自分に似た誰か、を思う

 たまにですが、初対面の人に顔を凝視されることがあります。

 最近は慣れてきて、すぐにピンときます。
 あ、また誰かに似てるんだな~と(^^;

 そっくりな誰かがいるみたいです。それも、声や喋り方含めて。世の中に三人は、自分に似た人がいるといいますが、会ってどのくらい似ているのか確かめてみたいですね。

 この間もそういうことがあり。
 自意識過剰?とも思いましたが、凝視する時間が長かったので、これはきっと知り合いの誰かと間違えてるんだろうなあと。
 いっそ聞いてみたかった。
 「あのう、私ってそんなに似てますか?」

 一番最初にそういうことがあったのは、高校生のとき。
 茶道部の先生に、「あなた○○さんと同じ顔よね。どちらがどちらかわからなくて困っちゃうわ」と言われました。仲良くしてた友人からはそんなに似てるとは言われませんでしたが、あまり付き合いのない部員からはやっぱり、「似てるよね~」と。
 複数からそう言われたので、本当に似てたんでしょう。
 私は○○さんを見て、自分に似てるとは思わなかったですが(;;;´Д`)ゝ

 次は、18才のとき。三週間だけアメリカで語学研修を受けたのですが、現地のアドバイザーが、到着後すぐの説明会でチラッチラ私を見るんですよ。
 そのとき部屋の中には、30人くらいいたんですけど。
 なぜかすっごく視線が合いまくるという。
 そして、そのときの話が、交通事故には気を付けましょうという話だったんですね。以前に、アメリカに留学した学生が、交通量の多い道路で事故死してしまったそうです。
 日本から御両親がおみえになり、現地のアドバイザー達も、とても悲しい、いたたまれない思いをしたとのこと。
 勉強うんぬん以前に、まずは健康で、無事に帰国すること、そのためにも道路を横断するときは、くれぐれも気を付けてくださいという話でした。

 そして、その話をするとき、アドバイザーが私の方をちらちら見るんですよね。
 壇上には二人立ってたんですけど、その二人ともが、です。

 見ないように、不自然にならないように努力してるんだけども、見ずにはいられない。だけどいざ視線が合うと、ずっと見ていられなくて不自然に、動揺したように視線を外す、みたいな。
 それが何度も続いたし、一人でなく二人ともだったので、私もピンときまして。
 もしかしてだけど、その交通事故で亡くなった方が、私に似ていたんではないだろうかと。

 まさか、と思いながらも気になったので。説明会の後でさりげなく、声かけてみたのです。雑談もまじえつつ。
 「さっきのお話の交通事故で亡くなった学生、もしかして私に似てました?」

 結果。一瞬すごく驚いた表情をして。その後、不自然な笑みを浮かべて、でも否定はしませんでした(^-^;
 私も事情は察したので、それ以上は何も言いませんでしたが。

 もし違っていたら、「似てないですよ」と当然言うだろうし、態度は明らかにおかしかったので、よほど似ていたんだろうなあと思います。

 3回目の「似た人シリーズ」は、バイト先にて。
 あるメーカーの販促キャンペーンを、単発のバイトでやっていたときのことです。
 通りすがりの人が、私の顔を見て、「○○さん~」と親しげに話しかけてきたのです。名前も違うし、全く知らない人だったのですぐに、「いえ、人違いですよ」と言ったのですが、それでもなお、「またまた冗談言っちゃって~。○○さんでしょ?」としつこい。
 「いえ。本当に私の名前は○○じゃないですし」
 「ええ? でも△△の□□にいたよね・・・(△△はバイト先のメーカーです)」
 「私、△△の人間ではないです。これはバイトなので、本当に人違いですよ」

 そこまで言っても、相手の人は首をかしげていましたから、よほど似ていたのでしょう。しゃべってなお、人違いに気付かないというのは、相当です。声も、喋り方も似てる人なんですね。そんなに似てるなら、会ってみたかった。

 4回目は仕事先。教育係に、「以前私をいじめた先輩に、あなたがとてもよく似ているから」という理由で、ものすごく嫌がらせをされました。

 これは、最初嫌がらせをされる理由がまったくわからず、とても不思議だったのです。特になにをしたわけでもないのに、最初から敵対感まるだしで、数々の嫌がらせをされまして。あんまり露骨だったので、同期の間でも話題になっていたし、よく知らない先輩からも「大変だね」と慰められたり。
 「それにしても、なんで○○(教育係)は、あなたを目の敵にするんだろう」。同期は不思議がっていましたが、教育期間終了間際の飲み会で、酔った教育係が、同期にぽろっと話したそうで。
 「私をいじめた、大っきらいな先輩に似てるのよね・・・」とぽつり。

