東宝が制作したミュージカル、マリー・アントワネット、通称MA。
2006年の11、12月に帝国劇場で上演された。2007年の1月は博多座、2月現在は、大阪の梅田芸術劇場で上演中である。そして4月、5月には、再び東京の帝国劇場へ帰ってきて、凱旋公演となる予定。
その凱旋公演で、山口祐一郎さん演じるカリオストロ伯が新曲を歌うことになったと発表があった。以下、ミュージカルの内容ネタばれ有で語りますので、舞台を未見の方はご注意ください。
私は、去年の12月に帝劇で2回見ただけである。だからあんまり偉そうなことは言えないし、作品の細かいところまではよくわからないのですが・・・・。その2回見た感想としては、「すごく悪くはないけど、特にチケットを買い足してまで見たくはない。絶賛はできない」というところでしょうか。
見終わって1ヶ月以上経って、思うこと。
カリオストロ伯爵の存在意義が、よくわからない。すべてを操る存在のわりには、舞台での扱いが軽すぎる。歌も少ない。
特に、ボーマルシェとの関係性が謎すぎる。
アントワネットが牢獄でフェルセンとキスするシーンが生々しいし、濃厚すぎ。いくら好きな相手だとしても、自分の子供たちの前で夫以外の相手と抱き合うのは、なにか違う気がする。それを見た後で「子供たちのために私は・・・」みたいな母親アピールをされても、嘘っぽく見えてしまう。
マルグリットが娼婦に堕ちる過程が、唐突すぎる。軽い気持ちで、お金目当てに娼婦になったような印象があって、あまり悲惨さを感じない。
主な感想としては、こんなところです。
今度、凱旋公演ではカリオストロ伯爵の新曲が追加されることになったと聞いて、おいおい・・・・と思いました。たしかにMAは、上演前の大々的な宣伝に比べチケットの売れ行きは今ひとつだけれど、だからといって新曲追加? それって、山口さんに歌を歌わせておけばチケットが売れるだろうという考え?
たしかに山口さんは歌の人だと思うし、その人に歌わせようっていうのは当然の考えだと思うのですが、それって、凱旋公演の前に急きょ練習させるってことですよね? それなら、最初からそういう演出でやってほしかった。
新曲追加!!と、その言葉が宣伝文句になるのなら、それなりに長い曲になるだろうし、そしたらお話全体を変える必要が出てくるし、そんな時間あるのだろうか? 全体を通して、筋の通った流れになるのだろうか?
梅田芸術劇場の千秋楽が3月5日。帝劇の凱旋公演初日が4月6日。大曲を追加した大掛かりな変更をするのに、十分な日程とは思えない。追加曲のある山口さんだけでなく、その曲を入れたことによって生じる変更点は、全員に関わってくるものになるのではないか?
追加曲が、大曲でなければ変更点も少なくてすむだろうけど、それはそれで、宣伝文句に異議有り!ということになる。
うーん。東宝の熱意が空回りしているような気がしてきた。一生懸命、いい舞台にしよう(チケットを売ろう)という気持ちはわかるけど、逆効果になるんじゃないかと。追加曲か・・・。全体の流れの中で、どういう曲が、どんな風に入るのか今から気になるなあ。
文句言っているだけというのもどうかと思うので、じゃあ私が演出の立場で自由に変更できるとしたら、どうするかというのを考えてみた。
まず、カリオストロにもう少し存在感をもたせる。そのためには、もう少し舞台上で目立つようにさせるかな。神出鬼没ということで、今でもよーく見ると、いろんな場面でひっそり出演してるみたいだが、正直、私が見たときは気づかないところが多かった。後から友人に、「あそことか、あそこに出てたんだよ」と言われて、「えーーー!!見たかったけど全然気づかなかった」と悔しがったものです。
もう少し目立っていいと思う。舞台の真ん中で物語が進行するとき、脇にも数秒間明るいライトを当てて、「傍観するカリオストロ」をアピール。そうすれば、すべてを操っていた的な存在として、観客が理解しやすいと思う。
MAは、歌自体はいいものが多いのだ。カリオストロの歌もそう。「幻の黄金を求めて」とか、「七つの悪徳」。名曲だと思った。無理やり曲数を増やさなくても、話の流れの中で心を打つ曲が一つでもあれば、観客はリピーターになるんじゃないかと思った。
ちょっと長くなりましたので、続きはまた後日。