もしも私がレベッカポスターを作るなら

 いつの間にか、東宝ミュージカル「レベッカ」のHP画像が新しくなっていた。その構図が、どうにもイケてない。

 

 私、レベッカには期待しているのですよ。それだけに、あの画像はどうかと思います。以下、レベッカに関して私の戯言が続きますが、あくまで個人的な意見ですし、ストーリー上のネタバレも含んでいますのでご注意ください。

 まずなにより。山口さんのカツラが似合ってない・・・。なんでかなあ。下の方に小さく写っているキャスト紹介と、同じカツラっぽいのに。下の方の写真は、すごく好き。冷たい目をして、うかつには近付けない威厳を漂わせたマキシム。カッコイイ。

 なのにどうしてあのトップページの大きな写真だと、浮いてみえるんだろうか。いかにも「カツラかぶってま~す」みたいな。

 

 髪型に関しては、「わたし」役の大塚ちひろさん、「ダンヴァース夫人」役のシルビアさんは、いい感じ。特にシルビアさんは、ひっつめた髪が神経質っぽくて、キャラに合っている。きっとダンヴァース夫人は完璧主義者だろう。だから、毎朝、鏡の前で何度も念入りに、髪を整える。おくれ毛の一本一本を、丁寧に撫でつけて。

 鏡の前で一心不乱に、鬼気迫る勢いで身支度を整えるダンヴァース夫人の姿が、容易に想像できる。そんな、扮装写真なのである。

 その強い視線の先には、おそらくレベッカがいる。

 レベッカの姿は画像としてはないけれど、きっとダンヴァース夫人は目の前にありありと、レベッカの姿を思い描いているんだろうなあ。まだ生きていたときとなにも、変わらないように。

 ダンヴァース夫人の出来上がりが最高なだけに、マキシムと「わたし」の、構図のまずさが目立つ。なにがいけないって、マキシムが「わたし」の肩を抱き、同じ方向を見つめているところがそもそも間違いだと思う。

 物語の前半で二人の心はかけ離れていると思うから。スピード結婚した二人ではあっても、お互いに全く、わかりあえてはいない。「わたし」が抱くマキシムへの恋慕、それと同じ位大きな不安。頼りたいのにその人がみえない。その人がなにを考えているかわからない。

 館のあちこちに残るレベッカの気配、それに怯える「わたし」の表情ではない、と思う。

 なぜ、マキシムが「わたし」を背中から抱いているんだろう。そっと重ねられた二人の手。この画にキャプションをつけるとしたら、こんな感じだ。

 「さあ行こう。僕たちの行く手になにがあっても、君を守るから」

 「ええ。信じてる。あなたと一緒なら、どんな未来も恐くはないわ」

 昭和の香がするのは気のせいでしょうか(^^;

 愛する相手に愛されて、それを確信できたなら。ちっともミステリーにはならないんですよ。だって、それってただのハッピーストーリーですもん。どんな苦難があっても、むしろそれは愛を深める小道具にしかならない。

 たぶん、「わたし」がマキシムの愛を確信していたら、この話は最初から成り立たないかと。どんなにレベッカの気配が館を支配しようと、恐くないですからね。

 私、思うのです。マキシムと「わたし」は、少なくとも結婚の時点では、それぞれ違った方向を向いていたんだろうなって。だから私がもしポーズを指定できるとしたら、こうしますね。

 マキシムと「わたし」が抱き合っている。「わたし」は、マキシムを理解しきれない不安と、愛する人に抱きしめられた幸福感と、その二つが混ざり合った表情で。でも、幸福感が勝っている。不安との対比は、8:2ぐらい。新婚だし(^^;

 マキシムの広い背中を、「わたし」の指がしっかりと抱いている。

 若くて、何も知らないお嬢さんな手。白くて、幸福を信じている手。

 一方マキシムは。「わたし」を抱きしめて、なのに心ここにあらずという表情。厳しい目で、遠くを見てる。その何かはマキシムの心を苛み、かきむしり、痛みは常に、心から消えることはなくて。

 通い合わない心、というのが、一目でわかるポスターにするなあ、私なら。

 だ、大丈夫なのかしら、この人たち・・・という違和感のあるカップルに仕立てて、それを、柱の影からじっと見つめるダンヴァース夫人、みたいな。

 ダンヴァース夫人の目には敵意を。

 マキシムの目には、レベッカを。

 マキシムの目。漫画で言うなら、「ガラスの仮面」の真澄さん状態で。白目って感じでしょうか。顔に斜線が入ったイメージでいきたいですね(^^;

 今の構図のままだと、なんだか、<愛し合う二人を襲う悲劇! 仕組まれた罠! ~私達の愛は永遠に変わらない~ 次回、ご期待ください>みたいなんですよ・・・。

 それ、ちょっと違うと思うんです。

 「わたし」がマキシムに対して抱く不安が、全然表に出てなくて。それこそが、この物語のカギになるはずなのに。

 ちょっと長くなってしまったので、続きはまた次回。

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