みかんの「はるか」を食べながら、「静謐」という言葉について、考えている。
「はるか」は、皮がオレンジじゃなく黄色、ずばりレモン色。見た目は酸っぱそうにしか見えないのだけれど、食べてびっくり。見かけほど酸味がなく、さっぱりとした甘さでパクパクいける。
そのギャップや味も楽しいが、なにより名前がいい。
「はるか」って、好きな名前なのだ。ちなみに、女優の綾瀬はるかさんも好きだ(^^) 特にマックスファクターのCMがよい。
「はるか」には、どんな漢字が似合うだろう。
「遥か」「晴香」。とっさに思いつくのはこの2つ。前者は、どこまでも続く空。田園風景。遠くに霞む山々。思わず深呼吸したくなる。
後者は、人の名前。響きがキリっとしていて、強い意志を秘めているようで。
強い人が好きだ。この名前から浮かぶイメージは、凛とした強さ。
イメージと言えば、「静謐」という言葉がもたらす、湿度も好き。静けさと一緒に、冷たさと、適度な湿り気を感じるのだ。
「静謐」って、氷に似ている、と思う。温かさに溶けていく水の音。凍りついた水が、音もたてずに姿を変えていく。
溶けた水は、若葉の先に滑り落ちて、水玉は5月の緑を映すだろう。
といいつつ、「静謐」なんて言葉、知識としては知っていても、その意味を深く考えることなんて今までなかった。
考え始めたのは、「静謐」な世界を待つ、なんて表現をした人がいたからだ。その言葉を聞いた日から、事あるごとに、ふっと考えてしまう。
どんなだろうなあ。静謐な世界。
逆に言えば、どれだけの喧騒に、その人は囲まれているのだろうか。うるさければうるさいだけ、その先にある、透き通った世界を待ち望んでいるんだろうか。
自分と同じ世界を、人もまた生きているとは限らない、と思う。その人の目に映る世界は、今どんなだろう。
私はその人じゃないのだから、その人が見ているものをそのまま、見ることなんてかなわないわけですが。見られたらいいのにって、思いました。見てみたいです。
時間がたてばたつほど、「静謐」な世界のイメージは、どんどん膨らんでいきます。