 5回目は、母がお世話になっていた習い事の先生。私はその先生に会うのは初めてだったんですけど、いろいろお話はうかがっていたので、失礼のないように挨拶しなきゃなあ、なんて緊張してました。

 先生は他の方と談笑していて、私が先生の元へ近付き、先生が私の方を振り返った瞬間。

 私の顔を見て、先生の顔がみるみる変わったんです。浮かんだのは、恐怖。恐ろしいものを目の当たりにしたかのように、先生は硬直して私を見据えていて。

 驚いたのは私の方です。笑顔を予想していたのに、まるで化け物を見たような態度に、私もびっくりしてしまいました。

 初対面の人に、あそこまで驚かれたのは初めてかも。ぎこちなく自己紹介をしたものの、先生はやっぱり、最後まで、不自然な感じで私を見てました。

 後で他の方から聞いたのですが、先生には私と同い年くらいの、娘さんがいたそうです。それも、その娘さんが小さい頃に離婚してしまい、それ以来会ってはいないということで。
 想像ですが、その娘さんと私が、似ていたのかもと思いました。
 あれだけ、おびえた?ように見えたのは、娘さんにたいして、すまないという罪悪感があったのかなあ、なんて想像しました。
 会えてうれしい、という顔じゃなかったから。

 6回目は、東京で働いていたとき。とあるビルの廊下で、すれ違いざまに「○○さん」と声をかけられました。振り返ってみても、全く知らない人です。
 うれしそうに話しかけてくるので、「すみません、人違いだと思いますよ」と話しました。
 「ええ?」と、かなり驚いた様子でしたが。
 私がはっきり「人違いです」と言い切ったので、それ以上は話しづらい様子で、なにか言いたそうに、でも遠慮して口には出さず、私の顔をじっと見てました。

 私もそれ以上、何を言うこともないと思ったので、また歩き始めたのですが。何か気になって振り返ると、その人はまだ、じーっと私を見てました。歩き去る後ろ姿を、凝視してたようです\(;゚∇゚)/

 7回目は、ある日、母から電話がかかってきました。なんと、テレビニュースで流れたある事件の被害者の顔が、あまりにも私に似ているものだから、気になって電話してしまったとか。

 名前も状況も全然違うし、まさか本人というわけはないのですが、それでもなお、あまりにも顔が似ていたものだから、気になってしまったとのことでした。
 それも話を聞くと、父と一緒に夕食を食べている時のニュースで。父が「電話しろ」と強く言ったらしいんですね。
 オカルトめいた話は一切信じない、虫の知らせなども信用しない父でしたが。その父が、胸騒ぎを感じたというのは、本当に相当似ていたんだなあと思います。
 なんでも、二人して画面に見入ってしまい、何度も「似てたな」と、確認し合ったそうです。
 実の両親からみて、それだけ似てるってどういうことだよ~と、私も苦笑してしまいました。

 8回目は、ある事故現場にて。たまたま通りすがった私と友人、それから見知らぬ男性の三人で、救護活動をしたことがあったんですが。

 その後、しばらく会わなかったその友人と食事した際に、そのときの話題になり、こう言われたのです。
 「あの時は言わなかったけどさ、あの一緒に助けた人、あなたのこと、妙にチラチラ見てたんだよ。あなたは全然気付いてなかったみたいだけど。なんかこう、言いたげな感じでさあ。あれ、もしかして気があったのかもよ」

 いえ、違うのです。さすがに、ここまでくると私にもわかりますΣ( ̄ロ ̄lll)
 懐かしいこのパターン・・・。似てたんでしょうね、その人の知っている誰かに。
 この、チラッチラっと見る感じ。
 あれ? まさか? でも似てる? どうしてこんなところに? もっと見たら、本人かどうかわかるのに・・・みたいな。

 それで、9回目がこの間あったんですけど。

 聞いてみたいな~と思ってしまいました。その人は、私に似た誰かに、どんな思い出があったんだろう。
 人に歴史あり、ですからね。
 いろいろ想像してしまいました。
 その人が私を見て、私もその人を見返した時間。
 私の中に、どんな記憶をたぐったんだろうなあって。

 短い時間とはいえ、初対面にしては不自然なほど、みつめあってしまいました。

 今回は、相手の動揺は見えなかったです。すごく静かな感じで。冷静にみつめられてるような。
 でも、探られてる感はあった。
 私じゃない、誰かの記憶と重ね合わせているような。

 もし私がいたずらで、「お久しぶりですね」なんて、さも当人であるかのようにニッコリ笑ったら、相手はどんな返事をしただろう、なんて想像してしまいました。

 どんな言葉が返ってきたのかな。

 それだけ似ている人なら、私も会ってみたいです。

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