ダンス オブ ヴァンパイア

 昨日杉田さんのことを書いたら、ほどなく鮎川さんが名誉毀損で杉田さんを提訴するというニュースが入ってきた。すごいタイミング。もう収束するニュースだと思っていたのに、まだまだ、この騒動は続くんだろうか。

 ところで、ダンス オブ ヴァンパイアである。なにがって、来年の7月と8月、帝国劇場で上演決定なのである。クロロック伯爵役は、山口祐一郎さん。朗々と歌い上げるナンバーが多いようなので、今から楽しみで仕方ない。吸血鬼の役って似合うと思うし、マント捌きには定評のある山口さんのことだから、どんなに素敵な舞台になるだろうと思う。

 吸血鬼のクロロックを追い詰める役として、教授を演じる市村正親さん。市村さんと一緒にいるときの山口さんは、インタビューなどでもとてもリラックスしているように見える。あまり他人に心を許さないタイプの山口さんにとって、数少ない、気心のしれた先輩なんだろうなと思う。

 なぜか、ヒロインのサラ役が発表されていない。やっぱり知念ちゃんだったんだろうなあと想像する。年末のジキル&ハイドに出演予定だった知念里奈ちゃんは、妊娠して舞台を降板することになった。おそらく、来年のヴァンパイアにもキャスティングされていたんではなかろうか。そうでなければ、サラ役だけ発表されていない理由が説明できない。

 

 できれば、オーデションで新人の歌える女性を発掘してほしいなあと思う。他のキャストは有名な方ばかりなのだし、そういう意味での宣伝効果はもう十分あると思うので、この上、話題づくりでアイドルとかタレントの方を引っ張ってくるのはちょっと・・・・。クロロックとサラが2人で歌うシーンがあるので、サラは歌える人でないと困るのだ。山口さんはデュエットのとき、必ず相手に合わせる。相手が歌えなければ、それに合わせた歌になってしまう。それじゃ困るのだ!

 山口さんと、堂々と渡り合えるくらいの実力派の女性がいいな~。無名だろうが、経験がなかろうがかまわない。要は、舞台の上で最高のパフォーマンスを見せてくれればいいんだもの。ミュージカルは歌が命。いくら知名度があっても、歌えなかったら話にならない。

 容姿よりも、なによりも、歌です。問題は。

 東宝の公式ページを見て思ったのだけれど、クロロックの息子役を演じる吉野圭吾さんは、山口さんに顔立ちがよく似ている。モーツァルトでのシカネーダー役は最高だった。レミゼで抱いた、さえないイメージを払拭するくらいすばらしいものだった。ファンの方すみません。でも、どうしてもレミゼのアンジョルラス役は、リーダーというにはあまりにも、インパクトがなかったように思うのです。

 うーん、楽しみ。できれば、訳詞も公募制にしてくれたらなあ。英語訳→日本語訳だったら、私も絶対応募するな。ドイツ語からやれと言われたら無理だけど。

 話題づくりにもなるし、たくさんの選択肢の中から訳詞を選べるわけだし、ぜひ東宝さんにはやっていただきたいなあ。もしいいのがなければ、その時点で、有名な作詞家の方にお願いするという手もある。

 曲と同じように、詞も大事。原詞のイメージを崩さないようなカッコイイ訳詞になることを祈っております。

桜絵巻狸源氏

 宝塚のOGが出演する「桜絵巻狸源氏」に行ってきた。場所は新宿コマ劇場。歌舞伎町は相変わらず雑然としていて、なんとなく怖い。石原都知事が奮闘して、ずいぶん治安はよくなったと聞いたけれど、その前の状態を考えると・・・・。新宿がもっと、安心して遊べる街になればいいなあと思った。

 「桜絵巻狸源氏」は、鳳蘭さんをはじめとする、豪華メンバーが出演するミュージカルコメディ。その時代、その時代のトップスターが顔を合わせるのは、めったにないことだ。最初の幕が上がった瞬間から、華やかさに圧倒された。まさに、ザ・宝塚。お話の中に、昔演じたお芝居のセリフを織り交ぜてあるから、昔からのヅカファンは大うけだった。

 私は宝塚を見に行ったのは「ファントム」の一度しかないので、あまり細かいパロディはわからなかったけれど、「ベルサイユのバラ」や、「風と共に去りぬ」のセリフ部分はわかった。特に、レット・バトラーがスカーレットに詰め寄るシーンなどは、面白かった。宝塚で見たことはなかったが、小説や映画と同じようなセリフだったから、すぐにピンと来た。

 脚本はとてもオーソドックスなものだったので、もう少しひねりがほしいかなーという気持ちはある。だけど、それぞれの出演者にある程度平等なセリフを配分したり、ということを考えると、なかなか奇抜な演出もできないし、無難な線だったんだろうなあ。

 第一部は、ミュージカル。そして第二部は、レビューショーだった。私はこのレビューショーの方が迫力があって好きだ。宝塚のいいところを、ぎゅっと凝縮した感じ。とにかく華やか。きれい。ぼーっと見とれてしまった。舞台に釘付けである。

 OGの方々なので、年齢的には現役生徒さんよりずいぶん上なのだが、舞台の上ではそれを感じさせない。そして、とにかく、スターとしての輝きがまぶしい。

 

 みんな、抜群のスタイル。男役のタキシード姿、娘役のドレス姿。それぞれ、夢のようにきれいだった。特に男役は、実際には女性なので線が細く、漫画に出てくるような美青年の風情。華奢で足がすらりと長く、甘い歌声に観客はメロメロ、という感じだった。

 なかでも、鳳蘭さんの歌には感動した。舞台の上で死にたい、という歌。心がこもっていて、それまでの鳳さんの人生をすべて歌にこめた感じで、この歌は若いスターには歌えないなあと思った。いろんなことがあったからこそ、歌える歌だと思った。

 宝塚は、退団してしまうとこうしたレビューショーに出る機会が、ほとんどなくなってしまうのがもったいない。まだ歌えるし、踊れるのに。トップにのぼりつめた方たちはそれぞれ個性的な魅力がある。東京宝塚劇場はチケットがとりづらく、いつも満席状態なのだから、こういうOG公演を並行して定期的にやればいいのにと思った。

 観劇後の心地よい興奮にひたりながら、新宿御苑を散歩する。私の大好きな公園である。広くてきれいで、たくさんの緑に囲まれているとほっとする。新宿駅のすぐそばにこういう緑の空間があることは驚きだ。森の向こうに、高層ビルが並んでいる。

 天気がよく、暖かな空気の中、たくさんの人たちが寛いでいた。なんて平和で、幸せな情景だろう。池の亀を眺め、プラタナスを見上げ、日本庭園のベンチで一息。雲の流れをぼんやりと見ながら、今年は桜の時期にここへこられなかったことを、いまさらだが残念に思った。