ダンス・オブ・ヴァンパイア観劇記 その2

 昨日の続きです。ネタバレ含んでいますので、『ダンス・オブ・ヴァンパイア』未見の方はご注意ください。

 では、次にそれぞれの出演者についての感想を書いていきます。

 教授。市村正親さんはさすがの貫禄。安定しているから、こっちも遠慮なく笑えるという感じ。照れや恥ずかしさを一切感じさせないから、よけい面白いです。本人は普通にしてるんだろうけど、強烈変わり者キャラ。早口言葉みたいな歌の台詞、よく間違えないなあと思いました。あれって、一箇所台詞が飛んだら、その後ぼろぼろになりそうな、危険な香り。役者泣かせの歌ですね。

 サラ役は剱持たまきさん。『レ・ミゼラブル』でのコゼット役のイメージは一変。ぶっ飛んでますね(^^; 悪い女の子になっちゃってます。誘惑に弱く、媚びることも甘えることも、自分の魅力もよーくわかってる若い娘役になりきってました。声の出し方からして、コゼットとは全然違う。サラ役にぴったり。

 アルフレートは浦井健治さん。頼りない好青年っぷりが可愛らしい。臆病で、子供っぽくて、弱いんだけど大好きなサラの前では男らしいところを見せたい意地もあったり。なんだか、小学生男子を彷彿とさせました。ヘルベルトにせまられたときの動揺っぷりも笑えます。

 シャガールは佐藤正宏さん。レベッカは阿知波悟美さん。お二人ともベテランという感じですが、歌にもう少し個性がほしかったような気がします。シャガールに関しては、エロいときにはとことんエロく。娘に厳しい父親のときは、とことん厳しく。強弱がもっとあった方がおもしろいのになあ、と感じました。ちょっと大げさすぎるくらいでもいいのでは?

 マグダ役の宮本裕子さん。美人です。すっごく美しい人なんですよ。傍で見てると、シャガールが夜這いにくる気持ちがよくわかる。でも声量が小さいのが悲しい。オーケストラの音にかき消されて、歌詞がよくわからない部分があるのが残念でした。近くで見るにはいいけど、後方席で歌を楽しもうと思ったらちょっとつらい。

 ヘルベルトは吉野圭吾さん。肉体が非常に美しいです。無駄な脂肪がなくて、つくべきところに筋肉がついていて、Tバックの後ろ姿に釘付け!でした。もともと山口さんと顔立ちが似てるんですよねえ。だから親子として二人並んだときに全然違和感がなかったです。絵になるお二人。

 お風呂から出てアルフレートを追い掛け回すところが笑えました。もう、アルフレートしか目に入らないという必死さがでてました。

 クコールは駒田一さん。言語が不明瞭なせむしの男という役柄ですが、動作のひとつひとつに味があって、見ていて飽きることがありませんでした。言葉も、不明瞭なんだけど言っている意味はなんとなくわかる、という微妙な境界線をよく表現していました。これ、実はけっこう難しい役だと思うのですが、かなりの名演技です。見ていて、自然に感情移入してしまう。クコールという人物に興味を持ってしまう。その過去になにがあったのか、今なにを考えているのか、知りたくなってしまいました。

 伯爵役の山口祐一郎さん。サラが入浴中に、舞踏会へ誘うべくやってくるのですが、これが思いっきりのぞき男(笑)と化してまして。ゴンドラ?なのかクレーンなのか、私はとにかく上空に山口さんの姿が見えた瞬間、あごが外れそうなくらい驚いて、次にこうもりの羽みたいなものが見えたときにはもう、大声で笑ってしまいそうなのを必死でこらえて、下を向きました。声はなんとか殺せても、肩の震えはとまりません。一瞬で目に焼きついた漫画ちっくな映像。この舞台がコメディというのは本当だったのですね。そうは言っても、泣ける曲もあるだろうとハンカチ握り締めてスタンバイしていたのですが、まさか笑い転げることになろうとは。

 しかし、無情なことに周りはあんまり笑ってないのです。曲もコメディ風の曲じゃないし、みなさんじっと聞き入ってらっしゃいます。私はそんな中、一人で震えてました。まったく威厳のない伯爵の姿。「のぞき、のぞき、のぞき・・・・」そんなイメージがぐるぐると頭の中を回ってます。

 せっかくの前方席なのに、今、顔を上げれば伯爵の姿が見えるのに・・・・・。しかし、私は顔を上げることも、歌詞を聞き取ろうと集中することもできませんでした。いったんツボにはまってしまうと、笑えて仕方ないのです。そういえば、公式トップの伯爵様も、夏の露出狂ポーズに見えたし・・・・などと余計なことを考えてしまい、笑いに拍車がかかります。

 周りに迷惑をかけちゃいけない。みんな、山口さんの歌を楽しみにしてきてるのだし。そう思いながら、冷や汗をかく思いで、腿をつねりました。でも洋服の上からだと痛くない。仕方なく腕を少しまくって、そこを思いきりつねりました。何度も、何度も。血が出るのではと思うくらいつねって、笑いをこらえ必死に息を整えました。

 結局、その歌を聞いている間、全く山口さんの姿を見られませんでした。ずっと下を向いたままだったのです。顔を上げれば吹き出してしまうのがわかっていたので、ただ下を向き、震える体を押さえつけ、気持ちが落ち着くのを待ちました。どんな曲だったのか、どんな歌詞だったのか、さっぱり覚えてないところが悲しいです。次回の観劇時には、ちゃんと聴くつもりです。

 螺旋階段で降りてくるシーンはうっとりでした。とても優しい微笑をうかべているのです。そしてサラと向き合い、寸前まで顔をよせては、「いかんいかん。楽しみは明日にとっておかないと」的なことを言って我慢するところがお茶目でした。

 長文になりましたので続きは後日。

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