6月に帝国劇場で上演される『レ・ミゼラブル』。山口祐一郎さんが出演する最初の日、6月16日のチケットをゲット。
以下、レ・ミゼラブルについて語りますが、ネタバレを含みますので、舞台を未見の方はご注意ください。
ああ、またあの山口バルジャンに会えるんだなあ。嬉しい・・・と思うのだが、ちょっぴり残念なことはジャベール。
その日は今拓哉さんがジャベール役なのである。以前にも今ジャベールは見たことがあるが、印象が薄かった。バルジャンに対し、迫力負けしていたような。だから、対決シーンもイマイチだったのだ。ここらへんは個人の好みの問題かもしれないが、私は今ジャベールは苦手。
以前、鈴木綜馬さんのジャベールというのもあったけど、それもあんまり好きじゃなかった。なんとなく、気高い感じなのだ。綜馬さんには皇帝の役がよく似合う気がする。
舞台の上で、歌声には個性が現れる。綜馬さんの場合、バルジャンに食い下がる粘っこさが、あまり感じられなかった。争いごとは嫌いなイメージ。もめるようならあっさり引き下がるし、そもそもバルジャンの持つ善性はいち早く見抜いたんじゃないだろうか。昔のことは水に流してしまいそうな、それだけの知力を感じるジャベール。
じゃあ、誰がジャベールとして適役かというと、私の好みはやはり岡幸二郎さん。なぜかというと、岡さんはたぶん、山口さんのことが嫌いだと思うから(^^;
ジャベールって、大前提として、バルジャンが大嫌い、というのがなければいけないと思うのです。ジャベールにとって、バルジャンは宿敵。よくわからない、理解できない存在であると同時に、自分のアイデンティティや信条をぐらぐらと揺さぶる存在。
だからこそ、バルジャンに負けたと思ったとき、彼は死ななくてはならなかったのではないかと思います。
それだけの強い嫌悪感、そして嫌悪感を持ちながらも気になって仕方がないという存在。
役を離れたところでも、岡さんは山口さんが苦手なのではないかという気がします。それは、以前山口バル×岡ジャベの舞台を見て、対決の歌を聴いた感想でもありますし、岡さんのブログを読んでの感想でもあります。
もちろん、岡さんが「苦手だ」とはっきり書いているわけじゃありません。
ただ、文章が醸し出すものってあるじゃないですか。
人にはそれぞれ個性があって、たぶん岡さんから見た山口さんは、すごく「訳わからない人」だと思うんです。その「訳わからなさ」は、理由はともかく、形に見えるものではないけれど、たまらなく神経を逆なでするもののような。
苛々する得体のしれなさ、みたいなものを、山口さんは持っていて、それは岡さんの繊細な神経をいちいち刺激しているような。
そして岡さんは朗々とした素晴らしい声を持っているから、ジャベールとして山口バルジャンに向き合ったとき、その感情がうまく音に乗って、劇場の隅々にまで響き渡るのです。
岡ジャベールは山口バルジャンを憎んでいるし、負けないし、どちらかが倒れるまで戦うという激しい闘志が垣間見える。これは、ジャベールの職務という一面を越えて、ジャベール自身、存在意義を賭けた戦いのような。
この2人の対決シーンの迫力は、凄いです。だから今年の公演も、できれば山口バルジャン×岡ジャベールで見てみたい。そう思っています。