偶然の再会

 私が会社の同僚と歩いていて、その同僚が通りすがりの人の落し物をみつけ、声をかけ。

その通りすがりの人がお礼を言って、ふと私を見た瞬間。

 二人とも同時に叫んでました。昔の同級生でした。

 ドラマかい!!と思うような、偶然の再会。

 仲良しだったんだよね~。でも、ある時期を境に全く連絡をとらなくなってしまっていた。

 ただ、その日の朝。急にその子のことを思い出してた。

 どうしてるかな。元気にしてるかな。

 風の便りに、子供を生んだと聞いたけれど・・・。

 そんなことをふっと、思い。でも、日中になれば、すっかり忘れていた。

 彼女は全然、変わっていなかった。中学生のときのままの顔で、本当に嬉しそうに笑ってくれて。

 なにか言いかけて、でも懐かしすぎて、言葉にならないという感じで。

 ただただ私たちは、ニコニコ笑いながらみつめあっていた。

 一瞬で、時間はさかのぼる。

 ああ、本当に、私たちは純粋でオバカな中学生だった。

 あの頃の自分たちを思うと、胸が痛い。

 貴重な時間だったな。よく遊び、よく語り、毎日を全力で駆け抜けていた。

 「電話、変わってないから。電話してよ」

 彼女はそう言ってくれた。

 そうだ。以前、黙って引っ越して、住所も電話も知らせなかったのは私の方だ。

 それでも彼女は変わらない。

 不思議である。

 なんだかとっても、一瞬で気持ちは戻るから。

 あの頃、彼女は親友だったのかもしれない。一番長く、一緒にいたのかもしれない。

 別段、重大な秘密を打ち明けあった仲というのでもなく。

 話す内容なんて、他愛のないものだったけれど。

 気が合う、なんだか安心できるという点において。

 そういう人と、一度の人生、何人にめぐり合えるだろう。

 仕事中で急いでいたので、私はそのまま手をふった。

「ごめん、仕事中だからさ」

「うん」

 私は、待たせてごめんと同僚に詫びて、また歩き始めた。

 まだ心臓はドキドキしていたし、感情は大きく波打っていた。

 

 こういうのって、すごいかも。

 なにか一つでも違う要素があれば、お互い気付かずに終わってただろう。

 私はすれ違う人の顔など、ほとんど見ないし。彼女も、

どちらかといえば、キョロキョロしながら歩くタイプではないし。

 人との出会いは、不思議なもの。

 会いたいと願っても、縁のない人とは出会うことはないし。

 逆に、会いたくないと思ったところで、運命の歯車がピタリと合わされば、

嫌でも、会う状況が作り出されてしまう。

 思いがけない再会でした。

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