昔のドラマ、『青い鳥』を久々に見ました。
以下、感想を書いていますがネタバレしていますので、未見の方はご注意ください。
本放送は1997年の10月とのことなので、もう13年も前のドラマなんですよね。
私は当時、あまり熱心に見ていなかったんですが、今回久しぶりに見て感動です。
こんなに綺麗な絵のドラマだったんだーと。
昔見ていたときに、一番印象深かったのはやはり、理森(よしもり)の目の前で、かほりが
崖から飛び降りてしまうシーンでして。
衝撃でした。
主人公の1人が、こんなにも簡単に、あっけなく死んでしまうなんて。
それに、理解もできなかった。
守るべき子供だっているのに。
理森が、「大丈夫だよ。俺が守るから」って言ってくれたのに。
その理森の目の前で飛び降りるなんて、どうしてそんなひどいことができるのかと。
当時の私は、かほりに腹を立てたものです。
でも、今あらためてドラマを見ると、当時とは違う感想を抱きました。
かほりの判断を、いちがいには責められないかも・・・と。
かほりを演じた、夏川結衣さん。本当にとっても綺麗で、そりゃあ理森が
一目ぼれするのもわかるって感じの美しさで、それでもって、全身から寂しさがあふれ出ている。
それは、理森も一緒だったのかなあと思います。
だから惹かれあったんでしょうね。同じ寂しさを抱えたもの同士にしかわからないような何かを、
お互いの中に見ていたような。
かほりは。
がんばってきたんだろうなあと思いました。かほりなりに。
若くして結婚し、子供を生んで離婚して。水商売で苦労しているときに
佐野史郎さん演じる広務に拾われて結婚し・・・。
救ってくれたことには感謝してる。でも、愛があって結婚したわけじゃなかった、という気持ち、
わかるような気がします・・・。
広務は広務なりに、かほりを愛していたのかもしれませんが。
でも、本当にかほりを理解していたかというと、疑問が残るのです。
美貌の妻、自慢の妻が欲しかった、というのが結婚の理由では?と思ってしまう。
自分の横に立って、人から賞賛される妻であれば、別にかほりじゃなくても
よかったんじゃないかなあという気がしました。
広務が理森とかほりに対して激高するのは、自分のプライドが傷ついたからで。
あのとき、崖の上でとっさにかほりが何を考えたか。
もしあのまま、飛び降りることなく理森に抱きしめられたままでいたら。
手斧を持って激怒している広務は、きっと2人を傷つけたでしょう。
3人で揉みあいになれば、誰かが足を滑らせ、崖から落ちたかもしれません。
そうなれば、詩織は?
母親も、慕っていた理森も、義父の広務も、それぞれが被害者、加害者になり
警察沙汰になるばかりか、死んだり後遺症の残るほどの傷を負ったりして、
詩織の保護者は誰もいなくなってしまうかもしれません。
自分さえいなくなれば、と、とっさに考えたんだと思います。
それと同時に、もう疲れてしまったんだと。
理森と出会って、幸せを知ってしまったから。
いっそ知らなければ、そういう幸せを求めないでいられたのに。
理森と詩織と、3人で過ごす幸せを知ってしまったから、それを失うことに絶望もし、
そしてそうした幸せがあまりにもあっけなく崩れてしまうことに、疲れてしまったのかもしれません。
どこまで歩いても、青い鳥はいない・・・・。
ドラマのタイトルに絡めるなら、そんな気持ちだったのでしょう。
「ありがとう」と言って、目の前で消えていったかほりを。
ただ、呆然と見ているだけの理森。
その表情が印象的でした。
このドラマ、理森はかほりを殺したとして服役し、出所後に、結果的には
詩織と結ばれるわけですが。
それって、倫理的にどうなの?という気持ちがないわけではないですが、でもでも。
結局は、理森が好きだったのは。本当に心底惚れていたのは、やっぱりかほりのような
気持ちがするんですよね~。
それはやっぱり、理森の、かほりを見る目が。
完璧、恋に落ちちゃってたから。豊川悦司さん、演技うまいです。
寡黙だからこそ、目で語ってましたね。
決して、でしゃばらない。だけど、遠くから見てる。見ずにはいられない。
それくらい、好きになっちゃったからっていう。
かほりの涙を、指でそっとぬぐってあげるシーンが好きでした。
優しいなあって。
すごく抑えてるんですよね。情熱も、想いも。
ただ流れにまかせて。
愛しい人を見ている、そういうところがいいなあと思いました。
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