2016年を振り返る その1 出雲大社

今年もあと少し。2016年が自分にとってどんな年だったか、振り返ってみたいと思います。

まず、旅行ですね。行きたかった場所にたくさん行けた年でした。まず、春には念願の出雲大社へ行ってきました。出雲へのアクセスですが、事前に調べたところ乗り換えが多く大変そうだったので、直通で行ける「サンライズ出雲」を選択。

去年も行こうと思ったのですが、直前に予約しようと思ったところまさかの全席種満席で諦めた記憶が。今年こそ、との思いで、JRの窓口で当日購入にチャレンジ。結果、無事にB寝台の「ソロ」という席をゲットすることができました。

本当は「シングル」席を狙っていたのですが、すでに売り切れということで。平日でも大人気なのですね、サンライズ出雲。大遷宮以後のお参りブームが、2016年もまだ続いているのかなと思いました。大遷宮のときは、ものすごい人出だったと聞きます。

「ソロ」は狭いという噂でしたが、実際乗ってみた感想は、確かに出入りがちょっと、厳しいかも。私は上段の部屋だったのですが、通路からベッドに上がる階段は、かなり狭いと感じました。体格が普通の人でギリギリなので、それより少しでも大きいと、入れないかもしれないです。たとえば体の大きな人がうっかりこの席にしてしまうと、困ったことになるだろうなあと思いました。

切符売るときに、注意みたいのがあるといいのですが。でも、下手に言うと「差別だ」と騒がれたりするんだろうか(^^;

「ソロ」の室内は、とくに狭さを感じることはありませんでした。寝転がって、空や線路沿いの景色を眺めるのが楽しかったです。天井は低くて立ち上がる高さはありませんが、座ったり、ゴロゴロしながら旅を楽しむには、十分です。

なにより、直通で出雲へ行ける、というのは大変助かります。いったん乗ってしまえば、あとはのんびり、明日の朝を待つだけ。東京駅を夜10時発で、翌朝10時前に出雲市へ到着です。

出雲市駅へ到着後、バスで出雲大社へ向かうつもりでした。ところが、目当てのバス停にはずらーっと長い行列が。あんまり人が多いので、次のバスか、もしくは一畑電車大社線で行こうと決め、バスを見送りました。

が、バス停の時刻表をみると、次のバスまでずいぶん時間がある。電車の方も同じ状況。これは困ったなあ、どうしようとしばらく考える。時間までただぼーっとするのももったいないので、少しでも観光しようかなと、グーグルマップを見る。すると、「出雲駅前温泉らんぷの湯」の文字が。参拝を前に、身を清めることにもなりますし、行ってみようと決めました。

駅前の温泉だし、お湯に期待はしていなかったのですが、いい意味で裏切られました。立ち寄ったのは大正解。私が行ったときはちょうど空いていて、快適にお湯を楽しむことができました。しかもお湯が濁っていて本格的、すごく体に優しい感じ。一晩電車に揺られていた疲れがふっとびました。特に露天風呂が気に入りました。露天はちょっとした竹林もあり、思わずうとうと。木漏れ日が綺麗だったなあ。

あまりにも気に入ったので、帰りにも寄ったくらいです。また出雲へいくときには、ぜひ立ち寄るつもり。

あんまり人気になると混んでしまうのが心配ですが、でも素晴らしい温泉です。駅前という立地であの泉質はすごい。さすが神様の地ですね。

らんぷの湯を出た後、バスで出雲大社へ。まずはその日の宿にチェックイン。大きな荷物を置いた後で、私がまず向かったのは、日御碕神社でした。

出雲大社からバスで20分くらいということで、今から急いで参拝すれば暗くなる前に帰れるかなあと思ったのです。そしたら、明日一日、ゆっくり出雲大社を回れる。出雲大社については、明日またゆっくり参拝しようと。

日御碕神社まで、バスで20分。海沿いの景色が素晴らしかったです。そして山道に入り、しばらくすると眼下にぱっと、朱塗りの神殿が。一瞬、はっと息を呑みました。まるで夢の中のような、幻想的な景色です。

