福井駅には恐竜がいます

所用で金沢に行った帰り。福井で一泊したのですが、福井駅前に恐竜がいました!

何も予備知識なしで行ったので、最初は気付かなくて。信号待ちのとき、妙な鳴き声が聞こえてキョロキョロしてたら、なんと! 大きな恐竜が三体も!

声も出るし、動くのですよ、このモニュメント。観光客もそうですが、出張と思われるお父さんたちが、キラキラした少年の目で、何枚も写真を撮っているのが印象的でした。恐竜を見ると、みんな童心にかえりますなあ。

私も興味津々で、しばらく恐竜の前に佇んでおりました。月には月見草だけでなく、恐竜もよく似合います。暗くなり始めた空、昇り始めた月、そして、恐竜の影。

恐竜も、遥かな昔に、やっぱり月を眺めて物思いにふけっていたのかなあ、とか。

学術的に的確な恐竜の動くモニュメントが、駅前広場に設置されるのは世界初だそうです。これ考えた人、アイデアマンだわ。センスが素晴らしい。

恐竜と月を見上げていたら、なぜか懐かしいような気持ちになる。なんだろう、このノスタルジイ。そんな時代に生きていた記憶などないのに。

恐竜が生きていた時代のことを、想像しました。豊かな植物と、温暖な気候。地球上が今とは違った景色でも、月だけは変わらず空にあって。

福井駅には浪漫があります。

家庭教師、チケット制に思うこと

今日も家庭教師の話。

今、私が教えている生徒は、業者とチケット制の契約をしている。チケットを使った分だけ、支払うというシステムだ。そして保護者の方は、子供に勉強のくせをつけさせたい、良いペースを作りたいとのことで、できるだけ少しずつ、チケットを使いたいと考えているとのこと。

少しずつ使えば、長く持つからね。一度にたくさん使えば、早くチケットがなくなってしまうというわけ。

しかし、これは大きな間違いだったりする。

なぜか。答えは簡単。一刻も早く、進度の遅れを取り戻し学校の授業に追いつくことが、結果的には、最も安く教育費を抑えることになるから。

とにかく早く、遅れを取り戻すことが大切だと思う。少なくとも、学校の授業に追いつくまでは、全力を注いだ方がいい。いったん授業に追いつけば、毎日学校で授業を受ける時間を無駄にしなくてすむ。

勉強がひどく遅れてしまっている子供の場合、学校の授業のほぼすべてが、ちんぷんかんぷんである。なにを言ってるのかさっぱりわからない。その時間は非常にもったいないし、かつ苦痛でもある。

いったん追いついてしまえば、自主学習、宿題にも対応できるだろうが、ひどく勉強が遅れてしまった生徒の場合、何から何まで、(それこそ英語の単語ひとつの覚え方から)、マンツーマンで丁寧に教わらないと、自分ではなにもできないのが現実だ。

私が教えている生徒も、たぶん学校の授業は全然理解できていないだろうなあ、というくらい遅れてしまっている。だから、授業よりももっと前の段階、下手をすると学年をさかのぼった段階から、少しずつ学んでいくしかない。

親は、「一定のペースで勉強の癖をつけて・・」と思っているかもしれないが、そんなレベルではない。週に1回、2時間で2教科の遅れを取り戻せるほど、甘いレベルではない。

もちろん、家庭教師はとても高額だし、一気にたくさん習うのはもったいないという気持ちはわからなくもないが、要は、ある程度学校の授業に追いついてしまえば、家庭教師がいなくとも、自分で勉強というものができるようになるのである。

そうなったら、それこそ家庭教師なんて要らないし、もし来てもらうとしても、例えば月1回とか、ペースを落とせばいいのだ。(でも月1回というのは、業者だとそもそもコースがないのかな)

チケットをずっと同じペースで使うのではなく。最初に一気に使うことが、もっとも効果的で、安上がりな方法だと私は思う。

そして、1回の指導時間についても、それはもう、長い方がいいのだ。家庭教師の1回あたりの平均指導時間といえば、90分や、2時間が人気のようだが。90分間というのはあまりにみじかすぎる。

