洗脳 地獄の12年からの生還 ToshI 著 を読みました。以下、感想です。
壮絶でした…。
なにもかも順調なときなら、きっと洗脳されるような隙はないでしょうが、人間関係に悩み、苦しんでいるときには、危ないですね。本来宗教は、人を救うものであるべきなのに、ToshIさんが入った宗教は、お金をとるばかりか暴言と暴力で人の尊厳を破壊し、ToshIさんの知名度を利用してまた新たな被害者を狙う、という、恐ろしいものでした。
芸能人が周囲の心配をよそに、宗教にはまる、というのは時々聞きますが、有名人でお金持ち、というのは孤独なんだなあと、あらためてそう思いました。身内ですら信用できないなら、誰を信じればいいのか。
本を読んでいると、信者時代にも、100パーセントの信仰があったわけではなくて、その時々において教祖や妻に対して、???と思うところもあったみたいですね。当時、テレビに映った姿を見ると、盲信していたようにみえたのですが、その影にはいろんな葛藤があったんだと、読んでみて初めて知りました。
こうして自分の体験を語ることは、これまでToshIさんの名前が勧誘に使われたことへの贖罪になっていますね。そして、今まで宗教とか洗脳とか興味がなかった人でも、ToshIさんの本ということで興味を持って読めば、洗脳の恐ろしさを知り、被害を未然に防ぐことができると思いました。
暴言と暴力で人を洗脳する、というのは、たぶん洗脳が解けた後だと、なんであんなことで騙されちゃったんだろうと思うけれど、その瞬間にはなんの疑いもなく、すーっと心の奥底に入りこんでしまうものなんでしょう。
ToshIさんを救ったのは、「おかしい」というご自身の絶対的な感覚と、それをサポートしてくれる周囲の人々でした。どちらが欠けても、脱出は成功しなかったと思います。
世の中には、本当に無償の愛で他人を助けてくれる人がいます。ひどい人もいるけどその一方で、同じ振り幅で善の方向に動く人もいるのです。
バンドメンバーの絆にも感動しました。誤解や喧嘩があっても、年月を経てわかりあえる瞬間がある。その絆は、本当に素晴らしいものだと思います。かけがえのない仲間は、ToshIさんの宝物です。
どんな宗教も、末端の信者さんはたいてい、純粋な善人ですね。そして心から他人の幸せを願い、布教に全力を尽くします。よかれと思って、人を誘います。だからといって、その宗教の幹部が、同じように善人であるとは限らなくて。
いろいろと考えさせられる本でした。