ユリの女王 カサブランカ

 部屋中に、いい香りが漂っている。カサブランカ。どうしてこんなにいい匂いなんだろう。

 外から部屋に入るそのたびに、思わず深呼吸してしまう。この匂い、大好きだ。真っ白な花と、それに似合いの香り。ただ清純というだけではなくて、そこにあるのは白の魅力。

 てなんだそれΣ(;・∀・)

 姿形もそうですが、女王さまって感じです。雪の女王? 咲くのは初夏だけども。
 悠然と構えてる感じで、余裕があります。

 そして香りも、押しつけがましくない。でも濃厚。私の好きな香り。

 決して甘い、という類ではないような。ちょっと山の中の雰囲気を思わせる。
 人里離れた山の中。木漏れ日。蝉の声。川の畔。
 誰も来ないのに、毎年そこで咲く花っていうイメージです。

 カサブランカには思い出があります。昔、文化祭で何人かで花を生けることになったとき、それぞれ違う花材が用意されて、誰がどの花に当たるかはあみだくじで決めようという話になりました。

 みんなあらかじめ、興味津々で花の種類をチェック。
 中でも人気が高かったのが、カサブランカの入ったものでした。

 やっぱり、一目でゴージャスと感じさせられる。白で派手ではないけど大きいし、香りも強い。私も、カサブランカの入った一包みに魅了されました。

 あれが当たればいいのにな。でもたくさんある中で、一つだけだもんな。当たらないだろうなあ。

 期待せずにあみだくじを引くと、なんと私はカサブランカを引き当てたのです!

 そのときの喜びと、驚きは今でもはっきりと覚えています。だからカサブランカを見るたびに、その香りをかぐたびに、あの瞬間に戻り、手に汗握る自分がいたりします。

 幸運で手に入れたカサブランカは、一際輝いてみえました。その日から、カサブランカは私の記憶の中で、特別な花です。

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