キャセイパシフィック航空のCM

 いいなあと思うCMがある。キャセイパシフィック航空のCM。CNNを見ていると、よく流れる広告だ。歌声が耳に残る。こんな歌詞。

Everyday I wait for you

Have you gone away?

Will I see you again?

>毎日あなたを待っている

>遠くにいるの?

>また会えるかな

>部分は、私が日本語に訳したものだ。

歌は英語のみ。

淡々と歌われている。

オルゴールの素朴な音色をバックに、見知らぬ異国の風景。そして、forget something? (なにか忘れてませんか?)の文字。

 別に再会を待ち望む相手がいるわけではないのだが。

 なんとなく、遠いどこかに会いたい相手がいるような気分にさせられる。CMマジックである。

 いつか行ってみたい外国はエジプト。実際にピラミッドを見てみたいのだ。砂漠の中に立って、満天の星空を見てみたいというのもあるし、バザールのざわめきを体感してみたいというのもある。

 昔、久保田早紀が「異邦人」という歌を歌っていて、私はその異国情緒に憧れた。バザールを表現したこんな歌詞。

>祈りの声 ひづめの音 歌うようなざわめき

 これを聞いたとき、ブワァーっとイメージが広がった。実際にはそんな場所に行ったことなどないのだが、そういう場所に立っている自分を想像してうっとりした。周りの雑音が心地よいというか。

 私はもともと、大勢の中に紛れる自分、というシチュエーションが好き。その場所にいて、違和感のない自分を、心地よく感じる。大きなパズルの中、その中の一片である自分が好き、というか。

 砂漠の星空って、さぞかしすごいんだろうなあと思う。遮るもののない、360度の視界に、キラキラ輝く光点の美しさ。見上げてみたい。

 実は今年に入ってから、エジプト旅行を真剣に考えた時期があった。パスポートを更新したり、いろいろ具体的に動いたのだが、結局実現しなかった。だけど不思議なもので、エジプトで観光している自分自身を、心の中でたやすく思い描くことができる。

 キャセイパシフィック航空のCMを見ながら、「海外に行くなら、エジプトだな」と思う今日この頃なのだった。 

美しい人

 美しい人を見ました。ちょっと(かなり)遅い話題ですが、マックスファクターのCMに出てた綾瀬はるかさん。綺麗だな~。

 動画を見て、あまりに美しいのでうっとりでした。恋人?と思われる男の人は、肩の一部だけがぼやけて映っていて、その人とほぼ同じ目線で彼女を見るアングルです。

 私は女性ですが、もし男性だったら。そしてこの、綾瀬さんに向かい合っている男性だったら、やっぱり見惚れてしまうでしょうね。

 私は派手な化粧や洋服は嫌いなんですが、このCMの綾瀬さんはお嬢さんぽくて素敵。清楚だし、素直そうでまっすぐで、こんな女の子に優しく微笑まれたら・・・。間違いなく、惚れますね。(きっぱり)

 「私じゃ、駄目かな」なんて台詞もありましたけど。駄目なわけないじゃ~ん、と思わず言いたくなってしまった。

 「何か言ってください」という言葉の後、不安な目をするところがキュートです。相手の顔に答えを見出そうとして、瞳が揺れるんですよね。ぐぉ、可愛い。可愛すぎる。その揺れの中に、「やっぱり駄目かも・・・」とか、「もう会えない?」とか、悪い予感が胸をよぎってるんだろうなあと思わせるものがあって、ほんの短い時間のことなんですが、その表情にたくさんの思いがつまっている。

 好きな相手にこんな顔(しかもかなりの至近距離)されたら、もう、言葉を失ってしまうでしょうね。CMの中の男性は、やっとのことで一言。「綺麗だよ・・・」わかります。わかりますよ~。長い言葉なんて言えない。だって、本当に綺麗なんだもの。ただ、吸い込まれるようにみつめてしまいますよね。

 素直な一言。本当に率直な感想。それを受けた綾瀬さんのはにかみ方がまた、素晴らしい。

 その照れ方が初々しくて、好感持てました。綺麗だよと言われて、傲慢な態度がつい出てしまう人もいるだろうし、優越感にひたる人もいるかもしれない。

 だけどこのCMの中の綾瀬さんは、好きな人、それもたった今まで、「きっと自分を好きになってはくれないだろう」と思っていた相手からの賛辞が本当に嬉しくて、偽りでない素直な感嘆が胸に響いたのでしょう。恥ずかしくて目を見られなくなってしまう心の流れが、とても自然に伝わってきました。

