8月4日 ソワレ 帝国劇場 前方センター席。
モーツァルト! を観劇してきました。
以下、ネタバレしておりますので、未見のかたはご注意ください。
「モーツァルト!」を観劇するのは2度目です。前回は、井上芳雄さんが演じるモーツァルト(ヴォルフガング)を見たので、2度目は中川晃教さんが演じるのを見ようと思っていたのですが・・・。どうしても、前方のセンター席がとれませんでした。
来週あたりから、そろそろ仕事の方が忙しくなってくるものですから、今週を逃すともう見られないかもしれないし・・・・と悩んだ末、とにかく、良席のチケットがとれたら、配役に関わらずそれを見ようと決めまして。結果、井上さんのヴォルフガングをもう一度見ることになりました。
前回、シカネーダーを演じた吉野圭吾さんの、あまりの名演技っぷりに衝撃を受けたものですが、今回も吉野さんは素晴らしい!! とにかく細くて、スタイルいいんですよねえ。普通に生活するぶんには、痩せすぎなんじゃないかと思ってしまいますが、舞台上ではひときわ輝くのです。
あのシカネーダーのダンスは、ぜひご覧になってください。なにかをたくらんでいるような、意味ありげな笑みも印象的です。とにかく怪しいオーラが全開。
初めてモーツァルトを見たときから、数日間は、シカネーダーの姿が頭から離れませんでした。それだけ衝撃的です。モーツァルトの主役はモーツァルト。なのに、なぜあんなにも忘れられない人物なのか。
舞台って、怖いですねえ。主役よりも目立ってました。あまりにもハマリ役すぎます。シカネーダーが吉野さんなのか、吉野さんがシカネーダーか。長髪がかなり美しいです。
もしも吉野さんがシカネーダーでなかったら、この作品の魅力は半減しているのではないでしょうか。それだけ、いい味出してます。また見たいです。センター前方で。レ・ミゼラブルは歌がメインのミュージカルだと思うので、よくB席で見ていました。でも今回のこの作品は、シカネーダーを間近で見たいがために、どうしても前方センター席にこだわります。
吉野さん。本当に素晴らしかった。吉野さんを見る目が変わりました。レ・ミゼラブルのときとは、全然違います。
井上ヴォルフには、前回見たときよりも、丁寧さを感じました。セリフの一つ一つ、動きの一つ一つに心がこもってます。前回は少し、荒削りで感情的なイメージだったんですが、今回は繊細な感じ。こういう神経の細やかな感じが、いかにも井上さんらしいなと思いました。
舞台上で発するエネルギーはすごいですね。最初から最後まで、若者のエネルギーが爆発してました。自分の中の情熱をもてあます演技に、若さを感じます。
さて、前回と配役が違ったのは男爵夫人とコンスタンツェです。まず男爵夫人。歌がうまいです。前回の久世さんよりも、余裕を感じる歌でした。
ただ、なんとなく宝塚っぽさが気になってしまって。どこがどうとは、うまくいえないんですが、宝塚っぽいなあと思ってしまうのです。男役っぽい歌い方? なのかなあ。男爵夫人になりきっていないように思えました。あそこは、貴族ならではの優雅さ、女性らしさがほしいです。
ヴォルフガングを導く重要な役どころなので、もうワンステップ役に入り込めたら、もっと観客の心に響いてくると思う。
コンスタンツェ。前回の西田ひかるさんより、私は今回の木村佳乃さんが好みですね。なによりも声。存在感。西田さんの場合、どうしてもお嬢様っぽい品行方正な空気が伝わってくるのですよ。
西田さんで見ていたときは、西田さんで満足していたんですが、木村さんで見てしまうと木村さんのよさを実感します。
蓮っ葉で、単純で、わがままなところもあり、そういう「いい子ちゃん」でない魅力があふれているから。きっとモーツァルトだったら、よき妻になるような西田さんではなく、木村さんを選んでいたと思う。
無味無臭ではない、突き抜けた個性が魅力なんですよ。生命力が強いというか、輝いている。きらきらしている。そういうものが伝わってくるから、モーツァルトがコンスタンツェに惹かれた気持ちがよくわかる。
ただ、惜しいのは声量。盛り上がって、ここぞというところで声が小さい。がっかりでした。そのときだけ「これが新妻聖子さんだったら」と思ってしまいましたよ。新妻さんの声は、気持ちいいくらい通りますから。
木村さん、声そのものはとてもきれいなんだから、発声の訓練をしたらもっと歌えると思うのです。もったいない。喉の奥がきちんと開いていないような歌い方でした。
井上さんと声の相性がいいですね。すごくお似合いの二人だったように思います。だから、気持ちがすれ違っていくときの悲しみが、よけいに増したような気がするのです。木村さんのコンスタンツェ、とても純粋な感じだったから。本当にモーツァルトを愛していたのに、どんどん二人の距離は離れていった。
また長文になってしまったので、続きはまた後日。