瞬時に叶う

 夢を見た。

 急上昇する小型ヘリに乗って空中散歩。いちおう観光コースのはずなのだが、急上昇のスピードが半端ない( ̄Д ̄;;

 このパイロット。絶対空軍出身だろう…っていうか、このGを一般人に経験させるって、事故起きないのかな~とか思いつつ、耐える。いまさら降りれないし。

 やがて、Gは消える。
 ヘリは安定した飛行に入る。眼下に広がるのは、私の大好きな街の景色。赤いレンガの建物がシンボルマークだ。うっとり眺めながら思う。

 「これが、夜景だったら、もっと綺麗だろうなあ」

 次の瞬間、あっという間に夜の帳が下りる。街はたちまち、暗闇の中で宝石のようにきらきら光り始める。

 夢ってすごい。願ってから叶うまで、所要時間数秒。しかも、夢の中の自分は、そのことにまったく違和感を感じない。当然だと思って、それを見ている。

 空中から見る街の光に酔った。灯りのひとつひとつに、生活がある。だけどこうして遥か上空から眺めると、それらは美しい光の形だ。ざわめきも、この高さには届かない。ただ、光としてしか、認識できない。

 夢の不思議。願いは、瞬時に叶うということ。

 夢の中で、空中散歩を楽しんでいた。

白馬と屋上の夢

 夢を見た。

 夢の中では、よく手入れされた二頭の白馬による、神事が行われようとしていた。毛並みのよい、輝くような白馬は、簡素な荷車を曳いている。人々が見守る前方には、深い谷と、そこにかけられた長い吊り橋。

 橋の幅は、馬二頭がぎりぎり通れる広さしかない。ゆらゆらと揺れる吊り橋の上で、馬は向こう側に無事、たどりつけるのか。それは、不可能な挑戦のように思われた。

 この馬の行方で、吉凶を占うのだと言う。

 時が来て、馬は追いたてられた。かなりの勢いで走り始める。
 ものの20メートルも行かないうちに、左の馬が足元の板を踏み外し、転落した。引きずられてもう一頭の馬も、落ちていった。

 谷底は、見えないほどに深い。もう駄目だ。やっぱり駄目だったか、と思うのだが、なんと馬につけられた綱の端が、吊り橋の床板にひっかかり、馬は二頭とも空中に宙づりとなった。

 馬の脚が、虚しく空を掻いていた。助けてやりたいが、下手に近付けばよけいに暴れて、手をつけられなくなるだろう。この場合、どうすればいいんだろう。
 馬の重量を考えれば、人の手でなにかできることなんて高が知れている。

 神事を見守る厳かな装束の神官は、すーっと滑るように空中を移動し、馬の傍で宙に浮かんでいた。馬の処遇をどうするべきか、また、この結果をどう判ずるべきか、思案しているように思われた。

 場面は変わる。

 また学校の夢だった。古くなった学校、廃校になったものを利用して、専門学科の授業が行われていた。志を同じくする仲間たちが、大勢そこで学んでいた。

 夢の中では、本来は、その校舎で学ぶべきものではない、との認識が強くあった。
 ただ、使える建物が、他にないことから再利用せざるをえなかったのだ。

 どの教室も、実験器具であふれていた。
 ここで学んだ卒業生たちは、知識をいかすべく、全国へと散って行った。

 私も卒業が近かったが、卒業後の進路に迷い、夜の校舎の屋上で思案していた。傍らには友人が一人いて、私たちはあれこれと、素直に本音を語り合った。月のない夜空には、星が無数にまたたいていて、とても綺麗だった。

 そこに、ふらりと一人の先輩が現れた。ぶっきらぼうで愛想がなく、人嫌いで知られる人物だった。その人も、夜の校舎の屋上で、物思いにふけろうと考えたらしかった。
 先客の私たちに気付くと、物凄い勢いで駆け寄ってきたので驚いた。

 

 「大丈夫か!!」
 どうやら、私が俯いていたのを吐いているのと勘違いしたらしく、心配してくれたらしい。勘違いに気付くと、その人は照れくささを隠すためか、またいつも以上にぶっきらぼうな態度でくるりと向きを変え、私たちから遠く離れた場所まで、足早に去って行った。

 「意外と、優しいところあるんだね」
 私は友人と、ひそひそ囁きあった。夜風が涼しく、心地よかった。

 みんなそれぞれ、心に思うことはあるんだなあ、と、そんなことを考えていた。あのぶっきらぼうな人も、心に迷いを抱えて、星を見ながらぼんやりすることがあるなんて。
 そして、一見そうは見えなくても。心の中には温かいものが流れていたりするんだなあ。

 普段、気付くことはなくても。
 一瞬の出来事に、その温かい心は溢れだす。隠しとおせるはずもない。

 夜の校舎は静かだ。離れていながら、屋上にいる三人はそれぞれ、物思いにふけっていた。

夢のお告げ

 おもしろい夢を見た。

 衝撃の台詞! 

