいました。

 

 でも「コティヨン」に混じる赤は、決して「しのぶれど」が抱える寂しさを、理解することはないんだろうなと。二つのバラを見て思ったのです。
 その違いが、二人の違いなんだろうなあと。

 『ガラスの仮面』50巻が発売延期になった一方で、ギャグアニメ化とか映画化とか。カルタのときも思ったけど、全く興味がわかない~(^-^;

 そこか?そこなのか? ファンの求めるものは。

 ちなみに、私が庭一面に咲かせてみたいと思ったのは、「ヨハン・シュトラウス」。
 なんて可憐なバラなんだ~と、清楚な色に釘付けでした。真っ白な肌。ぽっと頬を染めたような乙女のイメージです。

 可愛くて、かつ華やかで、でも清純なのです。

 バラには太陽がよく似合います。日差しがまぶしく、素敵な一日でした。

『ガラスの仮面』49巻 美内すずえ 著 感想

 『ガラスの仮面』49巻 美内すずえ 著を読みました。以下、感想を書いていますが、ネタばれ含んでおりますので、未読の方はご注意ください。

 この巻を一言で表すならば、「真澄が四方八方から責められる巻」であったと思います。

 もうね、どうすりゃいいんだと(^^;
 悪い人じゃないのになあ、真澄さん。優しさも誠実さも持ってるのに、行く先々で責められ、悪者にされてしまうという。

 じゃあどうすればいいんだーと、叫びたくなりますよね。
 紫織に対する優しさ、病んだ人に対する憐れみや情は、人間なら当然のもので。でもそれを形にすれば、

「無理なさらなくても結構ですのよ 真澄さん 結婚する気もないのに 紫織のために会社を休んでまで付き添ってくださらなくても…!」by 紫織の母 とかなっちゃうし。
 でもさ、あの状態の紫織さんを前にして、もしも

「確かにその通りですね。僕は彼女を哀れに思いこそすれ、愛情など欠片もありませんから。婚約者としての責任感はありましたが、母親であるあなたからそういうお言葉をいただけたのですから、これで安心して帰れます。婚約解消の咎は認めますし、この件に関して紫織さんの名誉ができるだけ傷付かないよう、大都の総力をあげてマスコミを押さえるつもりです。さっそく社に帰り、関係各所への手配をします。では、失礼」

 もしも、真澄が上記のようなセリフを、端正な顔でにっこり言い放ち。踵を返して、すたすた鷹宮邸を辞したなら。

 そしたらある意味、すっきりしたのかな。
 もうとにかく。結婚は無理。婚約は解消ということで。「天と地がひっくり返っても、僕が紫織さんと結婚することはありません」なんて、真澄が終始その態度を貫き通したなら。ガラスの仮面はあと数巻で終わるような気がします(^^;

 でも、マヤに誠実でありたいと願えば、鷹宮に糾弾され。鷹宮に屈すればマヤに不誠実を責められ。

 マヤとの約束を守ろうとすればするほど、紫織の狂気が増していく現実の前に、自由の効く両手両足をどんどん、絡めとられていくマスミン。このままでは、完結の日が遠いなあ・・・。

 揺れる描写なら、いくらでも描けそうです。

 片方に揺らいだエピソードの後は、その傾きを取り戻すための反対エピソードを入れて。
 これやっていたら、相当な長編になりそう。延々続きますよ~。

 鷹宮翁の言葉も気になりました。自室に放火した紫織を気遣いながら、真澄に言い放った言葉。

>ただ このままでは紫織はもう…
>この通りだ 真澄くん…!
>どうか紫織と結婚してやってくれ…!

 私、「このままでは」ってところが引っかかったのです。「このままでは」というと、「現状はまだ許容範囲」と言ってるみたいに聞こえるんですけど、もう現状が相当、おかしなことになっちゃってるのに、鷹宮翁気付いてないんだもん(^^;

 紫織さん、入院レベルだと思うんですけど・・・。

 放火するのもアレですが、妄想が行き過ぎて看護師さんを花切り鋏で襲うなんて、これは24時間の見守りがないと暮らせないレベルなんじゃ?
 看護師さん、実際刺されて流血してるし。腕だからまだしも、お腹刺されたらどうするんだろう。
 まあ、腕だって、動脈を切れば大変なことですよ。

 鋏を取り上げようとしたマスミンの手も、傷つけちゃってるし。

 こういうところ見てると、紫織さんがマスミンのこと、本当は好きじゃないのがよくわかります。

 紫織さんが好きなのは、自分なんです。自分の思い通りにならないから、暴れてるだけ。本当にマスミンが好きなら、他の誰の言うことを聞かなくても、マスミンにだけは向き合うはず。たとえ狂気の中であっても。
 そして、マスミンを偶発的にでも自分の鋏が傷つけたなら、流れる血液に気付いたなら。動揺して後悔して、マスミンの痛みを自分の痛みのように感じて、手当てをしようと慌てるはずだから。

 

 もはや、紫織さんにとって、マスミンなんてどうでもいいんだろうなあ、と思いました。自分の傷付いたプライドの方が大事なんでしょう。
 欲しいと思ったものが手に入らなかった。屈辱を感じてまで、「欲しい」と、人生初めて膝を屈して乞うたのに、それが叶わなかった。
 そして、自分が欲しくて欲しくてたまらなかったそれを手に入れるのが、どうみても自分に劣る、みすぼらしい存在(マヤ)であることが許せない、まあ、要はそういうことなわけで。

 紫織さんも狂ってますが、鷹宮家一同、歪んでおります。
 我が子でありながら、親子関係が薄くみえる両親だったり。孫を盲目的に溺愛する権力者の祖父、だったり。
 周りの環境が、紫織さんの狂気を育み、増大させていったのですね。

 もしも紫織さんが、マヤの母である春さんの子供だったら。
 子供時代、スーパーで「あのお菓子がほしい」と駄々をこねても、「うちにはそんなもん買う余裕はないんだよっっ!!」と一蹴され、それならばと嫌がらせで、その場でひっくり返って大暴れしてみたところで、「ああ、そんなに暴れたきゃ勝手にしなっ! わたしゃ帰るからね。お前はもう一生、そこにいればいいよ」と捨て置かれ。

 しばらく泣き続けたものの、春さんは本当に家に帰ってしまったことを知り、仕方なく、とぼとぼと家路につき。
「食べたくなきゃ、食べなくていい」と言われて出されたいつもの夕食を、取り上げられないうちに慌ててがつがつ食べる・・・なんて子供時代を送ることになったわけで。

 今の紫織さんはいなかったですね。
 環境が、作りあげたキャラと言えるのかも。

 49巻の中で、聖さんがマスミンの本当の気持ちを確かめるために、わざとマスミンを挑発するシーンがあるんですけど。聖さんが京本政樹さんにしか見えなかったです(^^)

 どうしよう、この絵柄は、京本さんに似すぎだ~(笑)
 私の脳内では、京本さんがセリフをしゃべってました。

 それと。マスミンは、マヤを桜小路君にとられるのは許容できても、聖さんにとられるのは嫌なのかなあっていう、その心理状態が興味深かったです。

 あれですかね。自分の好きな人を、知らない他人にとられるのは我慢できても、親友に奪われるのは許せないとか、そういう心理なのでしょうか。

 それにしても、聖のセリフには笑ってしまうものが多く、その挑発に、簡単に乗ってしまうマスミンも、滑稽なほど幼く見えました。いつもの、冷静沈着、鬼社長の姿が全く見えてこない。いくら心乱されているといっても、あまりにも動揺しすぎではないかと。

 聖は、あくまで部下ですから。マスミンの命には逆らえないわけで。

 聖がなんと言おうと、マスミンがビシッと「駄目だ」と言えば、そこで終わりなのにな。

>北島マヤはぼくがいただきます
>いいですね 真澄さま

 そしたら、マスミンはこう言えばいいんです。(以下、☆は妄想セリフです)

☆お前はなにを言ってるんだ(にっこり、氷の微笑)
☆勝手なマネは許さん。これは命令だ。

>ぼくが紫のバラのひとだと名乗れば
>マヤさんはぼくを愛するでしょう

☆誰がお前にそうしていいなどと言った?
☆以後、お前はマヤに一切接触するな。
☆おれがマヤと関係を断つ以上、もはやお前を仲介役にする必要もなくなる。
☆話は以上だ。行け。

 聖の一切の反論を許さず、自分の言いたいことだけ言ってしまうと、話しかけるなオーラをまといつつ、黙々と書類整理に戻る真澄様、という図が見てみたかったです。

 そして、部屋を出て、扉が閉まった後、ひとり心の中でマスミンに語りかける聖さん、とかね。もう、想像が膨らむなあ。(以下、☆は私の妄想です)