バスを降りたら、まずは帰りのバスの時間をチェック。これ大事です。そんなに何本もないので、次のバスを逃すわけにはいきません。

楼門の先にある下宮、そして上宮の順にお参りしました。その後、わき道からさらに上った先にもなにかお宮があるようでしたが、鳥居が少し朽ちているのが気になり。そちらの方には人気もなく、時間も時間で少し迷ったのですが、恐る恐る行ってみると、お稲荷様でした。山の木々に覆われて、辺りが薄暗い中、お宮に二礼二拍手したそのとき!

ざーっと一陣の風が吹き、同時にものすごい量の白い小さな花が上空から降ってきたのです。そのタイミングにびっくり。なにかの木の花だと思うのですが、よくわかりません。とにかく、まるで私を迎えてくれるように降ってきて、かなり驚きました。怖くなってしまい、ここでなにかお願いすることもためらわれ、(もし願いが叶っても、遠くてお礼参りに来られないかもと思ったので)、神様には正直にそのままを伝えました。

でも、あんな風に一斉に花が降ってくるなんて、初めての体験です。一度下の方に降りてきてから、気になってもう一度お宮の方へ上がりました。でも、もう花は降ってきませんでした。

後になって思い出すほどに神秘的な体験で、忘れられない記憶となりました。

その後は、灯台まで往復する時間がなかったので、港のところでしばらく、ぼーっと経島(ふみしま)を眺めていました。無人島で、神職以外の上陸が禁じられているそうです。ウミネコがたくさん飛んでいました。

翌日は、いよいよ出雲大社で参拝。初めて来た出雲大社は、懐かしくて暖かくて、まるで田舎のおばあちゃんの家のような、そんなほっとする場所でした。初めてというよりも、どこかで見た景色。神聖で畏れ多いというのではなくて、故郷を感じました。いつも心の中にあった場所、というイメージです。そして、この出雲大社での参拝後、帰宅するとすぐに、祖父母の家での懸案事項に動きが…。このタイミングに、神様の力を実感しました。出雲大社は日本人みんなの、心のふるさとのような場所なのかなあと思います。いつか、帰っていく場所。

出雲では、稲佐の浜で夕日が沈むのも見ました。夕焼けに染まる空。少しずつ暗くなる空に広がるグラデーション。

その稲佐の浜辺で、制服姿の高校生の女の子が2人。波打ち際ではしゃいで遊んでいました。そして、その近くには、5人ほどの男の子たち。この子たちは20歳くらいにみえました。お互いにお互いを意識しながら、決して声を掛け合うことはなく。けれど、これがボーイ・ミーツ・ガールなのねと。そんなことを思いました。微笑ましくて、それぞれが、ぎこちなく意識しながら、少しずつ距離を縮めたり、また離れたり。そんな光景を見ながら、神様もこんな風に、人の世の出会いを見ているのかなあ、と、そんなことを考えたりしました。

出雲では、神様の会議で縁を決めるといいますが。神様も、こうした若者たちをきっと、にこにこしながら眺め、ひそかな恋を応援しているに違いありません。

この稲佐の浜では、不思議なにわか雨もありました。晴れていたのに、急に通り雨のように、ひとしきり雨が降ったのです。私は波打ち際から少し離れた砂浜に座っていて、辺りにはすぐに雨宿りできそうなところもなくて。まあいいや、別に本格的に降っても構わないや、ここは居心地がいいもんなあ。そんなことを思っていたら、雨は体を濡らすほどの量もなく、すぐにやみました。

ずっと行きたかった出雲は、上手く言えないけど、いつもいるこの場所と同じ空気でした。特別な凄い何か、というのとは違っていて。青い鳥の話は、このことかと。心の中の、大事な故郷。本当はいつも、そこにあるもの。いつか帰っていく場所。

お土産には、急須を買いました。お茶を飲みながら、時々出雲のことを思い出したりしています。

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