オペラ座の怪人(映画)を語る その1

映画「オペラ座の怪人」を観た感想。いい!!! かなりいい!!! CDをさんざん聞きまくって、自分の中にかなり詳細な世界が出来上がっている私のような人間には、舞台よりもこの映画の方が合っていたと感じた。以下ネタバレしてますので、未見の方はご注意を。

 主役の3人が本当に魅力的。まずファントム役ジェラルド・バトラーね。仮面に隠された顔以外は、はっきりいって美男子です。自信にあふれていて、歌もうまいしセクシー。そりゃ、クリスティーヌもふらふら魅入られてしまうというものです。

 そして泣き顔がまた、可愛い。子供みたいだなあと感じた。思わず「よしよし」と抱きしめてしまいたくなる可愛さです。

 クリスティーヌ役エミー・ロッサム。いつもなにかを夢見ているような、という形容がぴったりきますね。透き通った声が耳に心地いい。完成されていない、危うさをもった歌声がクリスティーヌにぴったり。ファントムに惹かれる表情が真に迫ってました。ラストシーンで、同情と愛情と尊敬の入り混じった表情を見てしまったら、そりゃファントムも惚れ直すってものです。ラウルと無邪気に盛り上がるのも、可愛らしかった。全身から若さがあふれてました。肌もつやつやで、若いって素晴らしいなと思ってしまった。

 ラウル役パトリック・ウィルソン。長髪がよく似合ってました。若くてまっすぐで、ファントムとはことごとく対照的。リアル「白馬に乗った王子様」でした。クリスティーヌを愛し、命がけで守ってます。舞台版を見たときにはラウルのこと、あまり好きじゃありませんでした。でも映画版ラウルは、本当にいい人なんです。こんなにいい人なら、そりゃクリスティーヌがラウルの元へ走ったのも無理はない。このラウルを見てしまうと、「ファントムの方が素敵じゃん。なんでクリスティーヌはラウルを選んだの?」とは言えなくなってしまう。

 

 映画版が舞台よりいいなと思ったのは、なにより音楽ですね。音がすごい迫力だった。それと歌が、「これ歌い終えたら倒れます」くらいの気合が入っていて、ずしんと重みがありました。これは映画だからできること。舞台だと毎日ですから、ここまで気合入れたら体壊します。

 あと、映像がとにかくきれい。雪に映える真っ赤なバラとか、色彩のセンスがいい。そして、舞台のシーンはとにかくゴージャス。マスカレードのあの人数。あの動き。圧巻でした。

 細かい動きまではっきりみせてくれるのも、映画ならではですね。私は舞台でオペラグラスを使うのは嫌いなので、よほどいい席でない限り細かい表情や動きなんて舞台では見えません。でも映画では、細かいしぐさや人の表情がじっくり見られました。

 冒頭のオークションシーンから、時代がさかのぼってオペラ座の舞台裏が映し出されるシーン、大好きです。舞台の稽古中の、雑然とした雰囲気。名もない多くの俳優、踊り子たちの生き生きとした姿。なんだかせつなかったのです。こういう風景、大好きです。これを見られただけでも、映画をみた価値はあったと感じました。当時のオペラ座の雰囲気が、よく伝わってきます。

 私が唯一泣いたのは、屋上にてラウルとクリスティーヌが愛を確かめ合うシーン。ファントムが影に潜んでいて、ずっと2人のやりとりを聞いているところが可哀想でした。ファントムの渡したバラが、クリスティーヌの手からこぼれおちてしまう。2人が楽しそうに去っていった後、それを拾い上げて嫉妬に狂うファントムの声が、なんともいえません。空に向かって思いきり叫ぶファントムの姿が、印象に残りました。

 マスカレードのシーンはよかったー。まさに仮面の渦。あれだけの人数、きらびやかな色彩の波をみせられると、圧倒されて言葉を失ってしまいます。でもファントム登場とともに、波がさーっと引いてしまう。仮面舞踏会でも、異形のオーラは人の波に溶け込めなかったんでしょうか。

~続きの感想はまた明日~

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