レ・ミゼラブル観劇記 1回目

 日生劇場のレ・ミゼラブルを見に行ってきました。

 今日は舞台の神様が降りてきた日でした。大満足です。私はチケット運が相当いいみたいで、今日の席も最高でした。見やすかったし、生の音楽と声に包まれて、うっとりです。

 山口バルジャンは、最初の第一声「自由なのか~」が、ちょっと元気なかったような気がしました。いつもそこで、さすが山口さん、と思うのですけど。でも後半に向けて、どんどん調子が上がってくる感じで、終わったときには見てるこちらがもうぐったりしてました。

 エネルギーをもらえるミュージカルではあるのですが、いろいろ考えさせられる点もあり、それなりに観客としても体力を使うのです。

 今回よかったのは、岡幸二郎さんのジャベール、新妻聖子さんのエポニーヌ、局田奈都子さんのガブローシュでした。

 岡さんのジャベールは、前半山口さんとの対決で全くひけをとっていない! 見てて気持ちがよかったです。ほとばしるエネルギーが感じられました。山口さんも本気で立ち向かっていたと思います。声も艶があってすごくきれい。魅力的だなあと思いました。ジャベールはバルジャンと絡むシーンが多いので、岡さんがジャベールで本当によかった。

 あと、立ち姿もきれいですね。すらっとしていて背が高くて。山口さんが背が高いから、向かい合ったときに身長差がない方が迫力があると思います。

 局田さんのガブローシュは、子供にしか思えません。本当に大人の女性が演じているのか?と疑問に思ってしまうほど、役にはまっている。それも、懸命に虚勢をはっている雰囲気が伝わってくるので、よけい健気なんですよね。子供は子供で、人生の選択肢もあんまりなくて、でも無邪気に未来を信じている。その姿が泣かせます。

 そして新妻聖子さん。私はこの方のエポニーヌが大好きです。

 今回はいつも以上に、エポニーヌに感情移入してしまいました。「銭などないよ~」と歌うシーンが一番好き。

 マリウスに恋をして、でも報われなくて、それでも卑屈にならずにいるところがすがすがしい。コゼットの手紙をバリケードに届けるとき、マントの裾をさっと翻して舞台の奥に消えていく。あのとき、死を覚悟していたことを、背中が雄弁に物語ってます。

 恵みの雨を歌いながらマリウスの腕の中で死ぬとき、目の前には天国が見えていたんでしょうね。暖かな雨の中、安らぎに包まれた穏やかな死。エポニーヌの人生は厳しいものだったけれど、最後があんな感じだったのは救いでした。

 新妻さんの声に含まれる「強がり」と「悲しみ」のバランスが好きです。

 山口バルジャンに関しては、ラストシーンに驚きました。最後、本当に天に召されたようにみえたから。すべての苦悩から解放され、穏やかに微笑む姿が印象的でした。

 今までは豊かな声量にうっとりすることが多かったけど、今回はとにかく「囁き」にやられたという感じです。囁くような歌声(それでも十分な声量ですが)の美しいこと!もう舞台に釘付けで、動く映像と共に十分歌声を堪能しました。

 マリウスの手紙を読んだとき、声に苛立ちと嫉妬が含まれているのもよかった。あれは怒れる父親の声でしたね。

 舞台を真剣に見たので、終わったときにはもうぐったり。帰宅したらよれよれという感じでした。でもどうしても感動を文字にしておきたかったので、眠い目をこすりつつ書きました。さすがに疲れたのでもう寝ます。 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。