うちから少し離れた畑での出来事。
畑前の道路は、アスファルトで覆われていない部分が一部ある。農道なので、その辺は仕方ないのかもしれない。
本来、農作業のために設けられた道路のはずだけど、犬の散歩をする人がとても多い。一時期、気が付いたら、草が生えている部分が「犬の公衆トイレ」と化していた。
一匹がたとえ少しのマーキングでも、次に通りかかった犬は必ず反応する。犬の本能だ。あっという間に、そこは犬の公衆トイレとなってしまう。
それに気付いたとき、私は犬のフン尿・マーキング、撲滅作戦を始めた。
実はそれまで、何度か定期的にフンの置き去りをやられている。
ひどいものは、畑へ入る入口への道(そこを通らないと入れない)場所に、わざわざ犬のフンをどっさり置いていくため、危うく踏みそうになってしまう。
畑の入口だけは、出入りに必要なため、いつも定期的に手で草を刈っていた。そこを「これはフンがしやすい」ということで、フンの場所にされてしまうというわけ。
入口以外の場所は、わざとある程度、草丈を確保するようにしていた。犬が入り込めないようにだ。
すると、まるでその隙をつくかのように、わざわざ草を刈り取った場所である畑の入口に、ちゃっかりフンをされてしまう、ということが続いていた。
私はいろいろ考えた末に、去年から、草を全面的に刈ることにした。草を刈ることによって、犬が入り込みやすくなり、かえってフンの放置等、増えるのではないかという危惧はあったけれど。
でも、草がある程度の高さに茂っていても、小型犬は入らないけど、柴犬以上の大きさの犬だと、喜んでそこに平気で入っていくのだ。去年、実際に私の目の前で、ある飼い主が、草むらに犬を飛び込ませていた。
いつもそこで、フンをさせているのだ。そして放りっぱなし。草が生えていると、フンの放置もわからないから、それでいいと思っていたらしい。
そのとき、私は冷たい目で、その飼い主を眺めていた。畑の真ん前で、わざわざ道路から、畑の前の方に犬を連れてきて、フンをさせるその行為は許されるものではない。いつも放置しているであろうことは、すぐにわかった。ただ、草に隠れて見えないだけ。
私に見られているのに気づいた飼い主は、フンを拾っていた(拾うフリをしていた)けれど、草むらの中でどれだけ完璧にフンを拾えるかと言うと、そんなものは無理だ。どうしても、残ってしまう部分はあると思うし、普段、人目のないところではそのまま、フンは放置しているのだろう。
このことがあって、私は去年から、畑前を全面的に草刈りしている。
畑に通じる道だけでなく、畑前の草はすべて、刈り取っている。そこは農道で、アスファルト舗装と、私の畑との境にあたる部分だ。面積もかなりあるし、かなりの重労働だが、犬の公衆トイレにされたのではたまらない。
それに、犬の公衆トイレにされることで、どんどん汚くなり、ゴミの投げ捨てなども増えるのだ。ゴミは、みつけるたびに拾うようにしているが、草が茂っていると気付きにくいし、知らない間に汚くなってしまう。畑内に何者かが侵入したような形跡があったりしたこともあって、治安の観点からも、畑前の草は常に短く刈っておいた方がいい、という結論に達した。
そんなわけで、畑前の草は、いつもきれいに短く刈られた状態が続いている。フンの放置も細かくチェックしている。草が刈られることで、フンの放置はすぐに発見できるし、ゴミの投棄は激減した。
ただ、相変わらず、数人の飼い主の不法行為は続いている。フン尿・マーキングを撲滅することは難しい。
短く刈った雑草の合間合間に、私は、犬の嫌うような匂いの強い植物を植えるようにした。
ニオイゼラニウムや、ミント、ドクダミ、タイム、最近では、ハンゲショウを試している。
ただ、面積が広いため、全面的にというわけにはいかない。ところどころ、という感じで、少しでも効果があればいいなとがんばっているところです。
そんな中、4日ほど前のこと。がっくり肩を落とすような事件が起きた。
いつものように畑作業をしていたとき、畑近くまで入り込んでいる犬連れのカップルを見た。舗装された道路から、わざわざ畑のそばまで入り込んできている。草が刈ってあるから入り込みやすくはなっているが、普通の人は、舗装道路から離れてこちらにくることはない。
近寄ってみると、男性はリードをのばして犬を畑に近付かせ、フンをさせていた。女性は、草地に入りこんでフンを確認しているようだった。
私は近付き、畑からそのカップルに向かって、大きな声で挨拶をした。