>ナイスなウェア着て倉庫へGO!

 これを、真顔で言う友人の夢。今思い出しても笑えてしまう(^^) なんだろう、昭和の香がたまりません。ルー語のようでもあり。

 ナイスなウェアって、なんでしょうね。夢の中の設定では、友人は私を、なにかのフェアに誘っていたようなのですが。ナイスなウェアと聞いて私が思い浮かべたのは、制服でした。

 しかも、夢の中で、時間をおいて2度も同じこと言ったのです。

>さっきもそれ、聞いたから。知ってるよ~。

 と返す私。友人は笑っていましたが。よほど、大事なことらしかったです。何度も繰り返さなくてはいけないほど。

 そんな友人の顔をじっと見ていたら、妙な気分に。これ、彼女であって、彼女でない。別の誰かが、彼女の形を借りて、自分になにかを告げているような。
 彼女の顔の向こうに、違う存在を感じていました。

 そして、レアチーズケーキを食べました。夢の中とはいえ、おいしかった。私の夢はいつもリアルなので、ほぼ現実と変わりません。ちゃんと味もあって、色も鮮やかで。
 ざる豆腐みたいなタイプのケーキ。
 パクパク食べながら、私は作ってくれた人の顔を見ているのです。

>おいしいで~す
>そうでしょう。

 夢の中では、別のお店がケーキのレシピをまねしたと、怒っている人がいました。だから

>絶対こっちの方がおいしい

 と、その人を励ます私。実際、別のお店が作っていたケーキは、緑のマカロンを間にはさんだもので、彩りは綺麗なのですが、いまいち。なぜなら、私はマカロン、あんまり好きじゃないから。

 マカロン一緒に食べるより、この、シンプルなレアチーズケーキの方がおいしいよ~と叫んでいる私がいました。

>ナイスなウェア着て倉庫へGO!

 支離滅裂だけど、強いメッセージ性を感じるセリフでした。

 倉庫ってどこだろう。ナイスなウェアって・・・。言わないよなあ(笑) 思わず妙なリズムで、何度も口ずさんでしまうような、癖になりそうなインパクト。

 もし夢のお告げなら。もう少しわかりやすくしてほしかった。そしたらすぐ、その倉庫に向かうのに。速攻で、ナイスなウェアも買いにいきます(爆)

静まり返った夜の街の夢

 さっき見た夢。

 広い道路を擁する、真夜中のビル街。ビジネス街だから、夜はひっそり静まり返ってなんの物音もしない・・・って、これやっぱり夢だ。
 現実なら、そうはいってもそこそこ灯りはあるし、人気も絶えることないもんね、都会なら。

 なんとなく、東京にいるような気分になってた。

 私が見たその世界では、音がしなかった。そして暗かった。

 すれ違う人がいれば、至近距離まで行ってようやく、気が付く程度。

 場所は・・・ここどこだっけ? 夢の中で頭をひねってたけど、答えはでなかった。初めて見るような、アウェイ感があった。

 それで、私はあせってる。こんな夜間に一人で歩いてちゃ駄目だろと。早く帰らなきゃって思うんだけど、はてさて、帰る場所ってどこよ?

