大東建託のアパートが建ちすぎて不安

いくらなんでも、という感じで、うちの周りに大東建託のアパートが建ち続けています。学校が近かったりスーパーや銀行などが揃っていて暮らしやすい土地であるのは確かですが、それにしても限度があるかと。

半径250メートル以内に、ここ3年で新築のアパートが大東建託だけで4棟目です。東建コーポレーションやレオパレスのものも含めると、6棟。元々あった古いアパートを加えると、狭い範囲で合計9棟もの賃貸物件がひしめきあっている計算です。

それだけの需要があるか、といえば答えはNO。例えば大東建託で3年前に建てられた物件A。8戸のうち、3戸はすでに空室です。建てた当初は満室でしたが、次々と人が入れ替わり、現況がこれです。まだ新しい賃貸物件としては結構な空室率ではないでしょうか。それなのにまた、200メートルも離れていない場所に、また大東建託のアパートBが建ちます。さすがに、異常だと感じました。

その物件Bのすぐ向かいには、大東建託ではない築27年のアパートが一棟X。ここは、3戸のうち1戸が空室ですが、相当な家賃の値下げがない限り、ここが埋まることはないと思われます。

無計画な新築の連発は、その土地の未来像みたいなものを、まるで無視した暴挙だと思います。お店とは違って、もし経営がうまくいかない場合でも、建物の場合は撤退(撤去)ということはないわけで。ずっと、数十年その場所に建ち続ける。

融資を受けて建てられた建物。返済が滞れば、抵当権の行使で競売。所有権を手にするのは誰か。その土地に全く関係のない、愛着もない、ただ投資としての感覚しかもたない人が経営を始めれば、また入居者の質も変わってくると思います。

まだ、地元の人がオーナーである限りは、周囲に対する配慮もあると思いますが、オーナーが遠隔地にいると、儲かりさえすればどんな人が住もうが、近所と軋轢が生まれようが、構わないということにもなりかねない。

あるいは。将来的に老朽化したとき。修繕にも再建築にもお金がかかるということで、放っておかれる危険性も考えられます。所有者が転々とすれば、責任者を特定することも難しい。台風のときなど、危険物が飛んでも、近隣の人には訴えていく先がない。

住む人もいないのに、需要もないのに、もう十分他にたくさんの賃貸住宅があるのに、まだ建て続けるのは、会社に利益が上がるからなのでしょうか。なぜここにまた、新しい新築の棟を建てるのか。地主さんは相続税対策で説得されたのかもしれませんが、新築時だけ無理に部屋を埋めたとしても、すぐにまた空室が生まれるのは目に見えています。すぐそばにある同じ会社の同じような建物が、8戸中3戸も空いているのに・・・。

賃貸の場合、大家さんがよほどしっかりしていないと、いろんな問題が起きたりしますね。例えば、これはうちの近所のマンションCの話なのですが、ファミリー向けの4階建12戸の物件。ここは大東建託ではないのですが、ゴミ置き場の問題で近隣に迷惑をかけています。

なんと、この物件には専用のゴミ置き場がないのです。それで、近くのゴミ置き場を利用させてもらっている形なのですが、そこは自治会が管理してまして、ちゃんと当番がいるんですよ。みんなが交代で、掃除したり、違法なゴミは自宅に持ち帰ったりして、きちんと管理している。マンション住人は、その場所を使うのです。でも自分たちは当番はやらない・・・。

このマンション。もともとは自治会にも加入していたし、ゴミ当番もやっていたんですけどね。去年から自治会をやめたのです。理由は、役員をする人がいないから。賃貸の人だと、自治会活動に非協力的な人も多く、役員をやる人が毎年同じになってしまって、その人たちが悲鳴を上げたらしいです。いくらなんでも、自分たちだけが毎年やるのは無理だ、と。

賃貸だと、どうしても地元への愛着は希薄になってしまう。数年で引っ越す人もいますし。それは仕方のないことだと思いますが、ゴミの出し方がいいかげんになるのも事実で。

一戸建てで住んでる人だと、やっぱりゴミ出しなんかもしっかり分別するんです。その土地にずっと住む覚悟で、自分たちでゴミ当番をやっていますから、真剣にもなります。でも、賃貸マンションの人たちは、どうしてもその点が緩くなってしまう。いつか、その土地を離れていく前提の人が多いから。

マンションが自治会をやめるという話になったとき、ゴミ置き場の話も協議されたようですが、自治会の方でマンションの管理会社に話をしようにも、なんとそのマンションの権利は、複数の会社が共有しているとのことで。責任者、というのを特定しづらく。

元々、このマンションは新築当初(30年前)地元の人がオーナーでした。その後、建物が古くなって入居率が低くなり、困ったオーナーはマンションを売却。それから転々と、いろんな会社が転売をして、結局、今は複数の会社が所有権を持つ、複雑な形態になっているらしく。その複数の会社からしたら、少しでも経費をかけたくないのでしょう。マンションに専用のゴミ置き場を設置するのには、まずお金がかかる。それから、その後の管理費用も定期的にかかる。

賃貸物件のゴミ置き場は、一般的に汚いのが多いです。みんなが顔見知りの住宅街で、みんなが当番をやっている場所とは、当然違ってきますよね。賃貸物件で当番制が無理なら、お金で、業者に清掃管理をお願いするしかない。それをけちって、地元住民が当番制でやっているゴミ置き場を使うのは、ずうずうしい話だと思います。

今建築中の、大東建託の物件Bも、せめてゴミ置き場は、専用のものを作ってくれればいいのですが。

複数の会社に所有され、いろんな問題をはらんでいるマンションCの姿は、ここ数年で一気に乱立した新築アパートの姿と重なります。今は新築。当初は満室であっても、この後どうなるんだろう。地元オーナーの手を離れ、権利関係が複雑になって、自治体にも入らず、地域の中で孤立していき、その先は?

