家と家との距離は絶対にあけた方がいい その2

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今、うちの近所では次々と家が建っています。ここ数年、ちょっとした新築ラッシュ。

そこで、家の建築に関して「家を建てるときのヒント」というカテゴリーで、気が付いたことを書いてみることにしました。身近に建設を見ていると、見えてくるものがあります。

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以前に書いた「家と家との距離は絶対あけた方がいい」の記事、結構読んで下さる方が多いみたいです。それだけ、お隣との関係に悩まれる方が多いのかなあと想像してます。きっと、これから家を建てますという方ではなく、実際に家を建ててみて、いろんなトラブルが出てきて困ってネット検索している方がメインでしょうね。

ということで、前回の記事を「その1」として、今回、「その2」を書いてみることにしました。もう建ててしまっている方には参考にならないかもしれませんが、これから新築を考えている方にはぜひ、知っていただきたいポイントです。

その1に当たる記事を書いて以降、うちの周囲はますます建築ラッシュで、田んぼがどんどん減少してしまいました。のどかな田舎の風景がなくなるのは、本当に寂しいものです。稲穂の揺れる光景は、日本人の心の故郷ですからね。それがなくなるというのは、食料自給の意味も含めて、あまり歓迎できることではないと思います。

ただ、高齢で耕す人がいなくなった田んぼを、そのままにしておけば草が生え放題で、近隣に迷惑をかけてしまいますし。埋め立てて住宅地にする、というのも仕方のない時の流れなのかもしれません。

ということで、うちの近所の分譲された土地に、新たに2軒の家が建つのを興味深く見守っていたのですが、この2軒のお宅は案の定、お互いにぎりぎり寄せて建ててしまったのですよ…。これ、初めて家を建てるときには、お施主さんが気が付かない盲点なんでしょうね。もっと住宅メーカーが、きちんとアドバイスしてあげるべきだと思う。

一度建ってしまったら、何十年そのままです。内装は変えることができても、建物の位置までは動かせない。断言しますけど、土地の狭い都市部や商業地はまた別として、田舎では特に、「隣地境界線からきちんと距離をとって家を建てる」ないと後々、お互いに嫌な思いをしますよ。

最低でも、自分の敷地内に足場を組めるスペースを考えなくてはいけません。いくら現状で境界にしっかりしたフェンスがないからといって、相手の土地を利用した足場でないと利用できない建物の位置だとしたら、確実にトラブルになります。そしてその足場も、ぎりぎりではなく、プラスアルファ、余裕をもって組めるぐらいのスペースを考えた方が賢明です。

私が見た2軒の家は、ぎりぎり足場は敷地内に組めているようにみえましたが、互いに軒を長めに出しているため、屋根と屋根とが異常なほどくっついています。壁には窓がいくつかついていますが、開けたら目の前がお隣さんで、圧迫感はかなりのものでしょう。窓が、本来の意味を失くしてしまってます。壁同士の距離で見てもあまりスペースがあいていないので、生活音などもある程度聞こえてしまうのでは?という感じです。

それと、その狭いスペースにエアコン室外機を置いたら、これはモメそうですね…。風の吹き出しとか、音の問題とか。もし電気温水器を置いたら、境界との間で人が通れそうもない。

結局、気を付けるといっても、単純な話なんですけどね。自分の家の周りは、大人一人がゆったり通れるだけの空間をつくって、ということです。民法では50センチですけど、1メートルはとった方がいいと思います。家は必ずメンテナンスが必要ですが、壁の塗装や屋根の修理、どんなときにも、お隣とある程度の距離があれば迷惑は最小限に抑えられます。

また、もし隣が非常識な人で、境界ギリギリに家を建てたり、車庫を作ったりしても、自分が境界からスペースを保っていれば、なんとか我慢することができるでしょう。でもお互いに、どちらもギリギリの距離で建ててしまったら…かなりつらい生活になりそうです。

身を寄せ合うようにして、くっついて建てられた2軒の家。他人事ながら、もう少し余裕をもてばよかったのに、と思って見ています。たぶんお施主さんも同じ思いなのではないでしょうか。相手の家がどの程度の距離に建つか、自分の家が境界からどのくらい離れるか、そういうことって、意外に盲点です。でも、とてもとても、重要な要素ですね。今後の生活の質に、ずっと関わってくる。

うちは田舎なので、一軒家はだいたい、70坪前後のお宅が多いです。だから、家の周囲にしっかりスペースをとること、そんなに難しくないと思います。だけど、南側にめいっぱいお庭のスペースをとりたい、だとか、北側は無駄なスペースをなくしてギリギリまで境界線に寄せたい、とか、そういう「欲」が、結果的に大損を招くのではないでしょうか。

大きな視野でみると、隣地とはほどよい距離を保ったほうが、絶対に上手くいきます。工事のときも、迷惑は最小限にすみますし、気を遣わなくても自分の敷地内ですべて終わらせることができるわけで。

でも、相手の敷地、相手の好意ありきの、相手の敷地を利用しなければ建てられない、メンテナンスできない、というのは、避けるべきですね。

また近所で、こんなケースがありました。目一杯、境界によせて車庫を建てたお宅がありまして。もちろん敷地内になにを建てようと、基本的にそれは自由なのでしょうが、問題は、ギリギリすぎて、隣地を踏まないと工事ができない仕様だということなのです。

壁から境界線まで15センチないのです。当然、大人一人立つこともできないくらいのスペース。車庫といっても窓もあるし、施工は外側から行うため、どうしても隣地を踏まなければ建築は不可能な状態です。お隣にお願いして、工事を行ったらしいのですが、正直、施主の気持ちが理解できません(^^; できるだけ自分の土地を有効利用すべく、ぎりぎりの位置に建てたいのはわかりますよ。でも、隣地を踏まなければ建てられない、メンテンスできない、というのは、あまりにも自分の欲にとらわれすぎた建て方だと思います。

建てて終わり、ではないですからね。今後、修理のたびに、「すみません、入らせてください」と頼むのかな? 今は良くても、土地の持ち主が変わったらどうだろうか。もし相手が変な人で、対抗するように同じような車庫を建てられたら、メンテナンスも無理だし、窓も意味がなくなるけど、そこまで考えているのかな?

家は建てて終わりではなく、そこからご近所さんとの長いご縁が始まります。トラブルの種は、少しでも減らしておいた方がいいですよね。そのためにも大切なのは、家の周囲をぐるっと、大人一人が余裕で歩けるくらいのスペースをキープすること。そのスペースは決して無駄ではありません。必要なものです。お互いにそうした、相手に配慮した者同士が隣り合ったら、もめることなんて何もないでしょう。

家と家との距離は、絶対にあけた方がいい。本当にそう思います。建ててしまってから後悔しても遅いです。トラブルがあって嬉しい人なんて誰もいません。新築のとき案外気が付かない、でも大切なポイントだと思います。

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