家庭教師、チケット制に思うこと

今日も家庭教師の話。

今、私が教えている生徒は、業者とチケット制の契約をしている。チケットを使った分だけ、支払うというシステムだ。そして保護者の方は、子供に勉強のくせをつけさせたい、良いペースを作りたいとのことで、できるだけ少しずつ、チケットを使いたいと考えているとのこと。

少しずつ使えば、長く持つからね。一度にたくさん使えば、早くチケットがなくなってしまうというわけ。

しかし、これは大きな間違いだったりする。

なぜか。答えは簡単。一刻も早く、進度の遅れを取り戻し学校の授業に追いつくことが、結果的には、最も安く教育費を抑えることになるから。

とにかく早く、遅れを取り戻すことが大切だと思う。少なくとも、学校の授業に追いつくまでは、全力を注いだ方がいい。いったん授業に追いつけば、毎日学校で授業を受ける時間を無駄にしなくてすむ。

勉強がひどく遅れてしまっている子供の場合、学校の授業のほぼすべてが、ちんぷんかんぷんである。なにを言ってるのかさっぱりわからない。その時間は非常にもったいないし、かつ苦痛でもある。

いったん追いついてしまえば、自主学習、宿題にも対応できるだろうが、ひどく勉強が遅れてしまった生徒の場合、何から何まで、(それこそ英語の単語ひとつの覚え方から)、マンツーマンで丁寧に教わらないと、自分ではなにもできないのが現実だ。

私が教えている生徒も、たぶん学校の授業は全然理解できていないだろうなあ、というくらい遅れてしまっている。だから、授業よりももっと前の段階、下手をすると学年をさかのぼった段階から、少しずつ学んでいくしかない。

親は、「一定のペースで勉強の癖をつけて・・」と思っているかもしれないが、そんなレベルではない。週に1回、2時間で2教科の遅れを取り戻せるほど、甘いレベルではない。

もちろん、家庭教師はとても高額だし、一気にたくさん習うのはもったいないという気持ちはわからなくもないが、要は、ある程度学校の授業に追いついてしまえば、家庭教師がいなくとも、自分で勉強というものができるようになるのである。

そうなったら、それこそ家庭教師なんて要らないし、もし来てもらうとしても、例えば月1回とか、ペースを落とせばいいのだ。(でも月1回というのは、業者だとそもそもコースがないのかな)

チケットをずっと同じペースで使うのではなく。最初に一気に使うことが、もっとも効果的で、安上がりな方法だと私は思う。

そして、1回の指導時間についても、それはもう、長い方がいいのだ。家庭教師の1回あたりの平均指導時間といえば、90分や、2時間が人気のようだが。90分間というのはあまりにみじかすぎる。

教える教科も、ほとんどの家庭が2教科以上を希望しているところが多いが、週1回で90分というのはあまりにも短い。ときどき業者からそんな案件の紹介がくると、私は90分と聞いただけで断っている。

短すぎて、成績が上がるとは思えないから。

私が以前教えていた家(個人契約)では、1回3時間を基本にしていた。長いかといえば、そうでもない。複数の教科をやっていれば、あっという間に時間が過ぎる。その家では、受験前などは土日、お昼をはさんで1日7時間教えたこともあった。

それだけの時間をかければ、当然成績もぐんぐん上がる。結果的に、生徒は希望の学校に合格を果たすことができた。

その生徒の場合は、親が本当によくがんばっていたと思う。家庭教師にかけるお金もそうだが、細かなところまでとても気を遣っていた。お金以外の手間暇も、惜しむことがなかった。

休憩時のお茶菓子はもちろんのこと、お昼をはさんだ授業のときは、生徒の分だけでなく、教師の分まで昼食を用意してくれた。共働き(自営)で忙しいご両親だったので、ご自身が家にいないことも多く、そんなときは、用意したものを生徒が運んでくれ、部屋で一緒に食べた。飲食を共にすることで、受験に対して本当に一心同体のようにして、気持ちを通い合わせて挑めたと思っている。長時間の勉強も、教師と生徒に信頼があれば、決して苦痛ではない。

わからなかったところが、わかる感覚。そして、一人ではない、みてくれる人がいるという安心感。そこが、家庭教師のよさだと思う。

ちなみに、親が家にいなかったからといって、気がゆるんで休憩が多かった、とかいうのは一切ないです。ご両親の心遣いはありがたく、嬉しく、私の中では、期待に応えなくてはという気持ちが高まりました。疲れもふっとぶ感じでした。教わる生徒も大変かもしれませんが、教える教師も、長時間の勤務はかなりのエネルギーを必要とします。けれど、ご両親の気持ちがわかるから、がんばれたのです。

お金さえ払えばいいだろう、という、高飛車な態度ではなく。

真心があれば、その心は伝わります。教師にも、生徒にも。

親の、家庭教師に対する態度や気遣いを、子供はしっかり見ている。

そのお宅では、当然のように、子供もまた、家庭教師に対して反抗的な態度は一切なかった。

もし、家庭教師を頼もうと考えているなら、1回90分という条件はやめた方がいいです。最低でも1回2時間。そして、指導教科も、多くて2教科まで。もし教科を増やすなら、その分時間を増やすことを考えないと、引き受ける教師数が激減します。

たまに、指導1回につき90分、週に1回、5教科教えてほしいという案件の話も聞きますが、これを引き受ける教師は、教師の方が怪しいと思う(^^;

繰り返しになりますが、子供が勉強できずに困って家庭教師を頼むのなら、最初に、一気にある程度の勉強量をこなした方がいいです。極端な話、ある程度できるようになれば、家庭教師いらないですから。その時点で家庭教師をやめて独学にするか、あるいは、家庭教師より割安の塾にするか。

家庭教師を必要とするのは、マンツーマンでないと、学校のみならず塾の授業にもついていけないほど遅れてしまっている、そんな生徒なのだと思います。

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