中古住宅は屋根と壁と配管を見よ

私、建築が好きなのでよく、欠陥住宅関連のブログも読むのですが。ちょっと気になるブログがあって。

直接そこにコメントするのもためらわれたので、少し中古住宅の欠陥について語ってみたいと思います。

欠陥住宅といっても新築の欠陥から中古住宅購入の欠陥から、リフォームの欠陥から、さまざまありますけれど。私が読んだのは、中古住宅を買った方のブログでした。

購入した中古住宅が、雨漏りするそうです。

ああ・・・これは・・・絶対買わない方がよかったなと、思います。というのは、構造的な欠陥でなければ、経年劣化の場所を新しくすれば済むんでしょうけど、たいていこういうのって元々の建て方の問題だったりするので。

たとえば、複雑な構造で屋根の面と面が接する部分が多かったり、天窓があったり、傾斜の緩い屋根や軒ゼロなど、後から変えようのない部分で、構造的に雨漏りをおこしやすい家ということです。こういう家の場合、何かを新品に換えたから雨漏りが直る、ということにはなりません。

雨漏りって、直す→また漏る→直す→また漏るの繰り返しが、一番疲弊しますよね。

そのブログでは、網戸が破れていたことも、ブログ主さんがすごく気にしていたんですが。雨漏りの危険度を100としたら、網戸は0.0001 もないくらい、どうでもいいことです。見た目のインパクトは、破れた網戸ってすごいものがあるかもしれませんけど。見えない屋根の不具合、雨漏りの方がよほど手ごわく、危険ですよ。今後、労力もお金もどれだけかかるかわかりません。

網戸は簡単です。家中全部張り換えても数万円程度でしょう。DIYならもっと安く済みますし、自分でやったからといって、家の耐久性に影響がでるわけでもありませんしね。

でも屋根は。屋根の上に上がって点検することすら素人には危険ですし、ましてDIY施工はその後に影響が大きすぎて、素人が手を出すべきではない箇所だと思います。

網戸や壁紙、床材の張り替えくらいなら、いくらでも自分でやることができますが。屋根はやはり、プロに頼んだ方がいいでしょう。

中古住宅で絶対に確認すべきなのは、屋根、壁、配管だと思います。購入後、何年住めるか、メンテナンス費が大きく変わってきます。

配管も、つまりやすいのは要注意です。それまでの住人の暮らし方と、配管の勾配など、いろんな要素で詰まり方は違ってきますけれど。一時的に高圧洗浄等でつまりを解消したとしても、もともと詰まり易い場所などは、また詰まる可能性が高い。

屋根と壁と配管は、慎重に確認しておかないと泣きをみることになると思いますね。修理に多額の費用がかかります。中古だからと安く手に入れても、その後のメンテナンスで莫大な費用がかかるなら、いっそ新築を建てた方がよかったと後悔するでしょう。

一方、どうでもいい部分というか、あまり気にしなくていい部分は、網戸、壁紙、床、キッチン風呂洗面台設備ではないでしょうか。

キッチン風呂洗面台などの設備は、たいてい中古住宅だと新しくリフォームしていますけど、古いまま購入して、それからリフォームでも全然OKだと思いますね。それなら自分の好きな機器を選べますし、古い水回りの様子をみることで、前住人の生活の仕方がわかってとてもいい。

綺麗好きで、丁寧に暮らしていた人の中古住宅は、お買い得だと思います。排水溝に変なものを流さないよう、こまめにそうじして生活していた場合、そういう性格は水回りの設備の様子にしっかり出ていますよ。いくら古くてもピカピカに磨かれた機器なら、安心できます。いくらプロが入って掃除しても、長年の生活習慣の結果というのはどうしても見た目に現れますので、リフォームがなく古いままの水回りの設備なら、むしろお買い得なのかもしれません。ちゃんと過去を、確かめることができる。

屋根に関しては、他がどんなに魅力的でも、屋根の性能に不安を感じたら、その中古住宅には手を出さない方がいいんじゃないかと思います。怖いですよ、屋根の雨漏り。

私が読んでいたブログの方は、もう正式契約してしまったのですが、その前の手付の段階でもずいぶん迷っていたようです。手付を倍返しして、契約解除することもできたみたいですが。やはりお金のことを思うとためらってしまったみたいで。

でも私がアドバイスするとしたら、何千万もの高額な買い物。不安を感じたら撤退した方が正解だったように思います。

交渉の余地があったかもしれないですね。雨漏り以外にもいろいろ不具合は発見されていたようなので。そういうことを理由に解約を申し出たら、倍返しではない解約が、双方の合意でできたかも。要は、相手が納得すればいいわけですから。第三者を入れて、解約に持ち込んだ方がよかったと思います。

今となってはもう契約後、購入してしまった後ですから、雨漏り修理について売主さんと話し合いながら進めていかなければなりません。今できるアドバイスとしては、雨漏り修理は必ず原因を確認してから修理にはいること、ですね。よくわからないまま、たぶんこれでいいだろうという見切り発車が一番まずいです、雨漏りは。希望的観測はたいてい外れます(^^;

原因がわからないまま、とりあえず怪しいすき間にコーキングを打つ、というのが一番まずいパターンです。傾斜屋根って、もともと屋根材の隙間から多少の水は入りこむ構造になっていまして。でも水が入っても、防水シートがあるから、入った水も防水シート上を流れて出ていき、問題はないわけです。

ところが、とりあえず打ったコーキングがもし、水の出口だったらさあ大変。出口をなくした水は、別の出口から出てしまい、雨漏りが悪化します。別の水の道ができてしまうのです。

だから、原因究明失くして屋根の修理はありえません。雨漏り修理は、業者間の知識と技術の差が大きいので、とにかくいい業者さんを探すことと、自分達もある程度勉強して、原因説明と修理方針に納得してから工事をすることが大切です。