 また考えこむんだけど、わからない。どうしても思い出せない。なにか、この近くのホテルに泊まっていたような気もするし、どこかに部屋を借りて住んでいたような気もするし。

 でも、なんとなく覚えてるのは、それがここから近いってこと。

 おぼろげな記憶をたどり、歩き出すと、1階が店舗になった建物の影に、案外人がいて驚く。

 人といっても、みんな黙りこくって、闇に身をひそめるようにして、縁台みたいなところに寝っ転がってたり。涼をとってるのかな、と思う。寝苦しくて、夜風に当たってるのか。

 そうはいいつつ、無風なんだけど(^^;

 歩けば歩くほど、ときどき、そんなふうに黙りこんだまま寝入っている人たちや、ぼーっと立ちすくむ人影とニアミス。

 そのたびに、ドキっと心臓が跳ね上がる。
 変な人がいるのも恐いけど、「こんな夜中に一人でなにしてんだ」って思われるのも嫌で。

 ああ、帰らなきゃ、早く。
 そして、なんとなく帰り道を思い出したような気がして、地下道にもぐり、再び地上に出ると、歩道の真ん中に建つ小さな建物が目にとまる。
 そうそう、これだった。ここに地図が書いてある。

 古びた扉をあけて中に入ると、誰もいない。蛍光灯は寂しげに、煌々と光を放ってる。

 ここって24時間電気ついてるのかな。誰も来なくても、一晩中ずっとこうなのかな、なんて考える。

 右手に分厚い電話帳が何冊か置いてあって。地図帳のようなものもあって。手にとってめくるんだけど、文字も図も、ぼやけている。いくら目を凝らしても、そこから意味のあるものは読みとれない。
 諦めて、もう一度じっくり考える。
 どこだっけ。どこへ帰ればいいんだっけ。

 不思議なもので、一生懸命考えてるとなんとなく答えめいたものが、頭に浮かぶ。たぶんこの先。遠くないところ。一度また地下にもぐり、また地上に出れば、あとは少し歩くだけでいい。

 建物を出ようとしたとき、電話ボックスに目がとまる。ガラスが割れてるし、かろうじて残った部分も白く曇ってる。いかにも手入れされてないって感じで、古いチラシが貼ってある。でもそのチラシ、不快じゃない。

 レトロで、懐かしい。
 使えるのかな、これ。そう思ったけど、手は出さなかった。

 建物を出ると、正装したおばさま二人に遭遇。今まで出会った人たちとは違い、この人達には生気がある。向こうもこちらを認識したようで、私をじっと見た。この世界で初めて、自分以外の存在に認識されて、緊張する。

 こんな夜中に、あの人たちはどこへ行くんだろう。自分のことはさておき、その人たちの事情が気になる。

 また地下道にもぐる。そして、地上に出る。さーっと、すぐ横に停車した車がある。クラシックカー。内装にはかなり手が加えられているようで、素敵な模様が外からでもはっきりと見える。

 目を奪われていると、再びさきほどのおばさま二人連れが登場。彼女らも、また再会した私に不審の目を向けながら、その車に乗り込んでいく。

 あの人たちの迎えの車かあ。
 ああいう車、他ではあんまり見ないなあ。

 内張り、天井とかが、ウィリアム・モリス調。あの柄を内装に使うと、ごちゃごちゃするんじゃないかと思いきや、ものすごく馴染んでた。ちっとも主張してなくて。

 おばさまの一人は、立派な帽子をかぶっていた。その人は横目で私をじっと見ている。車のドアが閉まるのと同時に、私は走り抜ける。さあ、急がなくちゃ。

 もうすぐそこに、帰る場所があるような気がしていた。そんな夢だった。

海に浮かぶ神社の夢をみた

 昨日は、こんな夢をみた。

 小島に建てられた神社へ、観光で出かける夢。島へは、干潮のときには歩いて渡れる道もあるのだが、かなりの距離がある。
 そのため、便利な船を使う人が多い。

 私も、大勢のツアー客と一緒に、船に乗っていた。

 船は、簡素な桟橋に着く。ツアー客は一斉に、神社に向かって歩き始めた。私は人波にもまれるのが嫌で、先に神社の裏手を散策しようと思いつく。時間をおけば、人がすいた頃にゆっくり参拝できるはず。

 裏手を散策していると、ツアコンがやってきてお弁当をくれた。それを食べていると、そろそろ出発の時間だと促される。

 まだメインの神社を見ていないことにあせるが、今からでは間に合いそうにない。この島での滞在時間は1時間。すでに、40分は経過している。

 せめてお弁当だけは全部食べきろうと思うのだが、それも間に合いそうにない。今すぐ歩き出さなければ、集合時間に遅れてしまう。

 もったいないと思いながらもお弁当を捨て、歩き始める。神社はまたあらためて見に来ればいい、今度は船ではなく、歩いてきてもいい、と自分に言い聞かせながら。

 そんな夢だった。