ニフティシアターフォーラムに『ダンスオブヴァンパイア』の稽古の模様が、動画としてUPされていた。
おお。いいではないですか。路線がコメディではなく、耽美な方向に変わってきた気がする。演出の山田さんのお話を聞いていると、不安になることがいくつもあったんだけれど。
公式HPの宣伝を担当されている方のブログを読んでいると、宣伝部の方向としては荘厳なものを目指されているようで、うれしくなってしまいました。だって、「幽玄で耽美的な音楽の響き」という言葉を使っているんですから。ぜひその方向でつくりあげてほしいです。愛は血を求め・・・のキャッチコピーを聞いたとき、もしや?と期待してしまいましたが、その期待を裏切らないで、どうかこのまま進んでくれますように。
コメディの要素はあってもいい。だけどやっぱり、悲劇の物語を見たいと思うし、音楽を聞いた感想としては(ちょっとしか聞いてないけど)、その方向性で間違っていないと思う。
山田さんは、アルフレートが主人公で・・・と考えているとのことですが、クロロックに焦点を絞った方が重厚な話になるような気がする。アルフレートが主人公だと、全く別の話になりそうで怖い。スターウォーズに例えてらっしゃいましたが、私が見たいものと全然違うんだな。それはそれで、一つの物語なんだろうけど。個人的な欲望で申し訳ないが、私はクロロックとサラの物語が見たいのです。アルフレートは、そこに絡んでくる存在であってほしい。
話の中心を誰に持ってくるかで、見方が全然違う舞台になると思うんですよね。
まあ、これは私が山口ファンだからというのもあるんですが、真面目な、そして苦悩する山口さんが見たいという個人的希望があるのです。そういう役が似合うと思う。そして、吸血鬼という存在は、それ自体が悲劇だと考えてます。
永遠の命を祝福ととらえるか拷問ととらえるか、解釈は人によって違うと思います。もし自分が吸血鬼だったとしたら、愛する人の血は吸いたいけど吸えない。だって吸えば、その人が吸血鬼になってしまうのでしょう?
だったら、すごく苦しいけど我慢する。その人が普通に年をとって、人間としての幸せを享受するのをたぶん傍で、そーっと見てると思う。その人が、人間を好きになって人間と結婚して、そして少しずつ年をとって。最後に死んでしまうまで、たぶんずーっと見てるだろうな。内心、ものすごく葛藤しながら。
演出家と役者と、それから宣伝部の方向性が完全に一致するというのは難しいことなのかもしれません。
動画の中で、なによりも心をうたれた映像がありました。それは、市村さんがクロロック伯爵像を語るシーンです。「孤独でせつなく・・・」と言ったときの山口さんの表情。それからほんの少し顔を傾けたその角度!
マニアックですが、これぞ山口さんという瞬間でした。言葉ではうまくいえませんが、私が山口ファンであるその理由が、そこに集約されているといってもいいです。この空気。思わず何度も再生して、見直してしまいました。
市村さんが感じた伯爵像、すごく共感しました。
市村さんも、悲劇派なのだなあと。もちろん、市村さん自身の役柄は喜劇担当なんですけど、笑いがあるから救いがあるんだと思います。だって、全編通して暗い、悲しい話だったら、正直2度見るのはつらいかも・・・。
きっとどんな悲劇も、市村さんのおもしろさで救われるはず。そう考えるとかなり重要な役です。
山口さん自身はあまり、言葉では語っていませんでしたが、恐らくこういう捉え方をするだろうなあという想像はできました。初日まであと少し。楽しみです。