2005年 レ・ミゼラブル観劇記 5回目

 レ・ミゼラブルを見てきました。今週はかなり忙しく帰宅も深夜になることが多かったのですが、週末のレミゼ観劇を、心の支えにがんばった一週間でした。以下、ネタばれしてますので、未見の方はご注意ください。

2005年4月16日(土)12時 帝国劇場にて 1階S席

 友人から譲ってもらったカード会社貸切のチケット。今回は、バルジャン×ジャベールが、私の好きな山口×岡コンビでした。だけど、一幕目の岡さんは、ちょっぴり迫力不足な感じで、あれ? 岡さん? 岡さんだよねえ? と、まるで別人のような気がしてしまった。

 しかし、二幕の独唱では、さすがの貫禄。岡さんのジャベールは、とても冷たい感じがするところが気に入ってます。他の方だと、なんとなく人の良さみたいなものが伝わってくることがあるんですが、岡さんのときは、本当に冷徹な雰囲気なのです。素の岡さんにも、そういう面があるのだろうかと、失礼なことを考えてしまったこともあります。それだけ、独特なんですよねえ。あの空気感は。

 山口×岡のバルジャべコンビは、見ごたえがあります。それだけの力量を持った役者さんで、お互いに何の遠慮もなく、全力でぶつかっている感じ。

 たぶん、山口さんと岡さんは、日常でも、性格は全然違うのではないでしょうか。私は山口ファンなので、岡さんのことはよく知らないのですが、たぶん(単なる私の直感)2人はあまり共通点を持たない人間同士だと思うのです。お互いの感性や、考え方が全然違う感じ。

 舞台の対決シーンなどでは、それがいい効果をあげていると思います。山口バルジャンという男をまったく理解できず、戸惑い、混乱するジャベールがそこにいるから。山口バルジャンも、岡ジャベールを扱いかねて、苛立っているのが客席によく伝わってきます。

 

 エポニーヌの新妻聖子さん。この方の演じるエポニーヌには、隅々にまで細かい役作りを感じます。歌がうまく、歌に関しては余裕があるため、感情表現に細かい気遣いをすることができる感じ。マリウスの前で、精一杯甘えてみせるところだとか、叶わない思いを嘆くところだとか、いかにも女の子、という感じで可愛いです。独唱シーンも、うっとり聞いてしまいました。

 気の強さが感じられる可愛さ、というところがポイントです。弱い子ではなかったと思うので。それなりにつらい経験をしてきて、だけどまだ子供で、マリウスに純粋に心を捧げるところが切ないです。

 新妻さんの歌は、本当にうまいと思う。声の強弱や息遣いなど、惚れ惚れします。

 コゼットの知念里奈さん。前回より、余裕のようなものを感じました。気のせいか、歌がどんどんうまくなっている~。高音、とてもきれいでした。お嬢様というよりは庶民性を感じますが、本来コゼットはそういう女の子だったのかも・・・と思いました。聞いていて、「もっと聞きたい」と思わせる声ですね。個性的で主張があります。無味無臭ではない感じ。どんどん成長して、すばらしいコゼットになる予感がします。

 

 アンジョルラス、岸祐二さん。声の低さが、学生のリーダーにしては大人な感じに思えてしまって、ちょっと違和感ありました。もう少し、若さがあふれる感じだともっとよかったかなと。立ち姿はきれいでした。さすがリーダー。低い声は素敵なのですが、アンジョルラスとしては、なにかが違う感じがしてしまう。むしろ、グランテールとか、どうでしょう? グランテールって、声の低いイメージがあるんですよねえ。お酒飲んでるから、喉も荒れているイメージがあって。

 

 リトルコゼットちゃん。歌が不調な感じでした。残念。歌いながら動作するのは、いろんなところに注意を向けなければならないから難しいけど、次回はがんばってほしいなと思いました。小さい子だから、歌に完璧を求めるのは酷かなと思うのですが、ガブローシュ役の子がすごく歌が上手なので、つい比べてしまう。

 久しぶりに見たレ・ミゼラブル。

 私は2005年のレ・ミゼラブルに関しては、見所の9割を、第一幕に求めてしまいます。あくまで、私は、という話です。他の人は他の人で、それぞれ楽しみにしている見所があると思うのですが、私は一幕の最初から、バルジャンが改心するまでのシーンで、その日の涙の9割は流してます。

 ここのシーンの山口祐一郎さんはすごい、といつも思います。最初の囚人シーンから、もう釘付けで見てます。他の人より、頭一つ高い囚人の姿から、目が離せません。特に改心のシーンは、心にズシンと響く声なのです。「先も見えない闇を這い出そう」ここのバルジャンは本当にすごい迫力。これを歌えるということは、山口さんも地獄を見たことがあるんだろうな、と思います。実際に地獄を見て、そこから這い上がった人なのではないでしょうか。もちろん、経歴は華やかだけど、いろんな紆余曲折はあっただろうし。だからこそこの歌が歌える、という気がするのです。だからこそ、聞くものの心に直接訴えかけてくるなにかがある。

 金曜日の夜くたくたに疲れて帰ってきたので、本当なら土曜は午後まで寝ていたかったのですが、出かけていって観劇したかいがあったと思いました。山口さんの声を聞くと、なにかパワーをもらった気がします。

 せっかく日比谷まで出たので、前から目をつけていたマキシム・ド・パリの期間限定ショートケーキを買ってみた。一個700円という値段に、相当期待を膨らませていたのだが・・・・・ま、こんなもんかなという感じ。たしかにおいしいけど、ちょっと値段が高すぎて気軽には食べられない。国産イチゴを使っているということで、素材に気をつかっているのはうれしい。私は食材はできるだけ国産を選ぶようにしているので、この、「国産イチゴ使用」という宣伝には、かなり心ひかれました。

 逆に言えば、ほかのお店のショートケーキのイチゴは、外国産のものが多いんだろうか。食の安全を考えれば、食品はできるだけ、日本産のものを使ってほしいなあ。

 などと考えつつ、観劇の余韻の中、心地よい眠りについたのでした。

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