薬師丸ひろ子さんの『セーラー服と機関銃』を聴いている。長澤まさみさんバージョンではなく、薬師丸ひろ子版で。
春だからなのかもしれない。
曲に描かれた女性の、若さが眩しい。自分にもこんな時代があったなーなんて。希望に胸をふくらませて新生活を始めた若い日のことを、懐かしく思い出す。
そのとき私は比喩でなく、ものすごーく重い荷物をかついで歩いていた。あれ、実際何キロくらいあったんだろう? 迎えに来てくれた人が、「持ちますよ」となにげなく手を出したので、遠慮して「いいです」と断った。それでも「いいから」と、その人が半ば無理やり持ってくれたのだけれど、その瞬間の驚愕の表情がおかしくて、今でもはっきり覚えている。
本当に重かったのだ。私は平気な顔をして持っていたけど、普通は持ち歩くレベルじゃないよなーという位に。宅急便を頼むには日にちがなかったので、直接持ち歩いていたのだが、今でもあのときの重さは覚えている。
それを受け取ったときの、その人の顔!
マジで。この重さを? ずっと持ってきたの? 嘘でしょ? おかしいでしょ?
気の毒そうな顔というより、不思議なものをみるような目だった(^^;
私にはその驚きが心地よかった。へへー。力持ちでしょ?と思ったし。
4月の空気は、光に満ちている。緑は柔らかくて、植物が成長を始めようとするエネルギーが、そこらじゅうにあふれてる。少し散りかけた桜の下で、そのときの私は、心に誓いを立てたのだった。ああ、なんて若かったんだろう。
あれから10年以上経つ。今も私はやっぱり、重い荷物を持つときにはわざと、平気な顔をしてみせる。先日、嬉しい新事実が発覚。私の好きな人も、同じ癖があったらしい。
こういうのは、性格的なものだと思う。
共通点があったことが、すごく嬉しかった。