地域に、うまく溶け込んでいるマンションもあるんですけどね。例えば、近所の大規模マンションD。ここは、すぐそばにオーナー家族が住んでいて、2棟のマンション(全部賃貸)の自治会関係を、全部その大家さんが引き受けています。大きなマンションで世帯数も多いので、そのマンションだけで、ひとつの隣保を形成しており。役員も必要なんですが、そこは大家さんがやってくれているのです。地域の情報(回覧板)に関しては、ファミリー棟は普通に回覧板を回し、もう一棟の独身者用では、回覧板を回さずに大家さんが掲示板に掲示することで対応。そりゃそうです。一人暮らしの人は家を空けることもありますから、回覧板を回しても、どこかで長期間止まってしまったりするし、実質、独身の人にとっては自治会のお知らせで重要なものはあんまりないから。ゴミ置き場も、マンション専用のものがあり、大家さんがやっているのか業者なのかわかりませんが、いつもきれいに管理されています。

こういうマンションなら、近隣の人も安心です。なにかあったときに、話せる相手(大家さん)が近所に住んでいるんですから。大家さんだって、自分の家が近所にある以上、マンションをしっかり管理しますよ。目につくわけですから。

自治会って、面倒なようでいて、とても大切だと思う今日この頃。たとえば、地震や津波など大災害があっても、自治会がしっかりしていれば、近所同士で助け合うことが容易になります。市役所も、被害状況を把握したり、支援物資を配ったりするのに、個々を相手にするのではなく、隣保単位で連絡をとれば、正確だし、効率的です。

たとえば、○班○隣保は、○世帯、○人とわかっていれば、そこにまとめて物資を届けられます。届けられたものは、隣保長が配ればいいわけです。そのとき、隣保内にケガ人がいたり、なにか困ったことがあれば、近所同士で助け合えます。

自治会に入らず、日頃から顔も名前も知らないという関係は、なにかあったときに弱いです。もし建物に閉じ込められていても、誰にもわからない。賃貸で自治会は面倒、というのは理解しますし、一人暮らしなら尚更、自治会活動に参加するのは難しいかもしれませんが、そこは大家さんが責任を持つことで解決できます。

賃貸物件に入るなら、そういうところも条件の一つに挙げると、住みやすくなるかもしれません。大家さんが、自治会の活動をある程度担ってくれていること。これ、案外大切なポイントかも。近隣と断絶して暮らして、いいことなんてありませんから。

それにしても。今後十数年で、うちの近所の景色はどう変わるんでしょう。一戸建てが増えるのは活気が出るし、嬉しく微笑ましく見ていましたけど。賃貸物件を、無計画にどんどん増やすことには、危険を感じます。田舎だし、古くなった賃貸に住む人の数、これからどんどん減ってくると思いますよ。それくらいなら、土地を買って自分の家を持つでしょう。同じ時期に、一気に新築した物件たち。老朽化するときも、一斉に、ですね。

先日、自転車に乗って外出したら、行く先行く先、大東建託の建物が新築されていて、びっくりでした。すごい勢いです。もちろん他の会社もありますが、この流れ、すごく不自然です。人口が爆発してるわけじゃないんですから。既存の賃貸物件はますます空室が増加するだろうし、建てればいいという話ではないと思います。

「大東建託のアパートが建ちすぎて不安」への2件のフィードバック

  1. 私も同感です。地方在住です。
    節税効果と言っても家賃収入分の所得税の増額や、そもそも30年保証とは名ばかりで、契約更新時にもめたり、補修工事をさせられて追加費用があったり、人口減少で入居率に問題が出るのは目に見えているのに…。同じ建物なんだから、立地新しさで戦うしかなく、生き残れる数も限られているのに。

    得になるケースなんて限られているだろうに、寝かせておくよりはと思って皆さん建てられるのでしょうか。疑問でなりません。

    相続税制度、不動産価格の算定、不動産取引の透明化など、不動産にまつわる淀みが、全ての原因のように思います。

  2. 匿名さんこんにちは。

    不動産にまつわる淀み、私もつくづく感じます。
    昔と社会事情が変わってきているのだから、不動産に関する法律も、変える時期が来ているんですよね。私がこの記事を書いてから3年半たちますが、あれからまた近所には、無節操に大東建託のアパートが次々と建てられました。当然のように、既存のアパートには空室が目立っています。需要が変わらない(どころか減少している)のに、供給が右肩上がりなので、当然の結果なのですが。

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