教える教科も、ほとんどの家庭が2教科以上を希望しているところが多いが、週1回で90分というのはあまりにも短い。ときどき業者からそんな案件の紹介がくると、私は90分と聞いただけで断っている。

短すぎて、成績が上がるとは思えないから。

私が以前教えていた家(個人契約)では、1回3時間を基本にしていた。長いかといえば、そうでもない。複数の教科をやっていれば、あっという間に時間が過ぎる。その家では、受験前などは土日、お昼をはさんで1日7時間教えたこともあった。

それだけの時間をかければ、当然成績もぐんぐん上がる。結果的に、生徒は希望の学校に合格を果たすことができた。

その生徒の場合は、親が本当によくがんばっていたと思う。家庭教師にかけるお金もそうだが、細かなところまでとても気を遣っていた。お金以外の手間暇も、惜しむことがなかった。

休憩時のお茶菓子はもちろんのこと、お昼をはさんだ授業のときは、生徒の分だけでなく、教師の分まで昼食を用意してくれた。共働き(自営)で忙しいご両親だったので、ご自身が家にいないことも多く、そんなときは、用意したものを生徒が運んでくれ、部屋で一緒に食べた。飲食を共にすることで、受験に対して本当に一心同体のようにして、気持ちを通い合わせて挑めたと思っている。長時間の勉強も、教師と生徒に信頼があれば、決して苦痛ではない。

わからなかったところが、わかる感覚。そして、一人ではない、みてくれる人がいるという安心感。そこが、家庭教師のよさだと思う。

ちなみに、親が家にいなかったからといって、気がゆるんで休憩が多かった、とかいうのは一切ないです。ご両親の心遣いはありがたく、嬉しく、私の中では、期待に応えなくてはという気持ちが高まりました。疲れもふっとぶ感じでした。教わる生徒も大変かもしれませんが、教える教師も、長時間の勤務はかなりのエネルギーを必要とします。けれど、ご両親の気持ちがわかるから、がんばれたのです。

お金さえ払えばいいだろう、という、高飛車な態度ではなく。

真心があれば、その心は伝わります。教師にも、生徒にも。

親の、家庭教師に対する態度や気遣いを、子供はしっかり見ている。

そのお宅では、当然のように、子供もまた、家庭教師に対して反抗的な態度は一切なかった。

もし、家庭教師を頼もうと考えているなら、1回90分という条件はやめた方がいいです。最低でも1回2時間。そして、指導教科も、多くて2教科まで。もし教科を増やすなら、その分時間を増やすことを考えないと、引き受ける教師数が激減します。

たまに、指導1回につき90分、週に1回、5教科教えてほしいという案件の話も聞きますが、これを引き受ける教師は、教師の方が怪しいと思う(^^;

繰り返しになりますが、子供が勉強できずに困って家庭教師を頼むのなら、最初に、一気にある程度の勉強量をこなした方がいいです。極端な話、ある程度できるようになれば、家庭教師いらないですから。その時点で家庭教師をやめて独学にするか、あるいは、家庭教師より割安の塾にするか。

家庭教師を必要とするのは、マンツーマンでないと、学校のみならず塾の授業にもついていけないほど遅れてしまっている、そんな生徒なのだと思います。

家庭教師は業者経由か個人契約か、どちらが正解?