 この2人は、どういう設定なんだろうと考えました。

 男性の方は、30位? 綾瀬さんとは知り合ったばかり。なにか助けてもらうようなことがあって、お礼の意味で食事に招待したとか。

 綾瀬さんに対しては、好感はもっているけど、それはまだ知人レベル。

 食事といっても、別に下心があるわけでなく軽い気持ちで。2人きりでの食事は、ちょっと意味ありげかな~と、自分でも多少、気にするところもあり。

 いつも明るくてカジュアルな服装が多い彼女が、今日はレストランの雰囲気に合った大人びた装いで。灯りの下で見る彼女の肌が、まるで陶器のように輝いていて。自分をじっと見つめる瞳が、せつない感情に揺れているのを見たらなんだか、不思議な気持ちがこみあげてきた・・・と。

 綾瀬さんの立場からしたら。

 たぶん、綾瀬さんはもう、最初から恋におちてたんでしょうね。だけど言えない。自分じゃ駄目なのは、わかっている。ずっと一緒にいたい。でも言えない。

 そんなときに、お礼といって、食事に誘われて。

 もしかしたら、会えるのはこれが最後かなーなんて思っていたのかもしれない。だから、一番きれいな自分になって、会いにいった。後悔のないように。

 彼の目に映る私が、せめて、綺麗でありますようにと願いながら。

 彼の口から、否定的な言葉が出てくるのが怖かったんでしょう。理性ではわかっていても、悲しい言葉は聞きたくない。だから、黙りこんでいつもと様子の違う彼を前にして、不安になる。

 そして、怖いと思いながらも、本音が聞きたいと願ってしまう。

 短いシーンではありましたが、想像がふくらみました。

 綾瀬さん、とても綺麗です。

 このCMを作った人のセンスは素敵ですね。演出が素晴らしいと思いました。

石原真理子さんの暴露本に思う

 石原真理子さんが暴露本を出したとのこと。私はまだ読んでいないが、内容はかなりきわどいものらしい。特に、昔不倫をしていた安全地帯の玉置さんのこと。彼に骨を折るほどの怪我をさせられたとか。ショックだった。

 暴露という形に、「今さら」という批判もあるようだが、私は気の毒だなあと思った。石原さんに同情してしまった。たぶん彼女の心の傷は今も癒えず、あれからずっと、痛み続けていると思うから。

 それは、石原さんにとっても、玉置さんにとっても、不幸な恋愛だったはず。だけどそれに気付かず、今でも恋愛感情を残しているようにみえる石原さんは、深く病んでいるように思う。

 健康な女性は、暴力をふるう男を好きになったりはしない。暴力をふるわれたら、怒り、悲しみ、すぐに自分を守ろうとするだろう。百年の恋だっていっぺんに冷める。そんな相手と、一秒だって一緒にはいられないはず。

 ひどい暴力をふるわれて、それでも離れられないのは、女性の側になにか深いトラウマがあるのだと思う。それが正常な判断力を狂わせ、幻影をみせる。

 不倫が騒がれた当時、年下の彼女が会見をして、そのときに見せた涙。対して、玉置さんは全く表に出てこなかった。今考えると、おかしいよなあと思う。猛烈なバッシングを受けたのは彼女だけで、なぜか玉置さんはあまり批判されていなかったような。

 あまりにも強烈な体験をしてしまうと、そこから抜け出すのはなかなか難しい。周囲のサポート、そして本人の変わろうとする強力な意志がなければ、自分を変えることはできないのだ。

 

 石原さんは、今、幸せではないと思う。苦しんでいると思う。もう終わったこととして涼やかな顔をしているのは表だけで、実際は今なお、消えない記憶にあがいているのではないだろうか。

デヴォン青木

 お久しぶりの更新です。いろいろあったんですが、ありすぎて書くのをためらっているうちに日が過ぎてしまった。

 最近の変化といえば・・・・・。デヴォン青木が好きになりました。デヴォン青木はトップモデルで、女優さんとして映画にも出てます。初めて見たのは、リーバイスの店先のビデオ。

 たまたま通りかかったお店で、彼女のインタビュー映像が流れてまして。一目見て、惹かれました。全然知らない女の子ですが、魅力的だなあと。ジーンズにシンプルなシャツ。それなのに、ハっとするほど綺麗でした。

 本当の美しさって、シンプルなものなのだと思いました。肌の滑らかさだったり、余計な肉のつかないひきしまった体だったり。

 なにげなくしているポーズでも、それなりに筋肉がないとこなせないものだと思います。カメラの向こうに、なにを訴えかけるのか。

 なにも考えていない目ではありませんでした。「私はここにいる」「私は私」と主張している、その目に魅了されてしまいました。

 もともと私はクリスティーナ・リッチとドリュー・バリモアが好きでしたが、デヴォン青木も、この2人と同じ雰囲気を持っていると感じました。

 そういえば、クリスティーナ・リッチの『スリーピー・ホロウ』素敵だったなあ。ああいうクラシックな衣装が似合う。ジョニー・デップと視線を交わすダンスシーンが印象深いです。私がジョニーの立場だったら、やっぱり恋におちてたでしょうね。

