春なのに草一本生えない土地の謎

 最近お散歩のときに気になるのが荒地。

 荒地といっても、草ぼーぼーという土地ではなくて、春だというのに

 草一本、緑の一筋も見えないような土地なのです。これ、かなり異様な光景。

 除草剤、ですね。草を生やさないためには必要な措置なのかもしれないけど、できるだけしてほしくないなあ。

 一度気になると、目に付くようになるものです。あっちにもこっちにも。

 立ち枯れた草。地面からは、なにも、あのスギナでさえ生えてこない。

 周りの土地にあふれる緑とは対照的な、荒涼とした風景。それが、けっこう多いのです。

 除草剤の怖いところは、無臭であるという点。だから、撒かれてしばらくは気付かない。草が一斉に枯れて始めて気付く。

 ああ、ここ撒かれてるって。

 私がよく通る道にある、荒地。

 きっと持ち主も、もてあましている土地なんだと思う。そこには、いくつかの木が植えられている。

 ただ放っておくわけにもいかなくて、たぶん木を植えたんでしょう。

 木を植えたからといって、雑草は容赦なく生えるので、次には除草剤が撒かれた。

 そして今は、足元に広く茶色い光景が広がっている。

 除草剤は木にまで効かないのか、木の生命力が勝っているのか、木は枯れていない。だけど影響はあるだろうな。

 土地の奥の方は、竹が無数に生えている。手入れされた竹ではなくて、もうのびたい放題、どうにも人間の手がつけられないほどはびこってしまった、竹林。

 雑草が生い茂るのも問題かもしれないけど、ご近所から苦情が出るのかもしれないけど、でもでも、除草剤はやっぱり怖いなあ、と思う。

 だって、普通の土地なら、どんなにやせた地質だって、草は芽吹くから。

 それが、何一つ生えないって、これ異常事態だよ。

 夏の午後、風になびく草の色とか、好きなんだけどな。

 ある程度の高さになったら、刈ってしまえば、その草はいい肥料にもなるのに。

 草刈は体力が必要だから、それができないのかな。でも、土地に除草剤をまくのは、やはり怖いことだと思うけれど。

 除草剤は、雨に溶ける。

 溶けて低い位置に、流れていく。

 大量にまいた除草剤の成分は、近隣の田に流れていく。

 その田で実る稲。

 

 家と家の境だって、怖いよね。

 雑草を枯らす目的で除草剤をまく。

 それを知らない隣のうちでは、家庭菜園をやっている、とかね。

 まいたばかりの除草剤の成分が、強い風にあおられて舞うのにも気付かず、

 窓を全開で涼んでいたり、とかね。これは普通にありえると思う。

 私が荒地の隣の家だったら。

 草ボーボーの方がまだいいなあ。強い除草剤を使われるより。その方が自然だから。

 そりゃ、できれば草刈はしてほしいけど。

 春なのに、草一本生えない土地には、恐怖を感じます。

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