家庭教師を、個人契約でも業者経由でもやってみて思うこと。

そりゃもう、個人契約でやるのが一番です。生徒にとっても。教師にとっても。

私が今、教えている生徒は業者経由ですが、その会社で受けた教師としての研修はほぼゼロでした。生徒宅へ初めて向かう前に、支部へ出かけて教わったことといえば、そこの家庭教師派遣会社のシステムについてです。報告書の書き方、提出方法など。そして、保護者に書いてもらう書類の、書き方の説明。(それは営業の仕事なのでは?という疑問がわきました・・・)

保護者向けの説明も、家庭教師がやることになっていました。それもなんだか変わったシステムで、私が聞いても??という感じで、でもそれを保護者に説明しなくてはならないという。

そもそも、保護者と会社間の具体的な契約内容については、全く説明がありませんでした。おそらく個人契約を防ぐために、詳細な契約については伏せられていたのでしょうが、だったら契約をとってきた営業さんが、直接保護者と話すべき、説明すべき事項なのでは?と思ったりしました。私が保護者に「ではこの書類にこれを書いて、この先はこうでこうで、こうなりますので、今後の指導回数については・・・」なんて話をしなければいけないわけです。

そもそもどういう契約内容になっているのか、わからないので、あとで会社のホームページを確認して、おそらく契約したであろうコースを予想し、大体のシステム的なものはわかりましたけども。

コースはわざと複雑にしてるんでしょうね。単純ではないです。たぶん基本料金は安いけれど、なにかにつけて追加料金、という形をとっているようでした。

ただ、それでも他に比べたら良心的な会社だと思います。一気に高額教材を買わせたりはなかったので。

それは、そもそも登録するときに、私が一番重視した部分でした。悪徳な会社経由では働きたくなかったから。いくつかの家庭教師派遣会社のホームページを見て、教材購入が家庭教師とセットになっておらず、かつ、料金が安すぎないところを選びました。

教材については、私はかねがね、不必要だと思っていました。家庭教師というと勉強が遅れた子供が多く(一部は、逆に進みすぎて塾では物足りないトップの子供もいますが)、私が今まで担当した子は、教科書や問題集で十分対応できる子ばかりで、教材は無駄になってしまうのが目に見えていたからです。

そして料金も、安すぎるところは要注意です。たいてい、なんだかんだと追加料金をとられるシステムになっています。たとえば、広告で安い料金をうたっていても、いざ入会となると入会金が必要だったり、事務費、管理費などの名目で、合計額が跳ね上がる、なんてこともよく聞く話です。そんな風に騙して契約させるより、最初から、適正価格で表示してある会社の方が良心的です。

私としては、一応、厳選して登録した会社だったのですが。いざ家庭教師としての契約を結ぶ段になると、気になる点がいくつも出てきました。

保護者向けには、研修を受けたベテラン講師をうたっていますが、研修なんてほぼないですし。保護者との会話で注意すべき点、礼儀作法など、もったいぶって時間をかけて教えられましたが、すべて、一般の会社で働いた人なら当たり前に身につけているマナーばかり。

一貫していたのが、とにかくトラブルをおこすなと。おこせば損害賠償だぞと。

今までにトラブルになった事例を、参考までにと教えてくれたのですが、それって家庭教師の問題じゃなく、仲介してる会社の問題じゃないの?というのが、正直な感想で。

トラブルの大半は、教師と親のコミュニケーション不足が大きな原因かと。これに関しては、日頃から、互いになんでも話せる関係を作っておけば、そんなにトラブルは起きないです。そしてお互いに、常識の範囲内であれば、いちいち細かな注意事項など契約書にいれなくても、業者を仲介しなくても、両者が納得すればそれでいいわけです。

ただ、たぶん大学生だったりすると、社会経験がない分、遅刻や長期休暇などについて、これくらいはいいだろう、的な甘えがあったりして、そこで親とトラブルになったりすることがあるようで。でも、業者経由の家庭教師なら、そういうときこそ仲介会社の出番じゃないの?と私は思いましたけど。教師に責任を押し付けるんじゃなく、そういうときこそ上手く仲介するのが、家庭教師派遣会社なのに、と。

そもそも、常識とか責任感、それから教え方なんてものは、契約書で縛ってもどうしようもないと思いました。常識や責任感がない人が、契約書に書いたからって、別人のように生まれ変わる、なんてことはないわけです。そして、教え方は、研修でどうこうなるものではないし。教え方のうまさも、努力したり研修したりして、そんなに大きな変化があるとは思えません。