☆気付いていらっしゃらないのですね真澄さま。
☆あなたの心の奥深くにいるあの方は、決して消えることはない。
☆自分の幸せだけを追いかければよろしいのです。
☆そのためならぼくは、どんなことでもするでしょう。

 そして、寂しい微笑を浮かべる聖、だったりね。ああ、想像は果てしなくどこまでも広がっていきます。

 ところで、マヤを自分のものにする宣言でマスミンを覚醒させようとした聖ですが、マスミンはこの状態で聖にペーパーナイフ投げつける男じゃないよなあ、という気がしました。

 ここは、すっきりしないです。
 この場合、私の想像するマスミンだと、平静を装いそうなんですよね。ぜーんぜん平気ですよーみたいな顔しながら、聖が出て行った後、自分の手から血が流れているのに気付く。
 無意識に、ペーパーナイフを強く握りしめていて・・みたいな話だったら、いかにも速水さんらしいと思うんですが。

 それで、自嘲したりね。ひとりになった部屋で、もう、自分で自分を笑っちゃう、みたいな。私の想像の中のマスミンだと、聖が出て行った後の彼は、以下のような感じです。(☆は勝手に想像したつぶやき)

☆おれは、動揺、していたのか・・・
☆馬鹿な男だ。ナイフの痛みに気付かないほど、動揺して。
☆聖なら、マヤを不幸にしない。だがおれは・・

 白目で、さらにナイフを握りしめ続けるマスミン、なんてのも想像できます。もうね、痛みで自分を抑えるしかない、みたいな。
 笑いながら泣いて。
 自虐しながら、マヤを忘れるために呼吸している、という。そんな姿だったり。

 49巻は、私の好きな速水さんとはちょっと、方向性が違ってきているのを感じました。やっていることが少し・・。紫織さんに振り回されてしまうのもそうだし、マヤに対しても。

 結局マヤを選び、伊豆の別荘で会うことにしたみたいなんですが、それだとマヤが危険すぎる~。

 速水さん、結局は今のところ、大都を離れる決意したのかな~という感じですが、たとえ一個人に戻ったところで、ハッピーエンドとはいかない。だって今のままだったら、一番守りたいはずのマヤが、守れないから。

 私は、速水さんはマヤのためなら、自分を犠牲にする人だって思ってるから。自分の恋情なんかより、マヤの幸せを願う人だと思ってたから。だから、「マヤを守るために紫織さんと結婚する速水さん」は想像できても、「すべてをなくしてもマヤとのささやかな結婚を選ぶ速水さん」は想像できないなあ。

 

 愚か過ぎる。その愚かさも、マヤを思うあまりの愚かさじゃなくて、単純に、世間知らず、的な。仮にも一企業で社長やってた人の判断じゃないよなーっていう。
 今マスミンが伊豆なんかでマヤと会い、愛情を確認しあったら、鷹宮翁は全力でマヤをつぶしにかかるわけで。それがわからないって、どうなのよという。

 次巻、50巻は伊豆別荘編になるのでしょうか。続きが気になります。

 

別冊花とゆめ2012年4月号『ガラスの仮面』美内すずえ 著 感想

 別冊花とゆめ2012年4月号『ガラスの仮面』美内すずえ 著を読みました。以下、感想を書いていますが、ネタばれしていますので未読の方はご注意ください。

 読み終えてまず思ったのは。

 こりゃ、紅天女の主演ゲットは、マヤで決まりだろうなと。
 子供みたいに純粋に楽しんでお芝居をするマヤに、亜弓さんは勝てない、と思います。

 ものすごい気合いで、自らのアイデンティティを賭けて、その証明手段として紅天女を選んでいる亜弓さんの演技・・・きれいかもしれないし凄みはあるかもしれないけど、それって、阿古夜のせつなさ、だせるのかなあ?と。

 完璧な存在が、初めてみせる脆さ、みたいなものが、この「紅天女」というお芝居のメインテーマになってくるのではないかと思うのですが。人ではない存在が、人に恋して崩れた、その弱さこそが、魅力の舞台になるのかと。

 亜弓さんの場合、そもそもハミルさんと恋愛関係が成立するのかどうか、疑問です。ハミルさんが魅力的に感じられないのは私だけ? 亜弓さんがどうしようもなくハミルさんに惹かれていくっていうシチュエーションが、この先あるんだろうか??

 障害を乗り越えることで、自分の中のあらたな一面を発見し、それを舞台の上で表現する。亜弓さんの場合、ハミルさんとの恋愛うんぬんより、目のことが最大の障害になるのかな。
 でもそれだったら・・・。あくまで、自分という個人の中での枠組みになってしまう。他人は関係なく、亜弓さん個人の中の問題。

 やっぱり亜弓さんは、「演じよう」と努力する限り、「そのものになりきって、それを楽しむ」マヤには勝てない気がする。

 そしてマヤは。
 速水さんを失うんだろうなあ。自分の魂のかたわれとめぐりあい、その歓喜を知ったあとでの別離。

 そのとき初めて知った感情を、舞台の上で表現することで、昇華させることで、救われるのかもしれない、なんて。そんなことを想像してしまいました。

 出会えたことに意味がある、というなら。
 速水さんと出会ったことで、マヤは紅天女を手にいれるのだろうか、なんて、つらつらと考えてしまいました。

 もう、このへんは本当に想像にすぎないですけど。今月号を読んだら、そんな気がしました。

 今月号で印象的だったシーンは、二か所あります。
 まずは、これ。速水さんが紫織さんを見舞うときの表情。

 なんだかもう、典型的なまでの仮面かぶり顔というか(^^;

 

 すごくバリアー感じます。もう見た瞬間、ああ、こりゃだめだわっていう。私が紫織さんなら、この顔みた瞬間に諦める。こんな顔して見舞いにくる速水さんを、見たくない。

 心なんて、まったくそこにはないような。
 ビジネス、義理、大人としての理性。

>おはようございます紫織さん
>きょうは顔色がいいようですね

 その台詞の、字面の優しさと内面のギャップがまた、せつないです。そういう台詞を相手に言わせる自分の卑怯さを、紫織さんは何も感じないんだろうか。まあ、感じないからあんな自殺未遂をしたんだろうけど。

 そんな速水さんの仮面の向こう側も見ずに、顔を赤らめて、ありがとうございますと嬉しそうに答える紫織さん。ああ、この返答で、おそらく速水さんの心はまた1キロメートルくらい、彼女から離れていったんだと思う。偽りの笑顔をはりつけたまま。

 そして、私がいいなあと思ったシーンは、車の後部座席で、ぼんやりと車窓を眺める速水さんの横顔だったり。

 紫織さんの前にいるときの、「速水真澄」を演じていたときの鎧は脱げて。

 私も、透明人間になってその横顔を見ていたいなあ、と思ってしまいました。その人の心って、やっぱり顔に映し出されると思うんですよ。気をゆるめて、心のバリアを解いた瞬間の表情。
 そのときにこそ、その人そのものが、あらわれるんだと。

 英介は、ほどなく真澄のマヤへの気持ちを知ってしまうんだろうなあ。そのときは、ためらいなくマヤをつぶしにかかりそうです。パフェ食べていたときの好々爺ぶりは、あくまで、マヤとの間に特別な利害関係がなかったからであって。

 ひとたびその存在が邪魔になれば。
 えげつない手段で、潰しにかかりそうな気がします。そして、それを阻止すべく、真っ向から対決する速水さん。

 ところで、今月号にはガラスの仮面国民的名シーンと題うった特別企画が載っていましたけれど。この企画の意味がわからないというか、これを面白いという人、いるんだろうか・・・。

 いや、過去の名シーンを集めるっていうのはいいんですけど、それをコスプレさせて再現というのが、なんとも・・・。どうせコスプレさせるなら、いろんな人に、真剣にやってもらいたかったです。別に有名人でなくてもいいので、実写版の絵が見たかったなあ。

 以上、今月号の感想でした。

『ガラスの仮面 48巻』美内すずえ 著 の感想

 『ガラスの仮面 48巻』美内すずえ 著を読みました。以下、感想を書いていますが、ネタばれしていますので未読の方はご注意ください。

 まず帯です。帯。ここに注目。
 なんで劇団ひとりが、マヤや月影先生のコスプレしてるんだろう(^^;

 意味がよくわからないというか、むしろ不快というか。
 こういうキャンペーンのセンス、私はあまり好きではないです。以前にやっていた速水真澄は誰だ、みたいなクイズもどうかと思うけど、今度のはさらに・・・です。

 これって販促になるのだろうか(^^;
 というか、どのあたりの年齢層をターゲットにしてるんでしょう? ガラスの仮面の読者の年齢層って、結構高いと思うんですが、それを踏まえての企画なのでしょうか??

