久しぶりに東京へ行ってきました。引越してからほぼ、2年ぶりです。丸の内の出光美術館で「長谷川等伯と狩野派」を見ることと、上野の東京国立博物館で「法然と親鸞 ゆかりの名宝」を見るのが目的です。
2年ぶりに降り立った有楽町駅は、懐かしかった(^^)
昔、観劇のために帝国劇場に足繁く通っていた時期があり、私にとってはおなじみの駅。人の多さは、相変わらずでした。
まずは、帝劇ビル1階、帝国劇場正面玄関へ。12月に上演される『ダンス・オブ・ヴァンパイア』のチラシをゲット。私、このミュージカルが大好きなんですよね。
再再演の今回は、見に来られそうもないのが残念です。
そして、エレベーターで9階へ。
開館と同時に駆け込んだためか、人はあまり多くありません。じっくり鑑賞することができました。
そして、見終わった率直な感想。
芸術って、才能なんだなあ・・・と。
狩野派と長谷川等伯のライバル関係は有名ですけど、私は長谷川等伯の絵の方が、すごいなあと思ってしまいました。
これは、狩野永徳も危機感を抱いただろうなあ。
なにしろ、自由でまったく力が入ってないんです。見ていると、この人は描くときに、「こうしなきゃ」とか、「うまく描きたい」とか、全く思っていないんじゃないか、という気がしました。
絵が好きで、絵を描く衝動に駆られて、筆を動かさずにはいられない、という感じだったのかと想像しました。天の与えた才ですね。
線を見ていると、なんだか楽しい気分になってくるのです。
見た中で、一番好きな作品は「竹鶴図屏風」でした。
鶴が、鼻歌をうたいながら歩いてるように見えました。フンフンフーンと。足取りの軽さが、伝わってくるような絵でした。
なんの気負いもなくて。
暖かい空気を感じました。
勝手な想像ですけど、真剣に張り詰めた空気の中で描いたのではなく、筆先は軽やかに、自由に踊ったのではないのかと。そんなことをイメージしてしまいました。
等伯の絵を、三つの言葉で表すなら。
自由、気負いがない、温かい、ですね。笑みのようなものを感じる作風だなあと、そんなことを思いました。
対して、狩野派の絵を表すのは、
豪華、緻密、気合い、かなあと思いました。ゴージャスな大邸宅に似合う絵です。天下人の居城を飾るのには、ぴったりの絵のように思いました。
ひとすじの欠けも許さないほどに、精密に描きこまれた、計算され尽くした作品。迫力が半端ないです。絵の前に立つと、その絵の放つパワーに圧倒される感じです。
例えるなら、狩野派の絵は、大豪邸に飾りたい感じで。
等伯の絵は、山奥の別荘に似合いそうだなあと。
私は個人的には、等伯の絵の方が好みでした。
等伯の、自由かつ魅力的な絵を見たとき、狩野永徳はどんなことを思ったのでしょう。
会場には、等伯以後の、長谷川派の絵も飾られていましたが、それは等伯とは全く違うものだと、私は感じました。
才能は、個人に宿るものなのだと思います。等伯の技術は、言葉を尽くしたところで、弟子に継承させられるものではなかったのではないかと。
似たものは受け継げても。
誰も、長谷川等伯そのものには、なり得ない。
なぜその絵が描けるのか、等伯自身にも、わからなかったのかもしれません。持って生まれたもの。才能ってすごいなあと思いました。
出光美術館は、展示室を出たところに休憩スペースがあって、そこから皇居の美しい紅葉が見えました。しかも、給茶機があり、無料です。しばらくのんびりと、高いところからの風景を楽しみました。
ところで、こういう給茶機のお茶はたいてい味が薄く、あまりおいしいものではないのが常ですが、ここの煎茶は、かなり美味でした。二杯も飲んでしまいました。
おいしいお茶と、美しい景色と。贅沢な時間を過ごせて、大満足の中、出光美術館を後にしました。
さて、次は上野へ直行です。上野駅に近いホテルを予約してあったので、そこでチェックイン前にひとまず大きな荷物を預かってもらい、東京国立博物館へ向かいました。途中、お寿司を買って、上野公園の木陰でささっとお食事。
東京国立博物館の中の平成館で、「法然と親鸞」展は行われています。チケットを買おうとしたら、係の方が「ただいま大変混み合っています」と、何度もアナウンスしていました。
混んでるのか・・・と少し不安になりましたが、実際に会場に入ってみると予想以上の大混雑。
すいている展示から見ようと思っても、すいているところは全くありませんでした(^^;
法然と親鸞、大人気なのですね。
どこの展示も、だいたい人の列が3列くらいにはなっていて、前の人の頭と頭の隙間から、ようやくちらっとのぞけるくらいの状態でした。
じっくり見ようと思っても、たくさんの人がいるので、ひとつのところにとどまるのはちょっと無理で。よく見えないまま、人の流れに流される、という感じでした。
よって、途中で諦めてしまいました。
う~ん。法然と親鸞。興味はあるし、きっとじっくり見ることができたら、なにか感銘を受けたかもしれませんが、とにかく人が多くて身動きがとれなかった(^^;
いくら有難いお経でも、聞こえなくては仕方ない、ということで。
法然と親鸞の展示をやっていたのが、平成館という建物だったのですが。東京国立博物館には、他にもいくつかの建物があるとのことで、そちらを見学してみることにしました。係のお姉さんに聞いたところ、法然と親鸞の特別展チケットがあれば、本館や、法隆寺の宝物館なども行けるらしく。
本館へ行ってみたら、ガラガラにすいていて、展示品をじっくり鑑賞することができました。品数の多さにもびっくり。これは、一日かけても飽きない豊富さです。もっと早くこちらにくればよかったと後悔しながら、それぞれの部屋をまわりました。
この本館。北側にとても素敵なお庭がありました。館内から窓越しに眺めたのですが、紅葉もあり、息をのむような美しさでした。桜の時期なども、きっと素晴らしいのでしょう。
本館は展示品が多く、今回、全ては見られなかったので、またいつか再訪したいと思いました。