花を食べた日

 ボリジの花が、咲き乱れています。ということで、初めてボリジを食べました。ムシャムシャと。

 ボリジはハーブの一種です。はっと目を引く、澄んだブルーの花が特徴。花びらは五枚。その可憐な色と形から、星に例える人がいるのも納得です。
 地上に、こぼれ咲いた星に見える。

 色が特に、綺麗なんですよ。なんとも言いようのない、明るい青。和名をルリチシャというそうですが、なるほど、「瑠璃」なんですね。

 花は砂糖菓子にして食べるのがメジャーのようですが、生でも大丈夫と聞いたので、ボール一杯に摘み取った花を洗った後、そのままムシャムシャと食べてみました。

 口の中に広がるほのかな甘み・・・。優しい甘さは、どこか懐かしい。子供時代を思い出しました。
 そうそう、幼馴染と蓮華の蜜を吸ったときの、あの味なんです!

 繊細な後味。くどくはなくて、口のなかにふわっと広がって、ゆっくり消えていきます。その甘みは癖になる。ついつい、何度もボリジに手が伸びてしまいました。

 夕暮れ時、みかんの花の芳香に包まれながら空を眺めていると、時間が経つのも忘れてしまう。
 みかんの花は白くて小さくて、なのになぜ、あんなにもよい香りを強く放つのだろうか。

 そしてその香りは、時間がたつにつれて一層、濃くなっていくのです。いったん日が沈んでしまえば、あっという間に辺りは暗くなり。月の光がぼんやりと照らす果樹園は。

 虫を誘っているのでしょうか。夜の闇が濃くなれば濃くなるほど、風に乗る芳香の心地よさに、思わず深呼吸してしまいます。昼より夜の方がよほど、香りは強いです。そこに立っているだけで、香りのベールに包みこまれます。

 傍で揺れてる梅花空木。清楚な姿に惹かれ、鼻を近付けて匂いを確認。見かけ通り、謙虚で清純な香りでした。百合や薔薇のような、個性の強さはありません。近付いてみなければ香りの有無がわからないほど、ささやかな主張です。

 みかんの花の芳香は、それよりずっと強くて。少し離れた場所にいても、無視できないほどの力で、人を引き寄せます。それは、果実であるみかんとはまた違った、独特の甘さを秘めていて。

 何度も何度も、その香りを胸に吸いこみました。

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