 最初に帯を見て、多少脱力しながらも気を取り直し、、読み進めました。そして、読み終えて最初に思ったこと。

 そうかー。やはり別冊花とゆめは、少女を対象にした雑誌なのだなあと。
 雑誌連載がそのまま単行本になったわけではなく、改稿されていまして。その改稿が、「よりわかりやすく説明を加えた」ものになっていたのです。

 それは、少女にもわかりやすく、というコンセプトがあったからではないかと、そう思いました。

 大人なら、暗黙の了解だとか、言葉に出さない気遣い、みたいなものを理解できるけれど、子供にはなかなか難しいから。

 雑誌連載の原稿を、さらに何度も推敲したことによって、単行本はより、わかりやすいものになっていたけれど、私は雑誌連載のときの方が好きでした。

 いちいち、登場人物の心情をこと細かに説明したりしていなかったから(^^;

 こういうのは好みなのかもしれませんが、私は「秘すれば花」派です。敢えて顕にしない方に美学を感じるし、その方が余韻や、解釈の違いを楽しんだりもできるわけで。

 今回の48巻は、説明が多すぎて、勢いが失われてしまったように思いました。わかりやすく、綺麗ではあるけれど、魅力を損なってしまったような・・・。

 一番それを感じたのは、速水さんが紫織さんに婚約解消を告げにいくシーンです。待ち合わせの店に到着した速水さんが心に思ったことが、文字になっていまして。たとえば、以下の台詞。

>ただひとつ ぼくはあなたに 嘘をつく…!

 これ、あらためて文字にしてしまうと、興醒めでした。

 嘘をつくと宣言されてしまうと、う~ん。

 この台詞はない方が、いろいろ想像できてよかったように思います。紫織さんと真摯に向き合った速水さんの言葉。そのどれが真実で、どれが嘘なのか。
 速水さんが何を思い、何を意図して動いているのか。

 すべてを言葉で説明しない方が、奥深かったような。
 ただひとつの嘘、と言いきってしまえば、答えは明らかですもん。
 マヤに対する気持ちを、ファンだと言いきったことですよね。

 こんなふうに速水さんの心情をつらつらと文字で表現されてしまうと、う~ん。私は雑誌連載時の、読者に考えさせる曖昧さを残した表現のほうが、好きでした。

 そしてこの48巻。亜弓さんとハミルさんの恋模様も、かなりのページを割いて描かれているのですけれども。

 ハミルさんが素敵に見えず、亜弓さんにも全く共感できないため、正直、この二人はどうでもいいや・・とか思ってしまいました。

 ハミルさんは、う~ん。全然かっこいいと思わないです・・・。

 なにか魅力的なところがあれば、と思うのですが、う~ん、う~ん。まったく私の好みではなかったです・・・。

 そして亜弓さん。
 相変わらず、目標のピントがずれてるような。有名人の二世であることに強烈なコンプレックスを持ち、それを払拭したい、親は関係なく私が私であることを証明したい、その気持ちはわかるのですが。

 失明の危険を冒してまで、紅天女の試演にこだわるところが理解不能すぎて。それこそ、そこまでしてたとえ試演で主役の座を勝ち取ったとしても。

 その後どうするの?という単純な疑問が。手術の時期を逸したことにより失明したら、当然、本公演とか無理だろうし。
 すべてが明らかになった後で、世間は「さすが亜弓さん。親の力でなく、自分で主役を勝ち取ったのね~」なんて思うわけはないしなあ。

 世間の評価は関係ない。自分自身が納得できればそれでいいのだ、といえばそれまでですけど。本当に、そこのところは理解できないのですよ・・・。なんで、試演に勝てば親の七光りを脱出できると、亜弓さんは固く信じているのだろうかと。

 そして、そんな亜弓さんに惹かれていくハミルさん。

 ああ、亜弓さんにもハミルさんにも両方共感できない(^^; 読みながら、「マヤや速水さんのパート、早く出てこないかな」と思ってしまいました。

 その他、この48巻で、がっかりした加筆部分について、2つ語ります。

 まず1つ目。

 伊豆の別荘で寛ぎ、マヤのことを思いながら、別荘番に「殺風景だから花でも飾ってくれないか」的なことを頼む速水さんです。

 うぉー、これは、思わず笑ってしまいました。ないわぁ。これはないですよ。こんなことしてる場合じゃないし(笑)

 婚約解消で、これから鷹宮グループを敵にまわそうとしている立場の人が、やっちゃいけないことです。いくらでもやるべきことがあるのに、伊豆の別荘でのんびり妄想って、いやー、それだけはないわ。速水さんに限って。
 彼がもしもそんな人なら、とっくの昔に英介に見限られて、養子を解消され平凡な人生を送っていたでしょう。

 それに、マヤとのこれからの生活を大切に思うからこそ。心を鬼にして、必要以上に近付かなかったのが、あのアストリア号ではなかったでしょうか。それは、速水さんが責任感のある人だからこそ、と思うんですよね。

 あのとき。速水さんはまぎれもなく、「婚約者のいる人」だった。だからこそ、甘い、楽観的な約束などできなかった。

 有言実行、ですよね。まずは、全力で動こうと。あのときの速水さんは決意していたはずです。どんなことをしても、すべてをクリアにすると。そして、その暁には、誰にはばかることなくマヤと一緒になろうと。

 そんな速水さんが、あの後、伊豆でのんびり・・・ あり得ないです。むしろ、仕事中に苦悶してほしかったです。どんなに仕事に没頭しようとしても、脳裏に浮かぶマヤの甘い声に、心がかき乱されて、「こんな気持ちは初めてだ・・(白目)」的な表現があったら、萌えます(@^^@)

 伊豆の別荘で夕焼けを見つめながらのこの台詞。

>はじめてだ…
>誰かのために部屋の中を気にするなんて…
>マヤ…きみがおれの何かを変えようとしている…

 これがもしも、婚約解消に伴う大都の損失を最小限にしようと、東奔西走した速水さんがやっと帰りついた自室での台詞であったなら。もっとぐっときたのになあ、なんて思ってしまいました。
 昼間は冷静沈着の仮面をかぶり、どんな脅威にも平静を装い、激務をさらりとこなした速水さんが。ひとり、深夜の自室で。マヤを思ってつぶやくとか。
 想像すると、かなりいい感じなんですが(^^)

  では、次に、2つ目の加筆がっかりポイント。自殺未遂をはかった紫織さんを、ネクタイで止血するシーンです。

 わかります。確かに、なんでこれが加筆されたのかは、わかる、気がする。

 人として、怪我をした人を前に、助けようともしないのは倫理的に問題がありますもんね。ただ、この場合。
 紫織さんを前に、ただ立ち尽くすしかなかった速水さんのほうが、読者にとっては彼の受けた衝撃の大きさを想像できたと思うのです・・・。

 そのとき。きっとすごく、複雑な気持ちだったと思います、速水さん。いろんな感情が一気に湧き上がって、ぐるぐる渦を巻いていたような。

 紫織さんを哀れと思う気持ち。気の毒に思う気持ち。痛ましいという気持ち。まさかという気持ち。

 そして同時に、これを境に起きる出来事に対する憤り、こんなことをしでかした紫織さんへの怒り。なぜこの場で、という苛立ち。

 

 マヤへの愛情。将来への不安。鷹宮側がどう出るかわからない恐怖。

 いくつもの思い、感情が。入り乱れてきっと、速水さんは立ち尽くすしかなかった、というのが、自然なことかと。

 人間、本当に予想外のことが起きたりすると、動けなかったりするのではないでしょうか。頭が真っ白になって。
 いろいろ情報は頭をめぐるのだけれど、それをうまく制御できず。整理もできない状態。

 後から、ああすればよかった、こうするべきだったというのは簡単だけれど、いざそうした場に立ってみると。
 意外と、「動けなかった」なんてことになるのではないでしょうか。とてもじゃないけど、とっさにネクタイを緩め、駆け寄って止血する、という行動、そんな冷静な行動など、とれないのではないでしょうか。もしも速水さんの、立場だったなら。

 

 以上、48巻の感想でした。
 次回は、今月号の雑誌連載の感想を書きます、たぶん。

 

亜弓さんとハミルさん

 『ガラスの仮面』、今月号の連載も、速水さんとマヤちゃんのエピソード出てこないみたいですね。じゃあ、買うのやめよう(^^;

