『CANDY』 Mr.Children 感想

Mr. Children の『CANDY』を聴いている。

これ、最初に聴いたときには全然ピンとこなかったのだが、久しぶりに聴いてみたら、心に響くなあ。いきなりサビから始まっているように思います。
イメージするのは、「君」のホログラム。立体なんだけど、あんまり精巧じゃなくて。明らかにフィクションなわけで。
それも無理はない。
全部、脳内映像だから。自分の希望だけで作りあげた、つぎはぎだらけの嘘の映像。

諦めなきゃという理性の回路に、その稚拙なホログラムは侵入してくるんだろうなあ。容易く。

そして何度も、同じ表情で気のある素振りをしてみせる、みたいな。

そりゃ何食わぬ顔でしょうよ。自分の都合だけで作りあげた幻なんだから。でもその幻に、ほんのわずかな希望に、みっともないほどすがりついてしまうのが、恋の病の症状でもあって。

でもさ。たぶん気付いてるね。自分でも。そのホログラムは本物じゃない。もう実物とは別の部分で、自分の理想を形にしちゃってる。それで、その無垢な魂は要求通りの言葉をくれる。

だけど、どんなに理想通りでも。言葉が希望通りであればあるだけ、虚しさみたいなものは、ひたひたと押し寄せるでしょう。しょせん、ホログラムだもん。

どんなに瓜二つの人間だって、その人、本人じゃなきゃ意味がない。その人そのものじゃなきゃ、要らない。

突き詰めれば、結局のところ、それが答えなんですよね。みっともないほど、全面降伏。ただひたすらに、思わずにはいられない。
理由もない。ただ、愛しいだけ。会いたいだけ。

そして、ホログラムの登場です。ループです、きっと。

幻に、慰められて。何度も語りかけるんだな。幻になら、言えるから。だけど所詮それは、幻なわけで。

予定調和の世界に、どれほど幸せな結末を夢見たとしても。その脚本書いたの、自分だからね。虚しいだろうなあ。

『みすて・ないでデイジー』で、デイジーちゃんそっくりのロボットを作った歩野くんのことを思い出しました。あの漫画、一見コメディーだしハチャメチャなんだけど、実は深いです。

ホログラムに慰められながら、人は、少しずつ忘れていくのでしょう。

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