エターナル・サンシャイン

映画「エターナル・サンシャイン」の感想です。以下、ネタバレしてますのでご注意ください。

この映画のCMで使われていた、Bangles の Eternal Flame という曲に惹かれて、見に行った。この曲にはいろいろ思い出があったから、映画を見たら、たぶんボロ泣きだろうなあと思って。

結果、最後までこの曲が出てこなくてがっかり。単に、CM用に使われていただけだったのね。

この映画。ケンカ別れした恋人同士が、二人で過ごした記憶を消したいと願って・・・という話なのだが、脚本がよくできていた。最初のシーンの意味が、最後になってわかるという仕掛け。なるほど~と、膝をポン。アカデミー賞の、脚本賞を受賞しただけのことはあります。

クレメンタイン役のケイト・ウィンスレットが抜群に綺麗。ジム・キャリー演じるジョエルがなぜ、クレメンタインに惹かれたのか、よくわかります。真面目なジョエルは、自分にはないものをクレメンタインの中にみつけたんです。そしてクレメンタインも、自分とは正反対だからこそ、ジョエルを好きになった。

クレメンタインという女性。あまりにも奔放に描かれていて、途中からあまり共感できなくなってしまった。夜中の3時に酔いつぶれて帰ってくるシーンとか、そういうのを見てしまうと、ちょっとね。私は異性関係にだらしがない人が嫌いなので、誰とでも簡単に寝てしまうようなクレメンタインのキャラには、ひいてしまいました。(もちろん、ジョエルと付き合っていたときには裏切ってはいないだろうけど、それ以前の生活を想像するとぞっとする)

2人がお互いに惹かれあう気持ちはよーくわかるのだけれど、はっきり言って、別れた方がお互いのためだと思いました。こういう、根本的な性格の違いって、うまくいかないものです。多少の違いなら、妥協しながらうまくやっていける。だけど、ここまで開きがあると、これはもう両者の努力というものを、超えていると思うのです。一緒にいれば、どちらも無理をする。そしてどちらも傷つく。無理して長い時間を過ごせばそれだけ、傷は大きくなります。

3ヶ月で別れたなら、そのときは悲しくてもやがていい思い出になるでしょう。でも、これが5年、6年、7年とがんばって続けて、そのあげくの別れだったら、立ち直るのには相当の時間が必要になる。思い出は、いつまでも2人を苦しめ続ける。

自分に合った相手を見つけ、結婚し、添い遂げることの難しさを思いました。惹かれる相手=理想の結婚相手、ではない悲劇です。自分にはないものを求めてしまう、自分には理解できないものが美しく見えてしまう、

私だったら、ずっと一緒にいられない相手との至福の記憶なんて、苦しくて耐えられないと思う。それなら最初からいらないし、作ってしまった思い出は、消してしまいたい。痛いだけだから。楽しかったな~、幸せだったな~と思えば、次の瞬間、その何倍もの痛みに襲われそう。

メアリーは嫌なキャラでした。スタンもパトリックも、みんなそうなんだけど、とにかく仕事に関して不真面目すぎ。依頼者の家で飲み放題、言いたい放題で騒ぐシーンにはびっくり。仕事なんだから、もっと真剣にやりなさいよ~、と心の中で叫んでしまった。

メアリーはスタンと付き合っているくせに、博士に媚びる目線があまりにあからさまで、なんなんだこの人は、と嫌悪感がこみあげてきた。真実を知った後も、全然同情できなかった。可哀想とも思わないし・・・・。悲劇のヒロインぶったところで、自分がまいた種だからなあ。博士の奥さんの方が、可哀想だった。奥さんが諦めきった表情で、最後にメアリに語った言葉を聞くと、彼女がずっと黙って耐えてきたことがわかるし。

パトリック。イライジャ・ウッドが演じているのですが嫌な奴~。眠っている仕事の依頼者から、物を盗んだり、手に入れた記憶を利用して好きな女性の気をひこうとするなんて、なんて卑しい根性なんだ、と思いました。イライジャ・ウッド、すごくきれいな目をしているのだけど、嫌なキャラだった。

クレメンタインとジョエル。氷の上に寝そべって、2人そろって幸せをかみしめるシーンは、とてもせつなかった。わかる。そのときの気持ち。こんな幸せでいいんだろうかって感じる瞬間。わかりあえたと思う瞬間。このまま時間がとまればいいのに、と思うよね。

愛って、勘違いなのかもしれないと思ってしまった。本当に百パーセントわかりあえることなんて、ありえないのかもしれない。でも、勘違いして、わかったつもりになって、そこから悲劇が始まるのかな。

エンディングでもし、Eternal Flame が流れたら、絶対ボロ泣きでした。でも、そうじゃなかったから、泣けなかった。むしろ、映画の前編の、全然泣き所じゃないようなところで、泣けてしまった。どうでもいいような、昔の記憶が甦ったり。

CMで Eternal Flame を流したセンスに脱帽です。その発案をした人とは、語りあえそうな気がしました。うーん、でもこれもまた、勘違いなのか?

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