 今月は亜弓さんとハミルさんのお話だそうですが、私はどちらにもあまり興味がないので・・・。

 ところで、女優の寺島しのぶさんて、亜弓さんぽいなあと思ったりする今日この頃です。

 両親が有名で、業界で一目置かれる存在で。その両親の存在から、独立しようと必死な感じが、亜弓さんぽい、と思ってました。今はもう、結婚されてそういうコンプレックスとか、なくなってしまった感じですが。

 結婚相手も、フランス人で芸術系のお仕事されてる、年上の方でしたよね。ハミルさんに似てるなあ、と思います。結婚で、すごく満たされた部分があったのかなあと。結婚前の、なにか思いつめたような迫力ある雰囲気が、ふんわりと柔らかなものに変わって。幸せなんだなあ、というのが伝わってきます(^^)

 亜弓さんもそうですけど、親の名前ってそんなに重いものかなあ、と考えさせられました。
 寺島さんも、お母さんの富司純子さんが名女優と謳われた方ですから、もちろん同じ職業を選んだ時に「意識しない」方が不自然なのはその通りなんですけど。

 他人が思う以上に、自分で見えない影と戦い続けていたようなイメージがあります。
 わたしが○○の娘だから、この人はこういう対応をするの? と、常に疑心暗鬼でいたような。

 寺島さんは多くの作品で過激なシーンを演じてましたよね。二世のお嬢様なら、そうしたことで知名度を上げなくても、作品に出演することはできただろうに。あえてそうした大変な道を選んだところに、亜弓さんと共通するものを感じます。
 親の名前で勝負しているだなんて、絶対に思われたくない、という強烈な矜持です。

 勝手な想像ですけど、たとえばなんの後ろ盾もない女の子が、もし女優になりたくて、チャンスをつかめそうなら「なんでもやります」と言いきっちゃうのも、わからなくはないんです。

 でも有名なご両親がいて、なぜあえてそこまで過激なシーンを?みたいなところには、なにか寺島さんの悩みというか、葛藤があったのかなあ、なんて思いました。
 親の名前を利用しない証拠に、ここまでやる根性をお見せします、みたいな。

 それは、私にとっては「すごい」とは、あんまり思えなかったです。むしろ、痛々しく思えてしまった。「わたし、傷付いてなんかいないから」と言いながら、体中に茨をまとっているような。

 女優という仕事に、真剣なのはすごく伝わってくるのに。向かう方角がひどく自分自身を傷つけているような気がして、はらはらしました。

 話をガラスの仮面に戻しますが、亜弓さんに感じる違和感も、そうなんです・・・。がんばる方向が、違う気がする。

 目が見えないから、見えるようにみえる演技をする、のではなく。
 すぐに治療して、また次のチャンスを待てばいいじゃないか、と私は単純にそう思ってしまう。

 紅天女という作品は、別に消滅するわけではないのですから。たとえ自分が試演に欠席して、上演権がマヤのものになっても。体調が万全になってから挑戦したっていいわけで。
 うまくいくとはかぎりませんが。可能性はゼロじゃないです。

 そんなことより、役者にとって体の管理は最優先。
 健康な体あっての、演技ではないかと。
 不調を隠そうとすれば、そこに力がとられて、演技どころではないと思います。

 失明のリスクを冒してまで、病状を隠し試演に臨もうとする亜弓さんの姿は、ただのわがままにしか思えなくて・・・。それを偉いとか、役者魂だ、とか、賞賛する気持ちにはなれません。

 マヤちゃんの試練には、ホロリとさせられるんですが(^^; 
 亜弓さんのはいつも、「お嬢様がなに言ってんだろ・・・」と冷めた気持ちになってしまうというか。

 亜弓さんは、ハミルさんくらい異文化の人じゃないと、なによりも亜弓さん自身が、心を許せないだろうなあと思いました。
 自分で牢獄をつくってしまっている感じがします。
 「わたしが姫川監督の娘だから、姫川歌子の娘だから、あなたはそうなんでしょう?」と。出会う人すべてを、突き放しているような。

 有名人の娘目当てに群がっている輩が多いのも事実でしょうが、そうでない人たちも、亜弓さんのそうした心の声を察したとき、なにも告げずに遠ざかってしまうだろうなあと思いました。
 そうなればますます亜弓さんは、「やっぱり、みんなわたしのバックが目当てだったんだわ」と、心を閉ざしてしまいそうです。

 素の自分に価値を見いだせないから。親という価値をなくしても、輝くものが自分に欲しいから。その手段が演劇、なのかなあ。亜弓さん。演劇で、マヤという強力なライバルに勝って、そのとき初めて自分に自信がもてる。自分を好きだと言ってくれる相手を、信じられる、みたいな。そういうことかなと思いました。

 ハミルさんは。遠い西洋の、まったく文化の違う国の人で。すでに自分の道でキャリアを積んでおり、亜弓さんの両親の力など、まったく不要な状況にある。そのことが亜弓さんを安心させ、心を開かせているのかと。
 少なくとも、彼は亜弓さんという人間そのものに興味をもって、近付いているのであって。そのことがわかるから、亜弓さんも、心を開きかけているのかな。

 私は、最終的にはハミルさんと亜弓さんは結婚すると思ってます。そのとき、亜弓さんの演劇に対する考え方も変わるのではないでしょうか。もう、戦う必要がなくなって。戦うんじゃなく、楽しむ方向で、舞台に向かうのではないかと思いました。

『ガラスの仮面』今後の展開予想

 今月号の別冊花とゆめは、速水さんが出てこない回のようなので買うのはやめました(^^;
 以下、今後の展開予想などあれこれ語っていますが、暗い予想もしていますので、そういうものが苦手な方はご注意ください。

 いやー、あれ、今月号の売れ行きとか、どうなんでしょう? ガラスの仮面ファンは買うのでしょうか。

 私は、速水さんが出てこない回だと、本当につまらなく感じてしまうんですよね。紅天女の行方が気になるかというと、たぶんそれはマヤで決定だろうなあと思っているから、稽古の様子などは特に見たいわけではないし。そのへんはコミックで出たときに見られれば、それで十分だと思っているのです。

 紅天女で面白いのは、あくまでも、速水さんとマヤの関係が劇の役柄に投影されている部分であって・・・。紅天女単体だと、いまいち魅力に欠けるような気がしてしまいます。

 今後の展開。
 婚約解消に向けて、全力で動いている速水さんですが、私は途中で大きな障害にぶち当たるだろうなあと予想しています。このまま無事に、伊豆でマヤと再会することにはならないかと。

 

 その場合の障害はなにかなあ。

 私の大本命は、鷹宮翁。今は孫娘を溺愛するただのおじいちゃんになっちゃってますが(^^; 大きな複合企業を率いる総裁として活躍してきた人物ですので、このまま速水さんのような若者に気圧されたままでは終わらないだろうと思います。

 紫織さんを立ち直らせようとする速水さんの真摯な気持ちにすがりたいところもあって、11月号では彼の思うままにさせていますけれども。紫織さんがこのまま回復の波にうまく乗れなければ、態度を硬化させて報復に出るのではないでしょうか。

 あ、いきなり報復というのはないかもしれないですが。
 まずは、紫織さんとくっつける方針で。それが決定的に駄目だとわかれば、きっと鬼の形相で速水さんをつぶしにかかる気がします。

 紫織さんは・・・。速水さんに惚れ直しそうです。
 というか、11月号に至るまでの速水さんの行動に、惚れない女性がいるのかと(爆)。

 

 うじうじ悩みながらも、マヤを思うあまり直接的な行動に出られない速水さんが、船上で思いがけず二人きりの時間を持ち。自分の気持ちに向き合い、マヤの気持ちに向き合い、朝日の中で素直な行動に出たこと。

 一度覚悟を決めた後の、ぶれない思い。紫織さんへの誠意ある告白。そこには、誤魔化しなどありませんでした。
 紫織さんの気持ちを慮りながら、その傷が最小限になるよう計らいながら、本音でぶつかった姿が、私は好きでした。

 そして11月号。
 正気を失ったような、紫織さんの惨状に動揺しながらも、安易に情けをかけるようなことはしませんでしたよね。
 あそこで、紫織さんを哀れに思い、変に優しい言葉をかけたところで、根本的な問題は解決しない。むしろ、状況は悪化するでしょう。

 心を鬼にして、紫織さん自身のために、無理やりにでもあの病んだ部屋から連れ出すこと。そして、己の殻に閉じこもることが何の解決にもならないことを諭すのは、真澄さまにしかできない行動だったなあ。
 他には誰一人、紫織さんに厳しいことを言える人は、いなかったから。

