私は、昔からオカルトな話が好きでした。科学で解明できない世界に、興味があります。でも、自分自身が不思議な体験をしたことはほとんどないし、友人、知人にそういう人もいないのです。
そんな私が体験した、数少ない不思議な出来事。
それは5年くらい前のことだったと思います。
ある日、お風呂からあがって鏡の前に立ったとき、心臓のちょうど真上に、薄赤いシミのようなものをみつけました。あざ? 内出血? 触ってみても痛みはありません。
知らないうちにぶったのかなあ、くらいに考えて、そのときはあまり気にしなかったのですが。アザの色は、日に日に濃くなりました。大きさは直径1センチ。無視するには、あまりに大きくて、さすがに少し心配になります。
1ヶ月たっても、アザはいっこうに消えません。
形は、まんまる。コンパスで書いたような、正確な丸です。お風呂から出た後は、いっそう赤みが強くなっているようでした。触ってみると、周りの皮膚に比べて少しざらついてるようにも感じましたが、盛り上がっているわけでもなく、ただただ、赤いのです。
打撲の内出血とは、明らかに違います。打撲なら、こんなに長引かないですし。日が経つにつれ、色が濃くなるなんて、ありえない。
もしかして、生まれつき薄いアザがあって、その色が濃くなったのかなあ、と考えてもみたのですが、そんな場所に、薄いとはいえアザがあった記憶など、全くないのです。
しかし、現実に、その赤いアザはくっきりと存在しているわけで。
まあ、あるものは仕方ない。そう考えてほうっておいたのですが。数か月後に(正確には覚えてません)、ふと見ると、完全に消えてました・・・。
ただ、少なくとも2ヶ月程度は、確かに存在していたのです。薄くなる兆候も、一切なく。
今でも、ときおり不思議な思いにとらわれて、あのアザの痕を確認してしまいます。今はもう、全くアザの痕など残っていません。
あれはなんだったのだろう。数少ない、私の不思議体験でした。