あなたのために、の残酷さを

 テレビで、辺見マリさんが占い師に洗脳された話をやっていた。

 心の隙間に忍びこんで、人の弱いところを巧みに探って。そういうやり方をする拝み屋だの、占い師だのが卑怯なことはよくわかるし。こういう番組を放送することで、警告になることもわかるんだけども。

 ちょっとだけ、娘のえみりちゃんが可哀想になってしまった。

 再現VTRの中で、マリさんは何度も、「えみりちゃんがどうなってもいいの?」的な脅しを受けて、お告げにのめりこんでいったからだ。

 まあ、演出なんだろうとは思うけど。
 家族の無事を盾にとって、占い師はマリさんを脅した。その家族の中で、えみりさんが一番知名度があるから、インパクトがあるから何度も、演出上で「えみりちゃん」の名前が連呼されたんだろうけど。

 

 あなたのために、という残酷さを思いました。

 えみりさんは、頼んでないのに。むしろ、マリさんをとめただろうになあ。

 それなのに、えみりさんを思うあまりに、マリさんは騙された、的な流れで、再現ドラマが作られていくことに、「それはちょっと・・・」と思う自分がいました。

 あなたのために・・・・。それは、重い荷物を背負わせる言葉。

 本当にその人を思うなら。あなたのためにしたこと、そのすべてを隠したまま、一生、隠しとおしたままで、いいんじゃないかと。知れば、重荷を背負わせることになるから。

 そんなことを思いました。

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