 紫織さんは、速水さんのことをまた、一層好きになってしまうのではないでしょうか。自分に媚びず、本音で接してくれるのは速水さんくらいのものでしょう。その厳しさは、ずっと甘やかされてきた紫織さんの目には新鮮で、魅力的なものに映ったと思います。

 上辺だけじゃない。心底考えてくれているからこその叱責だと、紫織さんにはわかったと思うんですよね。そしたらまた、惚れてしまうだろうなあ。

 紫織さんか。それとも鷹宮翁か。はたまたその両者なのか。

 婚約の続行を、速水さんに迫る展開になるような気がします。その場合、揺るがない速水さんの決意を、翻させる方法はただ一つ。

 切り札はマヤですね。速水さんの唯一の弱点。人質にとられたら、きっと何も言えなくなる。

 大切に思えば思うほど、行動は慎重になるでしょう。もしも彼女の将来に、その体に、傷一つでもつける危険があるのなら、速水さんは全力でもって、それを阻止するに違いありません。そして、そのためになら喜んで、自分の気持ちを犠牲にするでしょう。この先、気持ちを押し殺すあまり廃人のような生活をすることになったとしても。
 マヤを守るためなら、喜んでその地獄に身を投じるのだろうと思います。

 私はマヤが、最終回では必ず紅天女の座をゲットするだろうなあと、そう思っているのですが。その役をつかむための試練が、速水さんなんだろうなあと。

 あくまで予想ですが。まず、鷹宮側に脅された速水さんが、マヤを守るために紫織さんとの結婚を決意、というのが最初の試練になったりするのかなと。

 ずっと好きだったのに、待っていてくれと言ったのにどうして? と、これは大変なショックになりますよね。愛する人の裏切り。マヤが速水さんの真意を見抜けるのか、それとも見抜けないのかは別として。
 もしも速水さんと紫織さんが、このまま結婚することになったとしたら、それはもう、マヤにとっては天地がひっくりかえるくらいの衝撃だと思います。

 そして、次なる試練は。

 速水さんはもしや、この世の人ではなくなってしまうのかなあ、と。

 それは、紫織さんとの結婚以上に、マヤの心を切り裂く出来事になると思います。

 なんのかんの言っても、生きてさえいれば。その人がこの世のどこかで、元気に幸せにいてくれるならば、救われる気持ちはあると思うのです。

 その人と物理的に寄り添えない寂しさはあっても。
 その人は同じ世界に生きている、同じ世界に生きている以上、また巡り会う可能性は、決してゼロではないわけです。僅かであっても、希望があれば、その希望にすがって生きていけるのが、人間だと思います。

 紫織さんとの結婚を、「それで速水さんが幸せになるならば」とか、「それが速水さんの本心ならば」と無理やり納得したマヤであっても、この世での繋がりを断ち切られたとしたら、到底、冷静ではいられないかなあという気がします。

 神と人との恋を描いた、究極の作品が「紅天女」であるならば、そこに死が、介在しないと考えるほうが不自然だと思うのです。

 死という、絶対的な別離をどう捉えるのか。
 その答えを見出したとき、マヤは紅天女になることができるのかもしれません。

 そしてそのことによって初めて、紫織さんは自分の間違いに気付くのかなあ、なんて思ったりしました。

 限られた時間の中で。誰かの気持ちを、ねじまげてまで手に入れた幸せは罪深く、そこに本当の価値はありません。失って初めて、そのことに気付くことができるのかもしれない・・・。

 そんなことを、考えたりしました。

別冊花とゆめ2011年11月号『ガラスの仮面』美内すずえ 著 感想

 別冊花とゆめ2011年11月号『ガラスの仮面』を読みました。以下、感想を書いていますが、ネタばれしていますので未読の方はご注意ください。

 真澄さまが覚悟を決めた(^^)、 そんな回でありました。

 正気を失ったかのように、薄暗い自室で紫のバラをちぎりつづける紫織さんを、強引に屋外へ連れ出し、外の空気に触れさせる。狂気のバラをすべて、片付けさせる。甘やかしてきた鷹宮翁を叱責する。

 すべての言葉と行動が。いちいち納得できるものばかりで、その迷いのなさが格好よくて、感嘆しながらページをめくっていました。守るものができた人は強いな~。

 これらすべての行動って、つきつめればマヤのためなんですよね。マヤと結ばれるためには、鷹宮との縁を上手にほどく必要があるわけで。
 その結果、考えに考え尽くした結果が、この荒療治だったと。

 きれいに別れなければ、とばっちりはマヤに行きます。別れることが重要というより、別れ方が問題なのだと。
 だから、一晩考え抜いた結果が、あの行動なのですね。

 鷹宮家に到着してからのマスミンには一切迷いがありませんが、読者としては、その前夜に悩み苦しんだ彼を見ているからこその、感慨があるのではないでしょうか。
 速水さんだって、鬼じゃないんです。
 紫織さんは自分ばかりが被害者のつもりですが、速水さんだって元婚約者に対する自責の念はあるわけです。錯乱した姿を見れば心は痛んだでしょうし、それでも婚約破棄を推し進めなければならない状況には、どれほどの苦しさがあっただろうと思います。

 あの夜、飲んでいたのも。
 うれしいお酒じゃないですからね。
 床に転がった瓶もグラスも割れたガラスも。みんな速水さんの動揺した心を表していて。

 さんざん煩悶した挙句、シャワーを浴び、ネクタイを締めて、朝食の席ではすっかり、「大都芸能速水真澄」の顔になる。この一連の流れが凄いと思いました。仮面をかぶる。いつだって、彼はこうしてきたのだろうな、と想像できました。
 まあ、今回のも大きな試練ではありましたが。
 これまでだって、大変なことはいろいろあったはずで。
 そのたびにこうして、独りになってよく考えて。翌朝には素知らぬ顔で、当たり前のように出社したのだろうと。そうしてかぶった冷酷な仮面。それでも、本当は温かい人なのです。でなければ、悩んだりしないから。悩むって、戦略に悩んだんじゃないからね。良心の呵責があったからこその、あの酒量だったと思います。

>ぼくは もうあなたの“命令”はきかない・・・!
>お義父さん・・・!

 ついに。心の中で英介に決別宣言ですよ。
 この親離れには、かなりの痛みを伴うだろうなあと以前から思っていたのですが。あっさり実現しちゃったのはやはり、マヤと思いが通じ合ったからなのでしょう。
 マヤがいれば、もうなにも恐くないってことなのかな。

 紫のバラで埋め尽くされた、異常な状態の紫織さん部屋については、私は医者の指導がおかしいと思いました(^^;

 正常な人間だって、あんな部屋に一日中閉じこもっていたら、気持ちがおかしくなるでしょう。安静にするったって、重病人でも大けがでもないんだから、軽い運動(散歩程度)は必要だと思うんですが。

 そんな異常な部屋で、相変わらず「わたくしは紫のバラの花が大嫌い・・・」とは言うものの、「真澄さまはわたくしが嫌い・・・」と、自分の事に関しては「だい」嫌いとは言わない紫織さん。
 解釈が相変わらず自己中心的だな~と思ってしまった。
 あれだけのことをしでかして、すべてがバレて、自殺未遂で大勢の人に心配と迷惑をかけて、そのあげく「大嫌い」とまでは思われてないわ、「嫌い」なのかもしれないけれど・・・と思えるその、幸せな思考回路。
 自己愛ですなあ。

 なんかね、たぶん彼女の中では、やっぱり甘える気持ちがあるし、本気で「大嫌いとまでは思われてない」と思いこんでいるんでしょう。

 病気とか怪我で、人の気持ちをひく・・・という経験が、紫織さんにはこれまでにもあったんじゃないかと思います。そうすれば優しくしてもらえるから。今回の鷹宮家の対応みてると、思いっきり振り回されてますからね、紫織さんの行動に。誰も、冷静な行動がとれてないというか。
 それこそ、腫れ物に触るような扱いで、結果的にはどんなバカげたことでも許されてしまう。あの部屋中にバラの花とか、異常なのは紫織さんだけじゃなく、それを許す鷹宮翁以下家族も、同じじゃないかと。まして、婚約解消を申し出た男に対して、地位も財産も全部譲るから孫娘の言うとおりにしてくれ、と懇願するだなんて。よく考えると変過ぎる(^^;

 私は、紫織さんが本格的に精神を病んだとは思ってなくて、詐病的なところがあるんだろうなと考えてたんですけど。マスミンが来たのに「あなたはだぁれ?」とか言い放っちゃうところを見ると、やっぱりな、でした。

 死ぬほど恋い焦がれた相手のこと、忘れるわけがないと思うし。
 部屋が暗くて顔がよく見えなくても、声をまったく忘れてしまうなんてことは、ありえないんじゃないかと。
 精神錯乱の原因になった大好きな相手ですよ。その人の声を聞いて、まるで他人のように無反応、ってことはないと思うんです。
 やっぱり紫織さんは、半分無意識では、わかってたと思う。目の前の人が真澄さまだって。でもまだ、駆け引きしていたと思う。
 哀れな自分、を演出することに。
 ごらんなさい。あなたのせいで私はこんなことになってるのです、と。

>おじいさまにいいつけますわよ

 これは、紫織さんの人柄をよく表す発言だったかと。
 これまでずーっとこうだったんだろうなあ。なにかあれば、みんなおじいさまが解決してくださった。だから速水さんのことだって、諦めたりしないんです。おじいさまがなんとかしてくださると、信じてるから。
 実際、おじいさまは、「わしの持ってるもん全部やるから紫織の言うこと聞いてやってくれ」的なことを真澄に頼みこんじゃってますもんね。まともじゃないや(^^;

>これがぼくの責任のとり方です!