家庭教師派遣会社に求められるのは、教師の教える能力と、人柄を見極めることなのではないでしょうか。教え方がうまいひとでないと困るし、かつ、よその御宅に上がって、大切なお子さんの教育に携わる、それを安心して任せられる人間かどうか、その点が重要になってくる。

私が会社に感じたのは、契約書ですべてを縛ろうとする姿勢です。それじゃトラブルも起きるだろうなあ・・・と思っていたら、やはり、決して少なくない数の問題が過去には起きていたようで。無理もありません。トラブルを起こす人は、契約書があっても起こすだろうし、そうでない人間は契約書がなくても、常識の範囲内で振る舞うだろうから。なにもかも契約書に任せきりでは、問題も多くなるでしょう。まずは人を、選ぶ能力がないといけない。なにかあったら、責任は会社にあります。

よく、教育関係のアルバイトなどはブラックだと言われますが、私も痛感しました。教師のさぼりを防ぐためだったり、保護者受けをよくするためだと思いますが、とにかく膨大な量の報告書の提出を求められ、しかも書類作成にかかる時間は無給です。保護者との対談なども無給。授業準備などの時間も無給。

登録後、初めて仕事をする前に、最寄りの会社支部でシステム説明を受けるのですが、その際の交通費も自費です。私が登録した会社は、私の家から離れたかなり遠い都市にしか最寄りの支部がなく、往復の交通費だけで、4時間分の時給が消える計算でした。

仲介の価値、ないです。最初の生徒の紹介はありがたいですが、その後のフォローはほとんどなく、逆に、報告書等々、負荷は重くのしかかる。教科書何ページをやりました。宿題はここをやりました、という報告書の無意味さ。やってますよ~という形だけの証明にすぎないかと。

よく、生徒に合った先生を選抜の上ご紹介、などという広告をみかけますが、実際は、場所と指導科目、指導可能曜日から、登録教師を選んでいるだけです。そして教師の数は圧倒的に不足しているようでした。

もしお友達を紹介してくれたら、紹介料を払います、とスタッフの方に言われましたが。全くその気になれません。個人契約では簡単にすむものが、業者経由ではとにかく規則規則で、報告報告。みかけの時給以上に、無償で働く部分が多いのはひとつの罠ですね。

長々と、業者の悪い部分を挙げてきましたが、結局家庭教師は人なのだと思います。

業者経由だろうが、個人契約だろうが、生徒からすると、いい人に当たればラッキーです。

ではどうすれば個人契約できるのか。そこが知りたい生徒さんも多いかと思いますが、大学生の先生を雇うなら、大学の学生課に電話して聞いてみるのが一番です。その際、相場より少し高めの金額を提示し、応募してきた中から複数名、実際に体験授業をしてもらうのがおすすめ。当然、体験とはいえ提示した時給分はしっかり支払ってください。

教え方は本当に人によって違うし、生徒と教師の相性もあるので、実際の授業を受けてみるとよくわかります。そして、短期の契約を結べばいいのです。短期で雇えば、途中で断りづらいという心配もなくなります。いい先生なら、そのまま継続でお願いすればいいですし。最初から長期の契約にしなくてもOK。この先生なら大丈夫だ、という確信が持てた時点で、長期の申し入れをしても遅くはありません。

留学の予定などがあれば、また別ですが。そうしたことも、面接のときにさりげなく聞いておくといいかも。特段予定のない先生なら、長期でといわれた時点で、考えてくれると思います。

大学生でなく社会人の先生を頼みたいときは、一番いいのは「口コミ」ですね。評判のいい家庭教師だと、口コミだけでどんどん仕事がつながっていきます。人からの紹介だと、あまり外れはないかと。

自分で面接する、というのは面倒くさいようにも思えますが、業者経由にしたところで、別に厳選された人材というわけではないですから。自分で選んだ方が、いい人に当たる確率は高いように思います。

