フェイジョアの花びらは、食べることができるのである。
知らなかった。その実は毎年食べてたけど、まさか花びらが食べられるなんて、知らなかった。
満開のフェイジョアの木。芳香はない。おしべが散って、地面を赤く染めていた。その中にどうして白い花びらがないのか、不思議だったけれど。
ある日。フェイジョアの木に近付くと、一斉に物凄い数の鳥が飛び立っていった。食べるものなどないだろうに、なぜ? 一瞬疑問に思ったけれど、そうか。考えてみたら、鳥はあの白い花びらを食べていたんだなあ。
白い花びらをちぎって、口に入れてみた。甘味がある。それは、果実と同じ風味だ。ちょっと、バナナに似てる。南国のスピードで進む時間みたいに、まったりした味である。
花びらを食べながら、そよ風に吹かれていた。空は晴れていた。
平和な午後である。