映画『エミリー・ローズ』を見てきました。以下、ネタバレも含んでいますので、未見の方はご注意ください。
この映画はキリスト圏で育った人が見るのとそうでないのと、受け取り方が大きく変わってくると思う。日本人は「悪魔」という概念になじみがないので、その存在がもたらす恐怖感というものは、信者の人に比べて少ないのではないかと。
そして見終わった私は思った。これ、悪魔じゃなくて病気だと思う・・・・。もちろん神父や家族に悪意がないのはわかるけど、適切な治療を受けていたら違う結末があったと思う。
映画の中の検事さんの言葉に、いちいち納得した。
馬小屋から馬が逃げ出すシーン。そりゃ、夜中にいきなり人間が乱入してきて、奇声あげながら大暴れしたら馬も驚くよ。悪魔うんぬん関係なく。
映画を見ているとき私の隣の女性が、怖いシーンのたびにビクっと動いて、かなり怯えているのが伝わってきた。エミリーの見る幻覚は、確かに怖い。あれが見えたら日常生活は無理。
脳が作り出した幻覚。だけど見ている本人にとっては現実。
映画の一番最初、朽ち果てた廃屋のような家の、重苦しい空気感が印象的だった。人が住んでいるとは思えないほどの寂れ方。物語の導入部として、演出が光っていたと思う。