家庭教師の会社はたくさんありますが、業界トップのところでさえ、CMを見た時点で中身がわかってしまうというか。あのCMを見て、電話をかける気持ちが私にはさっぱりわかりません。私が親なら、むしろあのCMを見たら、絶対この会社には頼まないでおこう、という気持ちになります。

家庭教師とお茶菓子

実は最近、また家庭教師の仕事を始めました。元々学生時代にたくさんの生徒を担当し、社会人になってからも、知人から頼まれたりして、本業の他にWワークのような感じで断続的にやっていた仕事ではあったのですが。

しばらく離れていたのに、また始めることになったきっかけは、自分自身があるソフトの使い方講座に参加したときのこと。そのときの講師の教え方を見て、教師という仕事には向き不向きがあるということを痛感したのです。

今までは、誰にでもできる仕事と思っていたけれど。もしかしたら、結構自分に向いているのかなと。実際、ほとんどの生徒の成績は上がって、喜んでもらえることが多かったです。例外は1名。今思うと、発達障害のあるお子さんでした。

昔の話で、発達障害に関する知識が私にも親御さんにもなく。ご両親は、「とにかくスパルタでお願いします」とのことでした。そして、そうした厳しさだけに特化した指導はあまりうまくいかず、最終的には子供が様々な様々な嘘をつき始め、(指導日の変更など)、結局お互いに苦い思いだけを残して、指導は終わりました。

ただ、その一人以外は全員、成績も上がり喜んでもらえて、皆さん長いお付き合いとなりました。向き不向きでいうなら、多分これは特技なのでは?と思うようになりました。

ということで、まず家庭教師の派遣業者に登録し、さっそく紹介を受けたのですが、この生徒さん(Aさん)を通じて、「お茶菓子の意味」を考えさせられました。

私は個人契約も業者を通じての契約も両方経験していますし、今まで20軒近くのご家庭を体験していますが、初めて、一切のお茶菓子が出ないお宅でした。

初めて家庭教師を頼むおうちでは、お茶菓子を出すのか出さないのか、出すならどのタイミングで出すのか、どんな内容で出すのか、迷われることが多いようですね。ネット上にも、家庭教師の茶菓子について、質問や回答があふれています。

私の個人的な見解ですが、お茶は絶対に出した方がいいです。

例えば、今私が担当している案件では、週に1度、2時間の授業をしています。ではその2時間、生徒の集中力が続くかといえば、はっきりいって無理です。

1時間に1度、休憩を入れるのが、結局は一番効率的なのだと思います。それは、生徒と教師が交流をはかる時間でもあります。いくら勉強を教わるだけの相手といっても、やはりお互いに信頼関係がなければ勉強もスムーズにはいかないですし、生徒からすると、親でも友達でもない大人と話す、悩みを聞いてもらう、意見を聞く、という機会は、勉強とは別の意味で貴重な体験にもなると思います。

悩みのない子供はいないです。私もこれまで、ちょっとした愚痴だったり、相談だったりをずいぶん受けてきました。休憩時間は、飲み物をのみながら、学校生活の話などができる、生徒にとっては必要不可欠な時間と感じます。

また、子供から、親に対する悩み、というのもずいぶん聞きました。誰にも話せない、話しづらいことなど。家庭教師を雇うご家庭は、間違いなく教育熱心です。塾以上の高いお金を投じるのですから、そこには子供に対する深い愛情があります。けれど、子供からするとその愛情が重く、親子の気持ちがすれ違ってしまうこともよくある話で。

そんなときに、ぼそっと家庭教師に話せる、また意見を聞ける、というのは、子供にとって救いになる場合もあるのではないかなあと思います。それから、いじめについても。親には話せないけど、クラスや部活の悩みなども。

Aさんのお宅では、初回、指導前に30分ほど現在の勉強進度の確認や、今後の方針、報告書についての話などしましたが、お茶は出ませんでした。また、その日の指導後も、15分ほど現況について話しましたが、何も出ず。

