そして誰もいなくなった 観劇記 その2

 昨日に続き、そして誰もいなくなったの観劇記です。以下、思いきりネタバレしてますので、ご注意ください。

2005年2月5日土曜日12時開演

 前日の観劇で全体をチェックできたので、今日は山口祐一郎さんを中心に見ました。そこで気が付いたのですが、ロンバードは1幕で、鋭い視線で周囲の人間を観察してるのですねえ。昨日はそこまで気付かなかった。特にブロアに対しては、最初からうさんくさいと思っているようで、ちらちらと視線を送り、なにかを探ろうとしているかのようです。さすが視線をくぐりぬけてきた軍人。それぐらいの観察力がなければ、危険は察知できないですもんね。

 そういえば、途中で「誰が誰を疑っているか」みんなで話し合ったとき、判事を疑っていたのはロンバードだけだったっけ。真実を見抜いていたのか。

 

 そのわりに、女に弱いというのが弱点なんだろうなあ。劇中、殺人がおこるたびにショックを受けるヴェラに、いつも寄り添って気を遣ってあげてた。倒れないよう座らせてあげたり、そっと手をかけたり。最後なんて、ヴェラと2人きりになって、彼女を殺人鬼と疑っているくせに、いざ目の前で倒れたら思わず助けようとするんだもの、いい人すぎる。しかも、その後リボルバーを奪われて撃たれてしまうなんて。

 それだけじゃありません。たまたま弾が外れたからよかったようなものの、めでたしめでたし、でヴェラと抱き合うなんて甘すぎ。自分を本気で殺そうとした人ですよ? 私だったら、絶対信用なんてできないですけどね。

 まあ、お芝居だしハッピーエンドにしなきゃということで、こういうオチになっているのかもしれません。だけどロンバートがこの先死ぬとしたら、絶対女がらみの事件のような気がする。窮地を切り抜ける軍人としての勘も、女性を前にしたら鈍りまくりって、どうなんだろう? 

 山口さん演ずるロンバードの、飄々とした感じに好感が持てました。緊迫した空気の中でも、冗談を言ったり、いつもと変わらぬ調子で堂々としてた。ときどき、取り乱しちゃうようなときもあったけれど、できればずっと飄々としていて欲しかったです。それで、最後の最後でヴェラと2人きりになったときに取り乱す、というふうになれば、もっとラストシーンが盛り上がったような気がします。

 カーテンコールのときに気付いたのは、カーテンコールの登場の仕方、退場の仕方が、もしかしたらすべて台本通り?ということです。その場のノリとか、客席の拍手に答えるというよりも、動作が厳密に決められているような印象を受けました。そういうところが、アガサ・クリスティらしいといえばらしいカーテンコールだなと、そう思いました。

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