カップルは少し戸惑っていたけれど、女性が言った。「すみません・・・」
私は、怒りを抑えてこう言った。「一匹がすると、後から来たのが皆、するようになっちゃうんですよ」
女性は、私が来たことで諦めたのか、フンを片付けようとした。私は心の中で、「私が来なかったらほったらかしだったろうな」と思った。
女性は、フンを拾う作業に慣れていない。手にはめたビニール手袋。それを使わなければいけないほど汚いものを、人の家の畑前に捨てないでほしい。たとえ持ち帰ったとしても、そんなところにわざわざ入りこんで(舗装道路から、草を刈った場所まで入り込んで)犬にフンなんてさせないでほしい。
女性は、フンを汚いと思っているようで、ビニール袋をはめた手で恐る恐る、持ち上げていた。何度もためらいながら・・・。これは、たぶんいつもはやっていない作業だから、なのだと思う。とても汚いので、恐る恐る、という感じだった。
時間がかかるのを、私はずっと見守っていた。
男性の方は、舗装道路に立ったままだった。犬のリードは、かなり長くのばしてある。おそらく、自分は舗装道路に立ったまま、犬を畑近くの草地に入れて、フンをさせたのだろう。
カップルが去っていった後、私は怒りと、脱力感と、不信感でいっぱいだった。
一応謝りはしたけれど、本当に悪いとは思っていないであろうことは、明らかで。
犬が、通りすがりに「うっかり」フンをしたわけではないからね。わざわざ、リードを伸ばしてそこに入れて、「あえてその場所でトイレをさせていた」のがわかったから。
しかも去年から、私は区役所で犬のマナー看板をもらってきて、3本も設置したのよね。杭を買って、ラミネート加工された看板を取り付けて、強風で剥がれたときにはまた釘を打ち直して・・・。
固い土のところに杭を埋めるのも、けっこう力のいる作業だったし、お金もかかったし。
そんな看板をマルっと無視ですよ。その3本の看板、全く無視で、畑前までわざわざ犬を入れて、フンをさせる神経・・・もう、これじゃどうしようもないですね。
去年から、木酢液も試したし、正露丸も試したし、どれだけお金を使っただろう。やってもやっても、きりがないのだ。本当に、飼い主のマナーが悪すぎる。
昔はここまで悪くなかったとおもうんだけど、今は犬を飼う人の数が、爆発的に増えた。特に小型犬に関しては、犬のフン尿を、飼い主が「仕方のないもの。うちの可愛い○○ちゃん」と考えている人が多い気がする。
しかもそのカップル。私が畑前の草地で、一生懸命草を刈ってるの、何度も見てる人達なんですよ。
そのカップルには見覚えがある。草刈りしているとき通りがかって、私は挨拶しているから。私が汗びっしょりで、手で草を刈っているのを見てるはずなんです。それでも、その姿をみてなお、人が一生懸命刈った草の上で、自分の犬にフンさせるんだなあと思って・・・。
ぱっと見、うちの畑前は草がきれいに刈られていて、まるでドッグランみたいです。トイレにするには、ちょうどいいと思われているかもしれない。
でも、汗まみれで手作業で草を刈っている人を目の前で見ていたのに、しかも犬のマナー看板も立ててあって、畑の持ち主が嫌がっているのをわかっているのに、誰も見ていないからと「わざわざ自分の犬を畑近くまで入れて、フンをさせる」行為は、本当に悪質です。
このまま放っておくと、またフンされちゃうかな?と思いました。だからといって、木酢液も正露丸も無料ではない。除草剤などの危険なものはまきたくない。
しばらく晴天が続くから、今からだとニオイゼラニウムの挿し木なども枯れてしまうだろうし、考えた末に、みかんの花を集めて、それをまきました。舗装道路と、草地の境目のところに、全部です。花を集めるのに時間がかかりましたが、このまま放っておくと、またどんどん入り込まれて、フンをされてしまうと思って。
みかんの花の芳香は強いです。摘み取った後も、しばらくは香り続けてくれると思う。少しでも、犬のフンよけになればいいのですが。
散歩は、排泄のために行うものではありません。フン尿は、家でさせてください。
マーキングは、人の家や畑前でさせないでください。草が生えている場所は、トイレではありません。
とにかく、犬には、自分の家でトイレをさせることを徹底してほしいです。汚いものを、よそでさせるのは間違っています。人のいない山奥なら別ですが、ある程度の住宅街で、フン尿・マーキングさせてもいい場所なんてないですよ。
飼い主は、自分の家の前で毎日よその犬からフン尿被害受けない限り、それが悪いことだとわからないんでしょうかね?