2時間の授業といっても、休憩時間は指導時間に含めないよう業者から厳しく言われているので、(個人的にはこれもどうかと思いますが)、5分ほどの休憩時間分、終了時間を繰り下げ、また、これは私がどの家庭でも行っていることですが5分は余分に教えているので、結局初日は計3時間、何も飲みものを口にせず話し続けることになりました。

もちろん、念のためにカバンにペットボトルは入れてありますが、いくら休憩時間とはいえ、飲み物を飲まない生徒の前で、私だけ飲み物を口にするのは憚られます。

そして何より。

私がこのAさんの家で気付いたのは、子供の態度でした。これまで私が接してきた生徒はみんな、それなりに家庭教師には敬意を払っています。甘えることはあっても、いわゆる失礼な態度、というのはありませんでした。

Aさんは、疲れてくるといちいち指示に逆らいます。めんどくさー、と吐き捨て、あげくに消しゴムを目の前に叩きつけます。

失礼な態度に関しては注意しましたが、直りませんでした。そのうち、何度も注意する時間がもったいなくなったので、淡々と授業を勧めました。

勉強がわからない、と言われることはあっても、そうした、いわゆる「教師を見下げた態度」は初めてで、驚きでした。親がお茶を出さないことと何の関係があるのか、と思われる方もいらっしゃるでしょうが、私は親の態度が子供に影響を与えていると思いました。

子供はよく見ていますからね。

Aさんのお宅も、親が私に対する態度は、私が今まで教えてきたお宅とははっきり違っていました。それは、「うちがお金を出している。雇っている」という態度です。

ものすごーく横柄な態度、というわけではないのですが。でもそういうことが、言動の端々に透けてみえるのです。だからこそ、お茶を出さないのも当然という考えにつながるのかと。お客ではない、仕事なんだから当たり前でしょ?っていう。

子供も、それを見て思いますよね。ああ、うちが雇っているんだから、と。

思うのですが、教師という仕事は、尊敬がないと務まらない仕事ではないでしょうか。自分が尊敬できない見下げた相手から、何かを習う気分になりますか?

当然のことながら、Aさんは学校の先生も汚い言葉で罵っています。聞くと、先生は一生懸命生徒にわかるようにと補修をしたり、プリントを用意したりしているのですが、Aさんは自分が勉強がわからない苛立ちを全部、学校の教師にぶつけているのです。

あいつは○○だ。(容姿の侮蔑)、大嫌いだ。

注意はしましたが、罵りは直りません。こんなに学校の先生を悪しざまに言う、というのは、家庭の中でもそれが当たり前になっているのだと思います。

私のことは直接罵ったりはしませんし、教わるようになってからテストの点も上がったので、それなりに評価してくれているところはあるのでしょうが、それでも、尊敬はないのでしょうね。なぜなら、言うことを聞かないからです(^^;

学校の先生を悪しざまにいうこともやめないし、指示にいちゃもんをつけるから(これも本当にびっくりですけども)

家庭教師が、生徒にお願いして勉強をしてもらう、というのは違うと思います。生徒が勉強したくて、(成績を上げたくて)、家庭教師を頼んだわけですよね。

ご機嫌をとって、平身低頭でお願いして勉強していただく、なんてことは間違っています。

ご機嫌という言葉で思い出したのですが、私が生徒を紹介してもらった家庭教師の会社は、研修でこんなことを言っていました。

「この生徒さんが好きなアニメは、○○と○○です。漫画だと○○が好きなので、あらかじめ調べていって、好きな話題で盛り上がってください」

えーと(^^;

中学生が、大人とアニメや漫画の話題で盛り上がりたいですかね? 好きな番組の話なら、同年代とさんざん盛り上がってるでしょうよ。家庭教師に来た先生と、同じ話題であら嬉しー、なんて、ならないと思いますよ。というか、その「媚び」を、彼らは敏感に、感じ取ると思いますよ。

