海へ

 海へ行ってきました。

 いつも思うけど、海はやっぱり気持ちがいいなあ。
 波打ち際に座って、深呼吸しながら水平線を眺めていると、いつしか無心になっています。

 あの、波のドドドという音にも癒されます。大きい音なのに、なぜかうるさくない。それどころか快適に感じられるというのは、不思議なものです。

 そういえば、私は昔、アカウミガメの赤ちゃんが海へ帰るのを、偶然に見かけたことがあります。これはかなりラッキーでした。

 ある日突然海を見たくなり、えいっと出かけて、やっぱり波打ち際でぼんやりしてたら・・・。気がつくと、そこらじゅうで小さな黒い物体がうごめいており。

 それらはすべて、自然に卵から孵った、アカウミガメの赤ちゃんでした。
 日照や温度、潮の満ち引き、すべての要素が組み合わさったベストタイミング。誰に言われることもなく、いっせいに孵化し、同じ方向を目指して歩き始めていたのです。

 まさに、自然の神秘。

 なぜ、海の方角がわかるんでしょうね。音なのか、匂いなのか。それとも方向を関知する特別な器官が、生まれながらに備わっているのか。

 カメの赤ちゃんたちは、よちよちとおぼつかない足取りで。でも着実に。海へと歩いていきました。

 貴重なものを見たと思います。

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