ドラマ「アシガール」ダイジェスト版 感想

ドラマ「アシガール」ダイジェスト版を見ました。以下、感想を書いていますが、ネタバレ含んでおりますので未見の方はご注意ください。また、感想は辛口ですので、その点もご了承ください。

NHKドラマ「アシガール」のダイジェスト版の放送が、23日にありました。1時間25分の放送でした。元のドラマが、38分×12回=456分のところを、どうやって短縮するのか、はしょりすぎて意味不明になっても嫌だし、初見の人にもドラマの良さが伝わるよう何を捨て何を残すのか、編集を楽しみに見ました。

見終わった素直な感想。いやー、縮めるのって難しいね(^^; 印象深いたくさんの名場面が抜けていて、残念でした。でも納得でした。とにかく、今回のダイジェストは85分間ですから。

いろいろあってこその二人のセリフ、表情なので。いくら名場面と言っても、それをすっ飛ばして名場面だけを映したところで、感動はない。それくらいなら、いっそ流さないほうがいい。私の大好きな第8回の素敵シーンもセリフも、ほとんど出てこなかったですが、むしろそこだけ唐突に流されても嫌なので、あれでよかった。

編集は最高だったと思います。どうしてもぶつ切りになってしまって流れがおかしいところは、ナレーションでうまく繋いでいて、違和感がありませんでした。

ただ、あらためてダイジェスト版を見て、すごく気になったというか、惜しいなあと思ったのが唯役の黒島結菜さんのこと。

キャラとして、唯のイメージに合わないと思いました。クールすぎるのです。若君に一直線という情熱を感じなかった。セリフや態度は、もちろん演技としてきちんとされていたのですが、言葉にならない、あふれでるなにか、を感じられなかった。ものすごくもったいなかったです。もし唯がもっともっと、理屈ではない若君への恋心に突き動かされる女の子だったら、さらに切ないドラマになっただろうにと。

一番それを感じたのは、若君様のプロポーズシーンでした。愛しい人の命が助かったこと、その喜びを抱きしめ合いながら分かち合う、という盛り上がりの場面。

目を閉じた若君様が無表情なのは、あまりにも唯が淡々としてるからかな~と思ってしまいました。ああ、もちろん言葉は、「若君さま大好き」でしかない唯なのですが、最初から画面を通して彼女から伝わってくるものが、とても温度の低い何か、なのでした。一目ぼれから始まり、ますます熱が高まった末の、命がけの紆余曲折を経て、ではなかったのです。そういう唯を相手にしている若君様の、だからこそのあの無表情というか、妙に納得してしまうものがあった。

ああやって、好き同士が抱きしめあったら普通はもっと、違うオーラが出ないかなあと思ったのでした。お互いに、相手に対しての愛しさが、こらえてもこらえきれない気持ちがあふれ出て、それがまた相手の情熱に触れて、相乗効果となってぐるぐる回り出す、みたいな。

そういうのが見たかったけど、あの場面はそうではなかった、ような気がします。淡々と、淡々と。唯の目に、若君様は恋しい人に映っていなかったような。

若君様は、唯より多少温度が低くてもいいと思うんですけどね。あくまでも若君様であって、いかなるときも己の置かれた立場を忘れる人ではない。唯のことは好きだろうけど、それは無条件の何か、ではないと思うのです。

若君が唯を好きになったのは、唯が命がけで若君を助けにくる、そんな女の子だったから。歌を詠み、美しい着物を着てしとやかに殿の帰りを待つ、そんな典型的な女子像ではなく。足軽の格好で、馬と並走して走り、どんな危険にも臆さず一途に自分を慕い。あけすけに物を言い、時には自分の命を投げ出してまで愛する人を守ろうとする。

若君にしてみたら、それは心惹かれると思いますよ。戦や人生を語れるというだけでも、好感を持つでしょう。そんな人が自分を慕ってくれるなら、好意を抱かない方が不自然。

若君の愛情は、じんわりでいいような気がします。でも唯はなー。唯はもっとあけすけに、一筋に大好き光線を発する女の子であってほしかった。それが唯の魅力だと思うので。

舞台が荒唐無稽な設定でも、それをふっとばすくらいの元気キャラだといいなあと妄想します。唯の放つエネルギーに、皆が巻きこまれていくの。若君もまたしかり。大きな渦に飲み込まれて。そういうの、見たかったなあ。

黒島さんの唯だと、後先考えずに、とにかく走っちゃう、というよりも、知的な女の子に見えてしまうのです。

伊藤健太郎さんの若君が、あまりにもはまっているだけに、唯に対する違和感がもったいないというか。それと、唯の走る姿があまり魅力的でない、というのも残念です。

たぶん、ちらっと見ただけのCMでも、走る姿で魅せることってできるんじゃないかな? 楽しそうに駆け抜ける姿、走ってればそれでOKな姿、一目見た人が、お?これは面白そうなドラマだなあ、と感じさせるくらいの本気走り。走るのがものすごく速い人って、周りの目を奪いますよ。

ドラマだとどうしても、女の子っぽい走りに見えてしまって。速いという設定も嘘くさく感じてしまって。そうなると、子供向けのラブコメなんだろうなという印象がぬぐえなくなってしまってもったいない。

今の年齢の伊藤健太郎さんを若君役に抜擢したのは本当に大正解だったと思うし、ダイジェスト版の85分ではとても語りきれないほどの物語で、すごく面白いドラマ。展開が単調ではなくて、視聴者を飽きさせない。そして、衣装とか、街並とか、他にも主人公2人を囲む周りの俳優さんが実にいい。安っぽくなく真にせまっているのです。

結局、役にはまるかどうかというのは、ある意味、賭けもあるのかなあ。キャスティングは、本当にその役に合うかどうかでなく、事務所の力関係もあるだろうし。合う合わないは、俳優の責任ではなく。人にはそれぞれ持ち味があって、たまたまそういう役に巡り合うかどうか。

今日の夜、続編が放送されるのを楽しみにしています。本当は4Kで17時から見たいけど、うちが加入しているケーブルテレビは4Kに対応してないので、21時からの放送を待つしかない。なんだよNHK~、4Kだけのスペシャルコンテンツが気になるじゃないか~(^^;

21時が待たれます。

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