 この発言にはシビれました。
 かっこいいなあ、マスミン。これらの行動すべては、紫織さんのためというよりマヤのためであるのですが。でも結果的には、一番、紫織さんのためになってます。

 あの、バラだらけの薄暗い部屋で、マスミンへのあてつけのように紫織さんが病人の生活を送り続けていたら・・・。それこそ、数年後には本当の病を発症することになったのでは、と。
 それで、5年も6年もたってから、「外へ出なさい」なんて荒療治をしたら、それこそ残酷で性急過ぎる行為になってしまうし。

 今この段階だから、これだけ乱暴なことも許されるのかな、と思いました。十分耐えられると思うし、紫織さん。

 実際発狂していたわけではない、と思います。
 要は逃げたかったのかと。現実から。
 病人になれば、優しい速水さんが立ち去るわけはない、という目論見が、なかったとは思いません。

 環境も、大事ですな。

 マスミンが、夜中にあれだけあれこれ悩みまくったのに、翌朝には眩しい光射す朝食の席に、昨日の汗も迷いも(涙も?)さっぱりシャワーで洗い流して、ぴしっと決めたスーツで現れたこと、みたいに。

 それなりの環境におかれれば、それなりの気持ち、というものが自然と湧き出てくるものだと思います。

 もし、マスミンが汗まみれのヨレヨレシャツで、シャワーも浴びずに英介と朝食の席で顔を合わせたら・・・。
 いくら仮面をかぶろうとしても、ほころびが見えてしまったかもしれない。

 紫織さんも、天気のいい庭先で青い空を眺め、鳥のヒナを愛で、日差しを浴びていたら、暗いことは考えづらくなるのは当然です。思考も前向きになるはず。
 気持ちのいい風に吹かれながら、後ろ向きになれ、厭な気分になれ、というほうが無理なんです。

 ただひとつ心配なのは、紫織さんがそんなマスミンに惚れ直すんじゃないかと(^^;
 だって今月号の速水さん、かなりカッコイイ。
 そんな姿を見せたあげく「よかった。正気に戻りましたね。じゃあ僕はこれで。婚約は解消させていただきますので」だったら・・・。

 ところでコージ君。マスマヤのラブっぷりを見た後、マヤに冷たい態度をとり続けるんですが、お子様にもほどがあるな、と。

 ショックなのはわかる。そりゃそうだろう。
 そっけない態度をとりたくなるのもわかる、無理もない。
 だ~け~ど。
 人前で、周りにわかるほど無視するってのはどうかと思いました。そこはほれ、社交辞令というものがあるだろうと。二人きりのときはともかく、他の人の手前、自然に振る舞うのが社会人ってもんじゃないのかと、説教したくなりました。
 あれじゃ、マヤの立場がない。

 そして黒沼先生。マヤと速水さんの関係が変化したことに気付いたようですが、それにしてもなぜ、他の人に、紫織さんの家の者を装って電話させたのか、謎すぎでした。
 そんな電話しても、マヤが小切手を本人に直接返したのかどうか、確かめられないと思うんですけどね。

 部屋に忘れ物なんてありませんでしたよ、と言われればそれまでだし。調べて、折り返しご連絡いたしますと言われれば困るし。

 何なんだろう。
 あの船に、紫織さんが乗らなかったことを予想して、それを確かめるための電話だった?
 でも、だったら別に、自分がかければいいだけだし。演技力の要る電話とも思わないしなあ。

 黒沼先生が、マスマヤの関係を知ったら。そのことを演技指導にどういかしていくのかな~と気になります。
 紅天女の恋をつかむためのいいチャンス、と、マヤの背中を思いっきり押すのでしょうか。
 稽古の一環だ、行って来い、なんて休みをとらせて伊豆へ送り出したりして(@^^@)

 かなり以前の未刊行の連載で、黒沼先生が、真澄を一真に見立てて、マヤに演技をさせる、というのがあったと思うんですけど。たしか、真澄には椅子に座っててくれればそれでいいから、とかなんとか説得して。

 あれ、もう一度見たいなあと思いました。
 マヤの演技に引き込まれていくマスミンの描写が、よかったです。あのエピソードを復活させて連載されたら素敵だなあ。

 あの連載当時は、マヤも真澄もお互いに両思いに気付いてない状況で、今とは多少状況は違いますが。

 今のマヤと真澄にとっては、お互いの思いをあらためて知るいい機会になるだろうし、そんな二人を見たら黒沼先生も状況を一瞬で理解するでしょう。
 まだ婚約解消できていなくて、ちゃんと言葉で愛を確かめることも許されないような二人にとって。演劇の中で、架空の人物になぞらえて思いを語ってもいい、となれば。どれだけせつなく、激しいものになるのかなあと。

 マスミンは演技とかできなそう(拒絶しそう)ですが、マスミン相手に愛を語る阿古夜(マヤ)の情熱に圧倒される様が目に浮かびます。それで、「ありがとう、ありがとう」とか、心の中で言っちゃいそうです。「がんばるから。もう少しだけ待っていてくれ」なんて、密かに目で訴えたり。
 対するマヤは、もう、ここぞとばかりに大胆に愛を語らう、みたいな。あくまで阿古夜であれば、許されることだから。
 たとえ、婚約解消できていない真澄相手には無理なことでも。舞台のお稽古だったら、それは許されるから、みたいな。

 来月号の展開が、楽しみです。
 

紫のバラの印象

 秋薔薇を見に、植物園へ行ってきました。まだ季節が早いらしく、咲いているのはちらり、ほらり。

 どうしても見たかったのは紫のバラ。
 紫のバラは珍しいからか、数種類が一か所にまとめて植えられています。

 咲いてるかな~と見たところ。おお。咲いてます。一輪だけ。
 それはなんとも弱弱しく、ひっそり陰の中で咲く、という風情の儚い花でした。

 バラっていうと、自己主張の強い花、というイメージがあるんですけども。紫のバラは特別ですね。

 いくつかある種類の中で、唯一咲いていたのは、マダム・ヴィオレ。
 樹の勢いも感じられず、発色もいいとは言えなくて。紫というより、白がベースで、そこにほんの少しの青を溶かしたみたいな色です。

 見た瞬間、「息も絶え絶え」という言葉が頭に浮かびました。咲くことに全エネルギーを使い果たして、疲労困憊といった感じなのです。

 傍に、まだ咲かない一輪のつぼみがありましたが、驚いたことにつぼみはなんと、ピンク色に近かった。花が咲くと、これが薄紫に変化するのでしょうか。

 そんな紫のバラを眺めながら、何故『ガラスの仮面』の速水さんは、数ある花の中から敢えて、この紫のバラを贈り続けたのだろう、などと考えていました。

 年若い女優さんに、ファンが贈る花。それにしてはあんまり、地味かなあと。

 普通なら、もっと明るい色を選びそう。
 鮮やかで、華やかで、心が浮き立つような色。
 若い女の子が喜びそうな、赤や、オレンジ、ピンクなどなど。

 紫のバラ。通好みの粋なご婦人なら、「まあ珍しいこと。この繊細な色あいがなんとも言えないわ」なんて、喜んでくれるかもしれませんが。若い女性の目に、紫のバラは貴重というよりも、あまりにも地味で、冴えなく映るのではないかと、そう思いました。

