『ガラスの仮面43巻』美内すずえ

ついに『ガラスの仮面』43巻が発売された。42巻の発売から、実に4年・・・。長い、長すぎます。このペースで続けたら最終巻はいつになるのだろうか、と心配になってしまいますよ。未完で終わることだけは避けてほしいな。

最終巻がたとえどんな結末であっても、その結果を見届けたい気持ちでいっぱいです。ラストシーンはいつ、拝めるのだろうか(^^;

以下、43巻の感想を書いていますが、思いきりネタバレしていますので、未見の方はご注意ください。

正直、42巻を読んだときほどのインパクトはなかったかな~と思います。ものすごくドラマチックな出来事があるわけではなく、淡々と終わったような感じ。相変わらず、マヤは紅天女をどう演じるか悩んでいて、その話がメイン。合間に、真澄さま(マスミン)との萌えエピソードあり、桜小路くんとのほんわかエピソードあり。

桜小路くんとのエピソードは、昭和臭を感じてしまいました。ペアのいるかネックレス。42巻のときは微笑ましく読んだのだけれど、43巻ではいささか、ひっぱりすぎのような気がしました。

桜小路くんの気持ちがよくわからないです。

「待つよ」って、待てるものなのだろうか? 私だったら、他の人に心ひかれて、その人を忘れられなくて返事をためらう人を、待つことなんてできないなあ。告白した時点で駄目なら、無理なのでは? と思うのです。

待つのはつらいけど、それでも待たずにはいられないほど、マヤが好きなんだろうか。でもマヤと桜小路くんは、わかりあえないような気がする。

実際つきあったら、桜小路くんの方があっさり飽きてしまいそうな・・・。やっぱりマヤの運命の相手は、マスミンしかいないでしょう、うん。マスミンとマヤは似ているところがたくさんあるし、一緒になってもうまくいきそうな気がする。ほのぼの新婚生活が想像できてしまいます。

43巻のマスミンで一番心に残ったのは、婚約者の紫織さんが紫のバラを選んだときに、「その花だけはダメだ」と、それを許さなかったところですかね。もう無意識に真顔になっちゃって、いつも紫織さんに見せていた営業用の笑顔なんてあっという間に崩れ落ちちゃった。平静を失い、素を見せてる。仕事の鬼とは思えない、もろさを露呈しちゃいましたね。

私はその瞬間、思わずマスミンにツッコミを入れてました。だって、マスミン、「夢は捨てました」とか言ってたくせに、全然マヤのことを忘れてない。

マスミン、世間の人はそれを、「未練」と呼ぶのですよ・・・(^^;

おれには関係ないだの、願い事は叶わないだの、諦めたふりをしてみせても、バレバレです。無意識でマヤを想ってしまうのは仕方のないことだとしても、不審げな紫織さんになぜ、「いいですよ」と言ってあげなかったんだろう。本当にマヤを諦め、影から支える決意をしたなら、それができるはず。

「ははは。紫のバラとは珍しい。紫織さんにはよく似合いますよ。ここにあるのは全部買いましょう。これが気に入ったのなら、注文してまた、お家の方へも届けさせますよ」そこまで言いきって、でも青ざめてるマスミンが見たい・・・かも。

マヤを本当に諦めてしまうなら、決して成就しないとわかっているなら、それくらいやらなきゃ見抜かれます。紫織さんに紫のバラをあげなかったのは、「これはマヤだけのものだ!!」という強烈な意識があるんでしょうね。それを隠して結婚しても、うまくいかないと思う。

偽りの結婚をしても、マスミンの苦悩は深まるばかりで、紫織さんはすぐに、その理由を知ってしまうでしょう。

ちなみに43巻の笑いのツボは、聖さんでした。花屋さんになって、マヤに紫のバラを届けるという。聖さんが花屋さんになる必要性、あったんでしょうか・・・。普通に注文すれば済むわけですしね。あえて直接届けるのは何故なのだろうか?

マスミンがどんな顔をして聖さんに命じたのか、それを考えると笑ってしまいます。大事な人に届けるバラだからこそ、そんじょそこらの店には頼めないと思ったんでしょうか?それとも機会さえあれば、聖さんがマヤからメッセージをもらってきてくれるのではという、期待があったから?

マヤからのメッセージをもらってこいだなんて、実際口にはしないだろうけど、マスミンは心の中で、聖さんに厳命していたんだろうか。そしてバラの配送を頼まれた聖さんは心の中で、「またこんな仕事かよ。そういうのはお店に任せとけっちゅーの」なんて毒づいてたりしたんだろうか。想像はふくらみます。

聖さん、有能そうな人なのに。マスミンから頼まれる仕事って、マヤの隠し撮りだったり、ストーカーちっくなものが多くて気の毒。

細い、表には出せない隠れたつながりであっても。紫のバラの人として、マスミンはマヤの心に生き続けたいのですね。

桜小路くんとマヤの楽しそうな様子に、嫉妬するマスミンの姿が印象的でした。

44巻が出るのはまた、4年後になるのでしょうか。楽しみに待ちます。

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