お世話になった先生の日本舞踊の会があり、浅草へ行ってきました。浅草の仲通りがとてもにぎわっていてびっくり。
インバウンドというだけでなくて、意外なほど日本人の、それも若者たちがいっぱいいました。少子化?それどこの話?というくらい、若者の姿が目立って活気がありました。レンタルの着物のお店があちこちにあって、観光客のカップルや若い女性たちが、着物を着て散策しているのが目の保養。着物は、見ているだけでも綺麗だし、浅草のレトロな雰囲気とあいまって、とても素敵です。
私の住む街の駅前の繁華街とも似ているんだけど、とにかく活気があっていいですね。人出がある、ということはそのもの。人が人を呼ぶ、ということでしょうか。
我が町の繁華街の衰退ぶりに比べて、浅草の活況がまぶしく見えました。我が町も、人口はそれなりにあるし、観光にも力をいれているようですが、ここまでの賑わいはなかなか生み出せない。我が町には浅草寺に似たお寺があって、私が子供の頃は、この浅草のように縁日にはまっすぐ歩けないほどの人出があったのですが、今は縁日でも人出がなくなり、寂しい限り。
浅草寺周辺は、仲通りに限らず、とにかくすべての通りがにぎわっていましたね。人がいるところにはお店があり、お店があればまた、お店が人を呼ぶ。
これは浅草の観音様のご利益がすごいということなのか。嬉しくなって人力車にも乗りました。車上からの景色もよく、歩かずに観光できて楽ちんです。あちらこちらで人力車に乗っている方がたくさんいるので、妙な恥ずかしさもなく、気軽に乗れました。車を引く若者の、若さが眩しい(^^)なかなかの力仕事ですし、車を引くだけでなくガイドもしつつ、お客さんと話も合わせつつ、撮影スポットで良い写真も撮る、というのは体力・知力・コミュニケーション能力、全部そろわないといけない大変な仕事ですね。汗を流して笑顔でがんばる若者の姿に、日本の将来もきっと大丈夫、という嬉しい気持ちになりました。
おいしいお店もたくさんあって、目を奪われます。公演の帰りに、お店をいろいろ眺めながら歩いていたら、同志のお店を発見!
犬のフン尿被害に悩む私には、そのお店の苦悩が、痛いほど伝わってきました。そのお店はもう遅い時間で閉店していたのですが、シャッターを下ろした店前にはロープが張られ、犬や飼い主の侵入を防ぐ工夫がしてあり、そこにはこんな張り紙があったのです。
一言一句は覚えていませんが、「公道や他人の敷地で排泄させず、自宅敷地内で排泄させてください」というようなことが書いてあったんです。私はこれを読んだとき、店主のそれまでの苦労や怒りがストレートに伝わってきて、心から同情しました。おそらく、閉店後の犬のフン尿被害が常習化しており、悩まされたあげくの張り紙だったと思います。
閉店後、誰もいないのをいいことに散歩中の飼い主が、犬にやらせたい放題。シャッターぎりぎりのところを犬がクンクンにおいをかいで、おしっこをひっかける。ときには、フンを放置。朝方、店を開けるときにそれがあったからこその、この言葉。
いや、本当に私はこの店主の気持ちがわかるし、「大変でしたね・・・」と、握手を求めたい気分でした。同志発見です。犬のフン尿の問題って、決して私の住む地方だけの問題じゃない。全国で発生している。この浅草の、にぎわう通りでさえ、こんなに苦労している方がいらっしゃるんだ。
一度臭いがついてしまうと、毎日やられますからね。またやられた・・・と、朝気付いたときの絶望感、清掃を強いられる怒り。
お店が、こういう強い口調の警告文を出すまでには、ものすごい葛藤があったと思います。お客さん商売なので、相当まで我慢されたと思いますよ。でも、我慢して我慢して、清掃して清掃して、我慢の限界。いくらなんでもひどい、ということになったのでしょう。
防犯カメラも設置してありました。当然だと思います。ずうずうしい飼い主に、警告文がどこまで効くのかはわかりません。防犯カメラを設置し、撮れた映像を貼りだすくらいのことをやらないと、こういう飼い主は行動を改めないでしょうね。
私がしげしげと警告文を眺め、まったくだ、その通りだなあと連れと話していると、通りかかったおばちゃんが話しかけてきました。
「ほんと、犬には困っちゃうんだよねえ。マナーが悪い」
全然知らない方でしたが、そのおばちゃんも、犬のやりたい放題が目に余ると話していました。俄然、盛り上がる私たち(^^)
ひとしきり、犬のフン害について話しました。
店主が書いた警告文は、本当に的確だと思います。
・公道にフン尿させない
・他人の敷地内にフン尿させない
どちらも当然のことです。やられる側が、忌避剤を買ったり防犯カメラを取り付けたり、お金をかけて対策するようなものではないはずです。犬を散歩させる人が、マナーを守れば何の問題も起きないのです。
じゃあ犬はどこで排泄すればいいのでしょうか?
・犬は自宅敷地内で排泄させる
室内でも室外でも構いません。それは自由でしょう。とにかく飼い主が、飼い主の敷地内でさせればいいだけの話。こんなに簡単で当然の話を、なぜ全国で守れないのかなあ。犬が外で排泄するのが、当然みたいになっているのかなあ。尿は水をかければいいとか、フンは回収すればいいとか、そういう話ではないです。だって回収しきれないから。残りますよ。ニオイがつきますよ。他の犬が、必ずそこでまたやりますよ。
最初から、自宅敷地内で排泄すればいいだけの話です。
おばちゃんとは、ひとしきり犬談義をして、「飼い主のマナーが悪い」ということで意見が一致しました。まるで古くからの知り合いのように盛り上がってしまった(^^)
お店の前が犬のトイレになるのが常態化すると、不衛生ですからね。ロープをはって、ぎりぎりの境まで入れないようにして、マナー看板を張って、防犯カメラをつけて。お店の方の苦労と怒り。わかりますよ~。だって、私も、日々同じ思いをしていますから。
私の場合は、今は自宅前ではなく、畑の前が一番問題になっていて、そこは公道で草地なので、なかなか解決が難しいな~と思っていたのですが。こういうお店の、舗装された歩道沿いでも、犬のフン尿被害は深刻なのですね。
草地、土、舗装、状況は変われど、公道や他人の敷地内にフン尿させてはだめです。浅草で、その思いを強くした私でした。犬が、飼い主の敷地内で排泄することが当たり前の世の中になりますように。公道も、他人の敷地内も、犬のトイレではありません。
犬のことで悩んでいると、こういう警告文やマナー看板に、すごく敏感になるんですよね。みつけると、その設置にいたるまでの苦労を思って「どんな人がどんな思いでこれを作ったのかな」と、しばし思いをめぐらせます。
まさか浅草で、大通りのお店でこのような強い意志の警告文に出会うとは思わなかったし、通りがかりのおばちゃんと親しく話すことになるとも思わなかった。浅草で、忘れられない思い出となりました。