 そんなわけで、店先でずいぶん長いこと、デヴォン青木出演の映像を見てました。それで、家に帰ってきてからネットで彼女のことを調べ、あのベニハナで有名なロッキー青木のお嬢さんだということを知ったのです。

 大事に育てられてきた娘さん、という感じですね。ひねたところがなくて。

 西洋と東洋の入り混じった不思議な顔立ち。見る角度によって、表情が全然違う。童顔といえば童顔ですが、ときに大人びた表情も見せる。すっと背筋が伸びて姿勢がよくて、体中から自信がみなぎっている。

 傲慢になっては見苦しいですが、自信というのは人を美しくみせるものだと思いました。

 自信とか勇気は、私に一番足りないものです。だから、それを持ってるデヴォン青木に惹かれるのかなあと思いました。「今までやったことないことで、あなたが本当にやりたいと思うことをやってみて」というメッセージが、心に残りました。

 

 思えば、夏に見たダンス・オブ・ヴァンパイアも「欲望に従え」だの「モラルを捨てよ」というメッセージが満載だったっけ。最近、不思議なことに周囲の人たちから、「勇気をもて」というメッセージを受けることが多いのです。

 この曲いいよ~、と職場の同僚に紹介されたのが、玉置浩二さんの『しあわせのランプ』。しあわせになるために生まれてきたんだから・・・という歌詞がいいですね。

 これまで、私は暗い顔をして、ずっと下を向いていることが多かったのですが、最近やっと自分が変わり始めたのを感じます。いろんなことがあって、自分の考えも変わってきたのです。こだわりを一つ一つ捨てて、閉ざしていた心を開くようになって。そうすることで、また周囲の流れが変わり、それがまた自分に影響し・・・。以前に経験したショックな出来事を、まだ克服したわけではないのですが、それを乗り越える決意ができたというか、少しずつ歩き始めたという自覚があります。

 

 「明るくなったね」「変わったね」と言われるようになりました。

 自分でも、考え方が変わったと思います。少しずつですが。そして、周囲も変わった。今の職場は本当に人間関係が良好で、穏やかな人ばかりに囲まれてます。自分の心が、癒されるのを日々感じてます。

 自分に自信を持つこと。勇気を持つこと。いつも笑顔でいること。臆病にならず、飛び込んでいくこと。今年もあとわずかですが、私は変わりたいと思ってます。今年の年末には、「これが私です」と、胸を張って言えたらいいなあと思うのです。

英語で俳句

 私は美しい詩に出会うと、それだけでうっとりして夢心地になってしまうのですが、英語でそういう言葉に出会うことはなかなかありません。

 やはり母国語ではないので、どうもピンとこないのです。

 でも、この詩にあったときはそのみずみずしさに驚きました。

 伊藤園のお~いお茶新俳句大賞。第八回英語俳句の部で大賞をとった作品です。作者はShoko Nozawaさん。

 soft distant music

flowing from the room

in butterfly lines

(直訳:やわらかい音楽が遠い部屋から流れてくる…蝶が舞うように)

 この詩。英語と日本語を並べてみても、はるかに英語の方が質がいい。日本語の直訳はなんてことのない言葉の羅列ですが、この英語の方は・・・。

 一つ一つの言葉はありふれているのに、それを並べたときに新しい世界が開ける。どうしてこんなに心に響くのか、不思議な位です。選んだ言葉、並べた順番、それが詩という形になったとき、一つの物語になるのですね。

 soft distant music という言葉に、 私はピアノの音を連想しました。自分が大きな洋館の応接間にいて、人を待っているのです。すると、どこからか柔らかなピアノの音が聞こえてくる。隣の部屋か、それとももっと遠くの部屋か。誰が弾いているのかもわからず、ひそやかにその音は忍び込んでくるのです。明るい、午後の陽射しが差し込む応接間。レースのカーテンの向こうに、緑が見えます。そしてのどかなピアノの音は、押し付けがましい強さではなく、ゆったりとその場を満たすのです。

 in butterfly lines この言葉には酔いますね。buttefly lines 目には見えない音なのに、それが蝶のようにひらひらと舞う幻覚。音が踊っている。小さな妖精が、楽しげに羽ばたくように。なんて平和な情景だろうと思います。金色の、蜜を溶かしたような甘い空気。

 作者は、お名前からすると日本の方でしょうか。やっぱりなあと思ってしまいました。日本人の感性は、外国人とはやはり違う部分があると思うので。日本独特の匂いを感じました。もしかしたら帰国子女の方かもしれませんが、少なくとも、日本で一定期間生活をしたことがある人が書いた詩だと思うのです。

 いい詩は、鮮やかなイメージを喚起します。こんなに短い言葉の中に、どれほど多くの映像がつまっていることか。この詩を読むと一瞬、自分がその場にトリップしたような感覚に襲われるのです。