ドラマ『ガラスの家』第5回の感想を書きます。以下、ネタばれを含んでおりますので、未見の方はご注意ください。
エンディングが凄かったです。
パーティー会場から手に手をとって逃げ出した二人。思いは通じ合っちゃったし、もはや全然義理の親子ではなくなってしまった黎(井川遥)ちゃんと仁志(斉藤工)。
私の中では、このドラマは最終回を迎えてしまいました。第5回ではなく、最終話です。あくまでも私の中では、ですが。
だってこれ以上の盛り上がりはないな~と。
気持ちが完全に通じ合っちゃって、逃げ出して。その先にこれ以上の盛り上がりなどあるはずもなく。
決して批判しているわけではありません。今回もすごく面白かった。面白くて、そして最高に盛り上がって、終わってしまったような。
二人の心の揺れが、独白が、せつなかったです。
黎ちゃんがどんどん追いつめられていく感じも。それを冷静に、あくまで自分の気持ちを抑えつつじっと見守る仁志の忍耐も。うまく描かれていたなあと思います。
>黎さんは必ず来る
そう確信する仁志の心の声。呼応したのは黎のこんな言葉。
>さようなら
家を出ると決めた仁志に、一緒に行こうと言われても、きっぱり断った黎。そりゃそうですよ。そんなぐちゃぐちゃな展開。倫理的にも、良心に照らし合わせても、無理無理無理の100乗くらい。
たとえどんなに一成(藤本隆宏さん)がひどい夫であったとしても、優しいその息子の言葉に甘えて、なんてことは許されるわけありません。
ただ、仁志の一貫した静かな決意と自信には、見ている者の、心を打つものがあったなあと思います。暴言を吐き、強権で黎を縛ろうとする一成と対照的な、穏やかで温かい仁志の愛情。
惹かれれば惹かれるほど、悲しくなりますよね。
そりゃ、黎ちゃんもケーキやけ食いするよな、と思ってしまいました。
あのシーン好きです。やるせなさが画面いっぱいにあふれていた。一生懸命やったのにね。一成とうまくやっていこうと思って、自分なりに努力したのに空まわり。たった一人で食べるホールケーキの味。
想像すると胸がつまります。
あれ食べたのも、黎の努力のひとつかなあ、なんて思いました。あれを、「なによ、かずさんのバカッ!」と悪態ついて、ためらいなくゴミ箱に捨てられる人だったら、もっと違う展開になっていただろうに。
黎は黎なりに、努力し続けていたことが。その苦しさが伝わってきました。
でもパートの話は、黎ももう少し考えればいいのになあと。一成と結婚した以上、妻としてパーティーの同席とかは当然、これからも頻繁にあるわけで。語学を磨くことも、妻としての愛情なんじゃないのかな、とか。
それは、一成が結婚前に説明しておくべきこと、といえばそれはもう、その通りなんですが。
一成の妻として、ああいう場で適切な振る舞いができるようになること、それは黎にとって、簡単なことではないと思います。時間もかかるし、パートなどしている時間はないんじゃないかと。
なぜそれがわからない?という一成の気持ち、黎に伝わっていないのが悲しいですね。まずはパーティを経験すればいい。そうすれば、だんだん自分の立場がわかってくるだろう、一成はそう考えていたのかもしれませんが。
ちょっと乱暴すぎましたね。理解するというより、委縮して悲しくなって、会場を抜け出してしまった黎。
そこに、救いの王子様があらわれたら?
そんな都合のいい偶然、あるわけないよ~、というつっこみを見事に裏切り、現れた仁志くん。見つめ合う二人。もう、超えるべきハードルなんてどこにもありません。ただ近付くだけ。ただ、手を繋ぎ合うだけ。目をみれば、すべてわかりあえる。言葉より雄弁に語るもの。
もどかしく走り出した黎の足から、脱げてしまった金の靴。まるでシンデレラです。履きなれない靴を脱ぎ捨てて、本当に好きな人のところに走っていった。
でもなあ。どうなんだろう。本当に好きというより、今の生活から逃げ出したくて、優しさに飢えていて。目の前に差し出された手をとってしまった、ようにも見えました。
そりゃあ、あれだけ黎の心に寄り添ってくれる、理想的な王子様がいたら。たとえそれが恋愛ではなくても。頼ってしまうでしょう。
最後、二人を乗せたエレベーターが、上がっていくのが意外でした。てっきり下がると思っていた。1階に下りて、タクシー呼んで、どこか遠くへいくのかなあ、なんて。とにかく、一成のいる場所から、少しでも遠く離れようとするんじゃないかと思ったんですが。
同じ建物の中で、嫌じゃないのかな。
上がった先にあるのは、仁志の泊まる部屋? 仁志くんは仕事の途中だったようだけど、あんな唐突にいなくなってしまって、大丈夫なんでしょうか。
面白いドラマだと思いますが、内容はNHKじゃないと思いました。NHKが火曜夜10時にやってはいけないと思いますΣ(;・∀・)