『マリー・アントワネット』観劇記 その2

 12月24日ソワレ。帝国劇場で上演中の『マリー・アントワネット』を見てきました。以下、感想ですが、ネタバレを含んでおりますので、未見の方はご注意ください。

 

 二日連続での観劇です。そして、早くもマイ千秋楽(私が見に行くのはこれが最後)であります(^^;本当は、初日を含め3枚チケットを持っていたのですが、初日の1枚は人に譲ったので、結局2回見に行くことになりました。

 まず、2日間見た上で、どう違ったかを書きたいと思います。

 2日目(24日ソワレ)の方が、物語に入り込んでじっくり鑑賞できました。マルグリット役、新妻聖子さんの千秋楽ということもあるのでしょうが、舞台の迫力が凄かったです。

 「100万のキャンドル」「心の声」いい曲ですね。

 新妻さんの、体の奥底から搾り出すような声に、よく合っていると思いました。「100万のキャンドル」の時には、なんだか自分が責められているような気さえしました。

 今の日本、そして自分の生活はとても恵まれたものだから。その日を生きるのに精一杯な状況の人たちも、この世界にはたくさんいる。帝国劇場周辺、丸の内仲通りなどはちょうど、クリスマスのイルミネーションで本当に綺麗に飾り付けられていて。とっさに、キャンドルという言葉がそのイルミネーションの情景と重なりました。おいしいものを食べ、きれいな洋服を着て、ただそれに満足するのではなく、なにか自分にできることはないだろうかと。

 大げさなことはできなくても、自分の周囲を見回してできることから始めようと。そんな気持ちになりました。

 私は、マルグリットが好きです。共感できるキャラクターですね。彼女がマリーに対して憎しみの炎を燃やす気持ち、よくわかります。何一つ持たない自分が眺めた、壮麗な花嫁行列。惨めさ、羨望。

 きっと、フェルセンのことも好きだったんでしょう。まったくの身分違いだし、憧れのような淡い気持ちだったとは思いますが。そこのところをもっと強調して描けば、舞台がもっとドラマチックになったのでは?と、ちょっと残念にも思いました。マルグリットがフェルセンに惹かれる描写があれば、さらに、マリーへの嫉妬もあって感情は激しく乱れたはず。

 この、マルグリット→フェルセンの恋の描き方が弱いために、マリーが出した手紙をめぐる3人の攻防(フェルセン、マルグリット、アニエス)が少し単調になってしまったような。

 革命という大義とは別に、個人的な感情に揺れるマルグリットも見てみたかったです。手紙を渡したくない理由の中に、2人に対する嫉妬が見え隠れしたら・・・。自分でも無意識にフェルセンを求め、マリーに嫉妬するマルグリット。

 ただの意地悪な娘でなく、怒りで盲目になっているだけでもなく、人間的な優しさをちゃんと持ち合わせているマルグリットだからこそ、いいなあと思いました。暴走していく民衆に、必死に本来の目的を説いてまわったり。

 最終的には、マリーに同情しているマルグリット。憎んでいたはずなのに、マリーの悲惨な状況に心を動かされて、逆に民衆の狂気に苛立つ。

 続きはまた後日書きます。

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