結論として、私は家庭教師にはお茶を出すことをお勧めします。それは、親が家庭教師に示す心遣いであり、その心遣いを、子供がしっかり見ているからです。

私が親だったらどうするかなあ、と考えてみましたが。

2時間ほぼ喋りっぱなしで教えてる人なら、お茶は出します。のどが渇くのがわかるし。短い時間ならともかく、指導時間2時間なら1時間過ぎた時点で、お茶は差し入れるだろうなあ。

お茶を出すデメリットは、何もないと思います。集中力が途切れるから、という理由で、指導中にお茶を出されるのを嫌う教師もいるようですが、指導中の姿を見られるのが嫌だからなのでは?と思います。監視されているようで抵抗があるのかも。

私はむしろ、授業の様子などは、親御さんにも見ていただきたい方です。親としても、どんな感じで授業が進められるのか、確認できて安心ですよね。

お菓子までは不要です。ただ、出して悪いものではないと思います。結局、そうやって家庭教師に気を遣っている親の姿から、子供が何を感じるか、というものはあると思うので。

勉強が苦手な子供の場合、お菓子の時間が楽しみだったりもします。私が以前教えていた生徒は、やはり1時間経つとかなり消耗してしまうので、休憩のときのお菓子を大変楽しみに食べていました。

以上、家庭教師とお茶菓子について、思ったことを書いてみました。次回は、家庭教師の雇い方について、書きます。個人契約か、業者経由か。迷われる方も多いと思いますが、両方を経験した経験から、気が付いたことを書いてみます。

秋の植物園へ行く

今年も秋薔薇の季節がやってきた。毎年春と秋には必ず出かける場所。今年はちょっと遅いかもしれないかもしれないと思いつつ出かけたら、やっぱり遅かったみたいで。

薔薇のコーナーはずいぶん寂しかった。盛りを過ぎたからなのか、秋だからなのか、春の日差しの中で燃え上がるようなイメージの薔薇はそこにはなく。ぽつん、ぽつんと隙間も多い。

秋の薔薇は、春の薔薇に比べて色が鮮やかだという。紫外線の関係らしい。けれど、私が見た薔薇はみんな、すこしくすんでいるように見えた。そんな中でも、存在感の大きかったのが、京成バラ園芸で1981年に作られた品種、『芳純』。ネーミングがいいね。芳醇じゃなくて、芳純。確かに、熟成した美しさというより、ピュアなイメージがある。

雨に打たれた薔薇はまた、その風情がなんとも言えず、心にしみる。晴れた日に見るのとは、また違う表情。立ちどまり眺めていたら、ホロリと花弁が何枚か崩れ落ちた。湿った地面に落ちるときには、やわらかな、湿った音がした。

薔薇とは別に、今回目を引かれたのが千日紅。ローズネオンという品種の色が、深い。ネオンという言葉から連想するイメージにぴったり。どこか秘密めいた、艶やかで、でも落ち着きも感じさせる色。


薔薇のような激しさはないけど、印象深い花だった。

この植物園は、春以外はあまり人気がない。平日の、まして雨混じりの日には、お客さんの姿もまばら。だけど、それがまたいいのだ。花がない、樹木のコーナーもまた、散歩道としては最高だ。目的も定めずゆっくりと歩く。空を見る。鳥の声を聴く。空気の匂いを嗅ぐ。
人気がないとはいえ、管理された場所だから、園内はどこでも安心して歩くことができる。広大な敷地には、池もあり、小川も流れている。楽園だ。

一角には温室があり、中には小さな人工の滝があって、それが透明な水のカーテンのようで見ていて飽きない。滝の前に立って、じっと目を凝らす。透明な滝の向こうにある壁の色。どこまでも透明な水を通して、その壁の模様を見る。水音に包まれて、そこにいるだけで、無心になる。非日常の、異世界にいるような気分になった。