『マリー・アントワネット』観劇記 その3

 帝国劇場で上演された『マリー・アントワネット』の観劇記です。ネタバレ含んでますので、未見の方はご注意ください。

 涼風さんの演じるマリーで気になったのは、フェルセンからもっと民衆の声に耳を傾けるようお説教される場面。「なんで私が・・・」という感じで反発するとき、女王様っぽい怖さがあるのです。大人の女性、という感じ。

 マリーの幼さ、子供っぽさが出るといいのになあと思いました。

 「理屈なんてわかんない。難しいことなんてわかんない。愛しいフェルセン、私だけを見て。つまらないことで私をわずらわせないで。楽しくておもしろいことだけを二人で見ていましょうよ」

 

 こんな台詞が実際にあったわけではありません。私の想像です。マリーは元々、そういう人だったんだろうなあと思うのです。たとえばマルグリットにシャンパンをかけてしまったことも、彼女にとってはほんのいたずら心。やられた方はたまったものではありませんが、おそらくマリーにとって、軽い冗談のつもりだったはず。

 

 だからあの場面で、低く大人びた声だと怖い感じがしてしまって、違和感があります。子供っぽくすねてみせたほうがいいのでは?と思いました。

 あと、「こんな別れ方は・・・イヤ」だったかな? その台詞の言い方がすごく、不自然な感じがしたんですよね。これはたぶん演出の指示だと思うんですが、ここはもう少し、他の言い方にした方がいいんじゃ?と思いました。

 子供達を連れて宮殿から逃げ出そうとして、ルイに反対される場面。今までのわがままなマリーなら、「わかりましたっ!!じゃあ私たちは行きますからあなたは残ればいいのよっ!!」とヒステリックに叫びそうですが、静かにルイと共に残る選択をしたことに、驚きと感動をおぼえました。

 とっさに、「エリザベート」のことを思ってしまいましたよ。

 エリザベートより、よほど好感がもてます。

 子供たちを守るためマリーは必死だったし、いざというときには夫、ルイに従ったのですから。

 

 後半、マリーにとっては苦難の日々が続きますが、観客として見ている方も感情移入してしまって、つらかったです。息子と引き離されるシーンでは、私の周り、あちこちからすすり泣きが・・・。それくらい、真に迫る演技だったのですよね。子供の悲鳴、マリーの叫び。

 髪もすっかり白くなったマリーが、フェルセンと再会するシーン。抱擁だけでなく、熱烈なキスも交わすのですがこれが生々しくて、見てる方が恥ずかしい(^^;ここで、キスする必要性を感じないですね。

 実際どうなんだろう。思いがけず恋人に再会した瞬間。

 マリーなら、キスうんぬんより、ただ抱きついて、泣き崩れるような気がするのですが。子供のように、フェルセンの胸にすがってただただ、泣き続け、その胸で安心感を得ようとするのではないでしょうか。自分の子供達がいる前で、恋人同士のような濃厚なキスをするという光景には、違和感をおぼえました。

 

 長くなりましたので続きは後日。

 次は、山口さんが演じたカリオストロの感想を書こうと思います。

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