 なにより・・・。
 この紫のバラを眺めていて、寂しい花だなあって、思ってしまいました。

 何故、敢えてこの花なんでしょう。

 マヤに赤いバラでなく、紫のバラを贈り続けた速水さんの深層心理には、なにかとても、淋しいものがあったのかなあ、と思ったりしました。

 植物園の帰りに、『別冊花とゆめ』を購入すべく書店へ。このところ時間がなくて、なかなか本屋さんに行けなかったので、在庫があるかどうか心配だったんですが。

 どこを探しても、いつもの場所にない。
 別冊じゃないほうの花とゆめ、ならあったのですが、別冊は見当たりません。

 発売日をだいぶ過ぎてしまったから、もう取り寄せてもらうしかないのかな。いくら探してもないので、半分諦めかけたそのとき。一番上に置かれた雑誌と、その下に重ねられた雑誌、表紙の絵柄が少し、違うことに気付きました。
 これは、もしや違う雑誌なのでは? そう思い、一番上にあった雑誌、『LaLa』をどけてみると、現れたのはお目当てのものでした。

 誰なんだ、別花の上にLaLaを重ねたのは、と苦笑いしたものの、とにかくみつけられて良かったです。取り寄せは、時間と共にテンションが下がりそう。読みたい、と思ったときに読める幸せを噛みしめました。

 次回は、雑誌を読んでの感想を書きます。

英介の誤解

 別冊花とゆめ2011年10月号『ガラスの仮面』美内すずえ 著についての感想を書いています。ネタばれしていますので、未読の方はご注意ください。

 
 

 今日は、英介について書こうと思います。

 鷹宮翁が真澄に頭を下げ、紫織との結婚を懇願する姿を見て、内心、驚きながらも無邪気に喜んだであろう英介。

 「わしの命令だ・・・!」と真澄には予定通りの結婚をさせようとします。

 鷹宮翁は、結婚さえしてくれるのなら全財産と鷹通グループ総裁の座を差し出すと約束するのですが、これは英介が大喜びするのも無理ないかと。

 そもそも英介は、真澄がどれだけ深くマヤを想っているか、そのことを知らないからです。

 英介にしてみれば、この結婚プロジェクトが大都にどれだけ利益を誘導できるか、それが最大の関心事なわけで。その意味からすると、真澄の行動は大成功、よくやった、となるのも当然でしょう。

 愛なんてものは、最初から存在しない政略結婚だと、英介も真澄も承知の上で始まったことだったのに。狂い始めたのは、真澄が北島マヤに本気で惚れこみ、その気持ちをもはや隠せなくなってしまったからですね。

 そのことがなければ、「鷹宮翁の全財産ゲット。鷹通グループ総裁の座を取得」なんて事態は、英介と真澄が速水邸で祝杯をあげてもいいくらいの、これ以上はないほどのゴールになるはずでした。

 英介は真澄の気持ちなんて、知るよしもないし。
 真澄さまも、すべてを説明するつもりはないでしょう。

 たしかに・・・本当のこととはいえ、打ち明けるにはちょっと恥ずかしいかも。
 11も年下の、ずっと昔から見守っていた女優と相思相愛になれたから、政略結婚を解消したい、なんてね。
 片思いだと諦めていたから別の人と婚約をしたものの、本命の相手と、互いに思い合っていることがわかった今、このまま紫織さんと結婚するわけにはいかない・・・なんて、真顔で英介に告白する真澄さま・・・想像つかない(^^;

 まあ、このさい理由なんて、どうでもいいことなのかもしれません。
 理由はどうあれ、速水側の理由で破談になる。これがすべてとも言える。

 英介に、「純愛だから」といくら説明したところで、破談にする事実は変わらないわけです。
 真澄さまのことだから、そうした感情論を英介と戦わせることを、是とはしないでしょう。

 あーでも。
 本当はそういうこと、ちゃんと英介に話したら、英介もそれなりに考えてくれるんじゃないかなと、私は期待しちゃってるんですけどね。
 この馬鹿もんが、とか、口ではいいつつも納得して協力してくれるんじゃないかと。

 まあ、英介の場合、「とりあえず紫織さんとは結婚しとけ。好きな女がいるなら、結婚ではなくともこっそりつきあえばいいではないか」的なアドバイスをしそうな危険もあるんですけど(^^;

 ともかく、真澄さまが紫織さんと結婚できない本当の理由、というのは、英介に知らせておいて損はないと思うんですよね~。隠しておくより、ちゃんと話しておいた方が、英介もそれなりに動いてくれそうです。

 英介にしてみればですね。
 まさか真澄がそんな、恋煩いでとんでもないことになってるとは思いもしないわけですから。
 紫織さんが自殺未遂したという報を受け、鷹宮家に呼び出され、彼女の尋常でない姿を見たときには、まず真澄に同情したと思うのです。

 あーこりゃ、真澄が婚約解消言い出すのも無理ないわ、と。

 英介は小さな頃から真澄と一緒に暮らして、彼の、本来は優しい性格を十分に承知しているわけですよ。そして、経営者としての有能さ、ビジネスのためなら相当のことまで感情を抑えて割り切る理性を、知り尽くしているわけです。
 そんな真澄が、なぜ、婚約解消を言い出したのか。
 そして、なぜ紫織さんは自殺未遂しているのか。

 答えはひとつしか出てきません。

 紫織さんの人格に、相当の歪みがあると、それを一瞬で察知したと思います。

 真澄の忍耐力をもってしても耐えられないほどの歪みが、紫織さんにはある。だから、大都にかかる損害を予想しつつも、真澄は「婚約解消」という思いきった行動に出ようとしているのだろうと。

 英介も、一代であれだけ成功した人なので。そういう洞察力は優れていると思うんですよね。

 真澄は政略結婚の相手となる女性を、泣かせるような男か→NO
 真澄は政略結婚の相手となる女性を、自殺未遂させる男か→NO

 目の前で、気がふれたかのように、正気を失った目で紫のバラをちぎり続ける女性・・・・その人と一生を共にする覚悟・・・それができる人は、ほとんどいないと思われます・・・。

 狂った紫織さんの姿を目にした瞬間、英介はたとえばこんなことを考えたのではないでしょうか。

☆これは・・・なるほど。こういう素質の娘だから、わしからの結婚の提案を、鷹宮翁があっさり受け入れたというわけか。どうりで、話がうますぎると思ったわい。

☆真澄ならばこうした人間の扱いには慣れているだろうに、それでも自殺未遂をしでかしたというのは、この娘も相当なものよ。

☆真澄は優秀だが、変なところで純粋だったりするからな。まだまだ青い。感情に流されて、大局を見失ったとみえる。ここは頭を冷やさせ、多少強引にでもわしが軌道修正せねばなるまい。

☆この結婚に、人格などいらぬ。これは会社同士の契約だ。甘ったるい感情など、邪魔にしかならんことを、後で真澄にはよく言い聞かせよう。

 たぶん、英介はすごく、真澄のことを信頼してると思うんですよね。
 この政略結婚。真澄が、不用意に紫織さんを傷つけたり怒らせたりすることなど、ありえないわけです。
 それなのにこの、自殺未遂。

 英介は、ははーん、とうなずいてそうです。

 そしてそれでも、真澄には結婚を勧めるでしょうね。
 あくまでも政略結婚なので。相手がどんな人であろうと、どうでもいいわけですよ。
 鷹宮翁の、たった一人の溺愛する孫娘。
 その立場さえあれば、中の人がどんな人間であろうと、関係ない。

 英介はあくまでも、真澄が結婚を拒絶するのを、「甘い感傷」としか、思っていないような気がします。

 だからこそ、真澄さまには、ちゃんと説明してほしいなあ。ちょっと(いやかなり)かっこ悪いことかもしれないけれど。
 大事なことだと思います。英介は、数少ない味方(になってくれる可能性のある人)です。

 マヤへの熱い思い、魂のかたわれとして、至福のときを過ごしたあの船上での一夜を、ちゃんと英介に語ってほしいのです。
 「ああ・・・! もう・・・ だめだ・・・!!」の瞬間のこともね(笑) マヤをどうしようもなく愛していると、自覚した大切な瞬間でした。だからこそ、もうこれ以上、偽りの婚約を続行することはできない、と。

 それにしても、あのとき船上で二人きりの時間を過ごさなかったら、マヤちゃんも真澄さまも、互いの距離を崩せなかったんだろうなあ。紫織さん、キューピットになっちゃってるところが皮肉ですね。

