オペラ座の怪人(映画)を語る その8

またふらふらと、「オペラ座の怪人」を見に行ってしまいました。レディスデーで1000円は絶対お得。館内はやはり、女性が多かったです。

これで同じ映画を4度見たことになりますが、全然飽きません。なぜだろうと考えたのですが、たぶん見所が複数あるからでしょうね。映像、音楽、そして英語の解釈。なるべく字幕を見ずに、直接言葉を聞き取ろうとすると、画面に集中できて新しい発見があったりします。字幕を見ていると、どうしてもそっちに注意がいってしまいますから、あえて原語で理解しようとすると勉強にもなるし、一石二鳥。

以下、ネタバレを含んでいますので、未見の方はご注意ください。

Learn to be lonely を好きになりました。最初に聞いたときは、平凡な曲だなあと思ったんですが。最初聞いたときには、歌詞が嫌いだったんですよ。いかにも、ファントムの哀れさを強調したような歌詞で、お涙ちょうだい的なあざとさを感じてしまって。

でもこれを、歌詞を抜きにして、晩年のラウルのテーマソングとしてとらえると、彼の心境を表したいい音楽だなあと思ったのです。クリスティーヌの享年を墓石で見る限り、彼女は63才?まで生きたようです。よき母、という言葉からは、子供をしっかり育てたんだなということもわかります。あの、シャンデリアが落下した夜の3人の記憶を超えて、そのことに呪縛されることなく、平凡で幸せな人生を生きることができたのだと、救われる気がします。

そして、そんな彼女に、思い出のオルゴールを落札してお供えするラウル。私は、夫婦は、どちらかが幸せでどちらかが不幸なんて、ありえないと思うのですよね。クリスティーヌがそれだけ幸せな時間を過ごせたなら、傍にいたラウルは、同じくらい幸せだったと思うのです。

お墓に供えられた赤いバラ。その赤が、墓石までもほんのりと染めていたのは、ファントムの愛がラウルに負けないくらい真摯なもので、ラウルと同じくらい、長く続いたのだという証ではないかと思いました。あの終わり方は素敵です。救いがある。舞台のように、ファントムがただ消えてしまうのではなく、その後のクリスティーヌの幸せな人生を象徴するようなシーンで終わるのは素敵だなあと、4度目の鑑賞でそう思いました。そういう救いがあるから、何度でも見られるのかもしれません。あんまり悲しい話だったら、見ていてつらくなってしまうでしょう。

ラウルはあの薔薇を見て、いったいどう感じたのか。きっと、嬉しいというか、懐かしい気持ちでいっぱいになったと思います。それが、あの Learn to be lonely のメロディではないでしょうか。ときが流れて、鮮やかな思い出もセピア色になって、関係者が次々と亡くなって。とり残された気分のラウルは、ファントムに対して、奇妙な連帯感のようなものを感じていたのかなと思います。同じ女性を、心から愛したという連帯感。

Did you think that I would harm her?

Why should I make her pay for the sins which are yours?

(彼女を傷つけるとでも思ったのか?)

(なぜお前の罪を、彼女に償わせねばならぬ?)

クリスティーヌを助けようと乗り込んできたラウルに対し、ファントムが上記のように言う場面があります。私は、このセリフが大好きなんですよ。ファントムにとって、クリスティーヌは本当に宝物なんだなあ、と思うから。2人に宣戦布告したところで、クリスティーヌを憎みきれない。クリスティーヌはたぶらかされただけだ。悪いラウルに騙されて、迷わされているんだ、というファントムの気持ち。ラウルに対して憎しみはあれど、クリスティーヌを傷つけようという気持ちはまったくなかったんだな、とほっとします。

ちょっと長文になったので、続きは日付が変わったらUPします。

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