じわじわくる甘茶と羅漢果

 花祭の日に甘茶を飲んだのだが、懐かしい味で驚いた。これはあの、羅漢果ではないのか・・・と。

 調べてみたところ、甘茶は、アマチャという植物の葉っぱから作っているらしい。ということは、羅漢果とは全く別物。
 しかし、その甘さは、羅漢果にとても似ていると思った。

 昔、私は羅漢果にハマったことがある。
 初めて飲んだ時、不思議な味わいに魅了された。なにしろ、甘さがじわじわやってくるのだ。強烈に甘い、というわけではない。ほのかな甘さが、後から後からひたひたと押し寄せる。
 飲み終わった後、しばらくたっても、甘さが広がるあの奇妙な感覚。
 劇的に甘ったるいわけではない。むしろほのかな甘さだった当初の感覚が、いつのまにか口いっぱいに広がって、これ以上はないほどに満たされる。

 その頃、スーパーでは普通に、羅漢果を販売していた。
 そういえばこの頃は、見ないなあ。なぜだろう。

 私はしょっちゅう、乾燥した羅漢果を買いこんできては、やかんで煮て、ごくごくと飲んでいた。

 飲まなくなったきっかけは単純なことで。

 ある日、買ってきた羅漢果の中に、不良品が混ざっていたのだ。その羅漢果は、似ても全く甘くなかった。それどころか、なんともいえない、思わず吐き出してしまうような苦さを持っていた。

 やかんで煮出したものが、2度連続でまずかったとき。私はすっかり懲りてしまい、羅漢果を買わなくなった。

 すっかり羅漢果を忘れていたものの、私は甘茶を飲んだとたんに、羅漢果を思いだした。懐かしい。久しぶりに飲もうかとスーパーで探してみたけれど、もはやどこにも売っていなかった。

 あの当時のブームは、去ってしまったのだろう。

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