 私が思うに、あのときもし、紫織さんが船の時間に間に合っていたら。速水さんは紫織さんの用意した部屋に泊まって、婚約者としてそれなりに対応してたんじゃないかなあと。

 そりゃあ、部屋見た瞬間に、顔赤らめて走り去ろうとしてましたけど、でももし、後から紫織さんが来たら、思い直して一緒に部屋に行ったと思うんですよね。

 ひとりだったから、つい素直に、拒否反応が出ちゃっただけで。

 紫織さんを前にしたら、自分の役割(フィアンセ)を思い出して、必死で仮面をかぶって、紫織さんに恥をかかせないよう配慮したのではないかと。

 あの時点ではまだマヤと気持ちが通じ合っていないし、紫織さんが目の前にいたら、無下に振り払える速水さんではないと、そう思いました。

優しい嘘

 別冊花とゆめ2011年10月号『ガラスの仮面』美内すずえ著 を読んで、感想を書いています。ネタばれ含んでおりますので、未読の方はご注意ください。
 なお、☆印は、私が勝手に想像した台詞などになります。実際に存在するものではありません。

 今月号を読んだ上で予想する今後の展開。今の苦しい状況と心境をマヤには押し隠して、速水さんは紫織さんとの結婚に向かうだろうと、私は勝手に想像しております。

 そしてまずは、速水さんがマヤに嘘を吐くのではないかと。
 きみと伊豆に行く約束をしたのは戯れだ。おれがきみみたいなチビちゃんを本気で相手にすると思ったのか?みたいにマヤを怒らせることになるのかなあ。
 きっぱり、関係を断ち切らないといけないですからね。曖昧なままでいれば、マヤには残酷な忍耐を強いることになってしまう。それに、状況がわからず不安になったマヤが、直接話をしようと速水さんのもとへ乗り込んで行ったりしたら、敏感になっている鷹宮側がどう動くか。

 マヤには、引導を渡す必要があります。
 そうしなければ、彼女の身が危ない。鷹宮がなにをするのか、わかりません。
 マヤの方から、速水さんを見限ってもらう必要があるわけです。
 悪い人の仮面をかぶるであろう速水さん。マヤはどう反応するでしょう。
 以下、想像してみました。


☆(反応その1)

 ひどい・・・速水さんひどい・・・信じてたのに・・・(ひたすら号泣)

☆(反応その2)

 (一瞬驚いて速水さんの目を覗きこむ。そして、その目に苦悩を読みとり、すべてを察する)

 速水さんが、おそらくは自分をかばうために、またしても憎まれ役をかってでてくれたことを理解して、自分もまた騙された演技でその心に応える。
 速水さんが望む通りの反応を。
 怒って、泣いて、捨て台詞を吐いて去っていく。

 あたしをからかったのね。
 バカ! ゲジゲジ! イヤミ虫! あんたなんて最低! 
 あたしだって、本当はあなたなんて大きらい。
 あなたと二人きりで伊豆の別荘なんて、誰が行くもんですか。こっちからお断りです。
 あたしにはちゃんと、桜小路くんがいるんだから。桜小路くんは、あなたみたいな嘘つきとは違うんだから。あたしのこと大事にしてくれるんだから。

☆(マヤの心の声)

☆(速水さん、あたしを怒らそうとしたって無駄です。もうあたしは、あなたの優しさに気付かないチビちゃんじゃありません。だから騙されてあげます。あなたがそれを望むなら、あたしは一生騙されたままでいい。
 あたしが怒れば、速水さんは楽になれますよね。
 あたしから伊豆なんて行きたくないって言えば、それで速水さんほっとしますよね。
 桜小路くんがついてるってわかれば、きっと安心してくれるでしょう?
 あたしは大丈夫です、速水さん。
 だから速水さんは、速水さんの気のすむようにしてください。あたしは速水さんさえ無事でいてくれたら、それでいい。
 あたしの気持ちなんて、考えないでください。
 あなたが好きです。
 あなたはあたしの、魂のかたわれ。なにがあっても、どんな日が来ても、あたしの心はあなたのものです。)


 今までのマヤだったら「反応1」しか考えられなかったけど、大人になりますから待っててください宣言をした今となっては、「反応2」になる可能性もあるかも・・・。

 

 それに、「反応2」の方がせつないだろうな。

 マヤのために嘘をつく真澄。真澄のために、怒った演技で押し通すマヤ。
 傍目には喧嘩別れしたように見えても、その実、誰よりもお互いを思いやっている二人。
 ドラマだなあ・・・・。
 このパターンのまま、事態はさらなる悲劇へ・・・と展開していくような気がしてきました。

 あと、こんな場面も頭に浮かんできました。
 速水さんが聖さんを呼んで、自分が突き放すつもりのマヤのフォローを頼むとしたら。以下のような場面が展開されるのかと。


聖☆真澄さま、大丈夫なのですか。取り返しのつかない行為だと思われますが。一生憎まれ、軽蔑されることをお覚悟の上なのでしょうか?

真澄☆あの子に憎まれることなど、なんでもない。恐いのは、あの子を傷つけてしまうことだけだ。今まで何度もおれはあの子につらい思いをさせてきたが、結局最後までその立場は変わらなかったな。

聖☆真澄さま・・・

真澄☆おれのことより、マヤが少しでも早く立ち直るために、できる限りのフォローを頼む。

聖☆マヤさまを思われるのでしたら、嘘などやめて、今までのことをすべて正直にお話しなさってください。本当にマヤさまを傷つけたくないのでしたら。

真澄☆正直に・・・だと?(自嘲の笑みが浮かぶ)

真澄☆きみとのことで紫織さんは自殺未遂し、正気をなくしたままであると? 紫織さんと結婚しなければ鷹通は全力で大都をつぶしにかかるし、マヤの女優生命も奪うだろうと?

聖☆真澄さまの、真のお気持ちをそのままお話になればいいのです。たとえマヤさまが泣いても、それ以外に道はないと思います。

真澄☆おれの気持ちや紫織さんのことなど、知らないままの方が幸せになれるだろう。知ってどうなる? 知らなければ憎める。憎んで乗り越えていける。

聖☆信じていた人に裏切られた絶望は、憎しみ以上に軽いものでしょうか? 

真澄☆(ゆっくり首を振る)

真澄☆いいんだ。もうなにもかも遅すぎる。こうすることでしかマヤを守れない。

聖☆真澄さま・・・(それ以上、言葉は継げない)


 以上、頭に浮かんだ図を書いてみました。妄想文です。

 自分が大変な状況に陥るより。
 自分の愛する人が傷付くことのほうが、恐くありませんか?

 だって、自分の痛みは自分でわかるし、だからいくらでも対処だってできるけれど。

 自分でない、他人の誰か。愛してやまない人が、苦しんだり悲しんだりする状況は、自分がそれを体感できないだけにつらいと思います。愛する人の苦しみは、自分が代われないだけに、何倍にも、何十倍にも感じられるのではないでしょうか。
 だから恐い。それを想像するだけで、真っ暗な気分になる。

 速水さんは、自分が傷付くことに関しては、へこみはするでしょうけど、でも耐えられると思います。
 ただ、マヤに関してはね。
 ほんの少しでも、苦しい思いをさせたくないと思ってるでしょうし、マヤが泣けば、実際の彼女の痛みの何百倍もの痛みを、感じるのだろうなあと。そういう人なんだろうと。

 騙したつもり、騙された振り。

 ああ、昔そんな歌を中山美穂さんが歌ってたなあと、不意に思い出しました。

 2011年10月号の別冊花とゆめに関しては、ここでもう一度触れておきたいなあと思うことがあります。前にも少し書いたけど。

 それは、速水さんの「期待」についてなのです。

 速水さんは、もしかしたら、英介が自分をかばってくれるかも?って、少しは、ほんのちょっぴりは、期待してたんじゃないかな。

 誘拐見捨て事件から20年以上経ってます。
 反発しつつも、お互いに情がわいてる部分、あると思うんですよね。真澄さまはあの通り、本当は心優しく素直な人だし。英介だって、マヤと仲良くパフェとか食べてる姿見ると、根っからの悪人にはみえないから。

 そんな二人が、ずっと同じ家で親子として暮らしてきた。

 口には出さなくても、なんらかの心の繋がりは、生まれて当然だと思うんですよ。

 だからね、真澄さまは無理とは知りつつも、一縷の望みをかけていたかもしれない。

 万が一にも。英介が真澄の気持ちを理解し、味方になってくれる展開を。

 まあ、その願いはあっさり、豪快にぶった切られたわけですけども(^^;
 その絶望を想う時、速水さんの苦悩の深さを感じます。
 マヤに対しての思いとはまた別な部分で。やっぱり、最後まで英介は自分を、子供としては認めてくれなかったという、深い悲しみがあったのではないかと。

 それが、あの自室で煩悶する真澄さまの背中に、すべて描かれているのだと思いました。